バンコクは交通手段が多い都市だ。
BTS、MRT、Grab、タクシー、バス……選択肢だけを見ると便利に思える。
しかし実際に旅行を計画すると、こう迷う人は多い。
- バンコク市内移動は何が一番おすすめなのか
- タクシーは渋滞で時間がかかるのではないか
- 一駅くらい歩いても問題ないのか
情報は多い。だが、体力を削られずに回る設計までは書かれていない。
バンコク市内移動でおすすめの方法は、単純な最速ルートではない。
時間と体力の消耗を抑えながら、無理なく回ることだ。
本記事では、旅行者がやりがちな失敗をもとに、BTS・Grab・徒歩の使い分けを実体験ベースで整理する。
まず結論だけ知りたい人へ
- 日中はBTS・MRTを軸にする
- 10時〜17時の徒歩は避ける
- 夕方は車移動を避ける
- 駅から離れているときにGrabを使う
迷ったら、この基準で選べば大きく外さない。
昼に一駅歩くのはおすすめしない

バンコクでは、「一駅くらいなら歩けそう」と思う場面が多い。
たとえば、BTSアソーク駅からプロンポン駅。
距離は約1km強。地図上では徒歩15〜20分ほどと表示される。
日本の感覚なら十分歩ける距離だ。
しかし、昼のスクンビット通りを実際に歩くと、実際の負荷は大きい。
- 強い日差しと高い気温
- 信号待ちの長さ
特に信号待ちは想像以上に長く、メイン通りでは体感では5分以上止まっているように感じる。
地図では一直線でも、実際は止まり、待ち、また止まる。
その繰り返しで、思った以上に時間と体力を削られる。
結果として、到着時には汗だくになり、観光どころではなくなる。
ではどうするか
昼の時間帯(特に10時〜16時)は、
一駅でも素直にBTSを使う。
数十バーツで、冷房の効いた車内を数分で移動できる。
体力とのトレードオフを考えれば、十分に払う価値がある。
乗り換えは1回でも“重い”ことがある
Googleマップでは、BTSとMRTの接続は簡単に見える。だが実際の移動は、想像より少しだけ手間がかかる。
たとえばアソーク(BTS)とスクンビット(MRT)。
改札を一度出る
案内表示を追う
通路を数分歩く
再び改札に入る

日本の巨大ターミナルのように広いわけではない。
しかし、「一体化していない」分、心理的に区切られる。

同じような例として、サラデーン(BTS)とシーロム(MRT)やモーチット(BTS)とチャトゥチャックパーク(MRT)など。
駅名は近いが、実際は一度地上レベルを挟み、階段や通路を経由して乗り換える構造だ。表示上は数分でも、改札を出て、段差を越え、再び改札に入る。この小さな区切りが、移動の流れを止める。
乗り換えが2回になると、その“流れの分断”がさらに増える。
結果として、表示時間よりも疲れる。
目安
- できれば同一路線で完結
- 乗り換えるなら目的地近くで1回だけ
「最短時間」よりも、乗り換えや横断の回数を減らすことを優先する。
小さな停止が減るだけで、1日の行動は軽くなる。
横断の仕方で、移動の重さは変わる

たとえば、スクンビット通りを地上で横断する場面。
車線が多く、交通量も多い。
アソーク交差点周辺のような大きな交差点では、信号待ちの時間が長く感じることがある。
青信号になれば渡れる。
ただし、右左折車が多い時間帯は、歩行者の流れがゆっくり進みがち。
一度信号を逃すと、体感ではかなり長く感じる。
距離は数十メートルでも、「待ち時間」が積み重なる。
横断は距離の問題ではない。
待ち時間と心理的な負荷が重い。
予定に横断を何度も挟むと、移動のテンポが乱れる。
たとえば、ラチャプラソン交差点(セントラルワールド前)のような大型交差点では、
一度の横断で済まず、段階的に渡る構造になっている。

この「止まる回数」が増えるほど、移動は重く感じる。最適解は「どう渡るか」ではなく、そもそも渡らなくて済む動線を選ぶことだ。
モールとスカイウォークは“移動インフラ”として使う

バンコクの大型モールは、単なる買い物施設ではない。
スカイウォークと組み合わさることで、ひとつの移動ルートになる。
その好例が、サイアム〜チットロム周辺だ。
BTSサイアム駅からサイアムパラゴン、
スカイウォークを通ってセントラルワールド、
そのままチットロム駅へ。

この区間は、地上にほとんど降りずに移動できる。信号待ちはなく、車を気にする必要もない。
炎天下でも直射日光を避けながら、一定のペースで歩ける。

地図上ではラマ1世通りを地上で歩けば一直線だ。距離もそれほど長くない。
しかし実際には、信号待ち、歩道の混雑、強い日差しが入る。一方で、モールとスカイウォークをつなぐ動線は、多少遠回りに見えても体感は軽い。最短距離が最小負荷とは限らない。
バンコクでは、屋外の直線ルートよりも、屋内+スカイウォークの連結動線のほうが流れを保ちやすい。モールは寄り道ではなく、都市が用意した移動回廊の一部である。

Grabは便利だが、万能ではない
バンコクではGrabが広く使える。
ただし、使いどころを間違えると時間を読みにくい。
Grabバイクは速い。ただし条件付き
Grabバイクは、小回りが利く。
渋滞の多いバンコクでは、車よりも明らかに早い場面がある。
短距離移動や、駅から少し離れた目的地へ向かうときは特に強い。
夕方の交差点では、四輪が詰まる横をバイクが縫うように進む。
この差が、そのまま移動時間の差になる。

しかし、
・基本的にヘルメットは貸与されるが簡易的
・バイクに慣れていない人には心理的ハードルがある
・雨の日は実質選択肢から外れる
急いでいるときの武器にはなる。
ただし、常に最適とは限らない。
Grabタクシーは快適だが、時間は読みにくい
Grabの車やメータータクシーは、日本と比べれば安い。
荷物があるときや、深夜移動では便利だ。
ただし、夕方のスクンビットや中心部を通るルートでは、渋滞に巻き込まれる覚悟が必要になる。表示時間は目安に過ぎない。アソークからトンローへ夕方にGrabを呼ぶと、15分表示が30分超になることもある。
バンコクでは、「距離」よりも「通る道路」のほうが所要時間に影響する。
使いどころは限定される
Grabは主役ではなく、補助と考える。
- 駅から徒歩10〜15分以上かかる
- 炎天下で歩きたくない
- 深夜で鉄道がない
こうした局面では強い。
一方で、鉄道で代替できる区間なら、
まずはBTSやMRTを軸に考える。
理由は単純で、渋滞の影響を受けないし、所要時間がほぼ読めるからだ。
バンコクでは、車は距離どおりに進まない。鉄道は道路状況に左右されない。
この差は大きい。
BTSを細かく刻むと、意外と積み上がる
バンコクのBTSは高くない。
1回あたりの運賃も、日本と比べれば手頃だ。ただし、短距離を何度も乗り直すと話は変わる。
たとえば、こんな動き方。
- サイアム → チットロム
- チットロム → アソーク
- アソーク → プロンポン
これを往復すると、1日で150バーツ程度になる。
1回ごとの金額は小さい。だが、細かく刻むと積み上がる。
特に、モール間を何度も移動したり、エリアを行ったり来たりする動き方は増えやすい。
体力とのトレードオフ
一駅を歩くか、乗るか。
これは単純な節約の話ではない。
スクンビットのように店が多いエリアでは、ショップをのぞきながら駅間を歩くのは楽しい。カフェや小さな店舗を見つけるきっかけにもなる。移動というより、散策になる。
ただし、それは
- 日差しが強すぎない
- 無理に横断を挟まない
- 時間に余裕がある
という条件がそろっている場合だ。
炎天下の昼や、急いでいるときに同じことをすると、散策ではなく消耗になる。最適解は「全部乗る」でも「全部歩く」でもない。歩くなら、歩いて楽しい区間を選ぶ。消耗する区間は素直に乗る。
そして何より、移動回数そのものを減らすことが、体力も出費も抑える近道になる。
そもそもどの駅周辺に泊まるかによって、移動の難易度は大きく変わる。バンコク主要駅の特徴については別記事で整理している。
時間帯を間違えると、移動は一気に重くなる
バンコクの移動は、距離よりも時間帯の影響が大きい。
夕方(17時〜20時)は地上が詰まる

スクンビット周辺では、この時間帯に車の流れが鈍る。18時台のスクンビットは、車がほぼ動かない区間が出る。Grabやタクシーは距離どおりに進まない。
鉄道は混むが、止まらない。
夕方に車移動を選ぶかどうかで、その後の余裕が変わる。
11時〜16時は徒歩が重い
この時間帯の一駅徒歩は、夜とは別物。
日差しが強く、同じ1kmでも、体感は大きく違う。「歩ける距離」かどうかではなく、その時間帯に歩く意味があるかで判断したほうがいい。
散策として楽しめるなら歩けばいい。
移動だけが目的なら、鉄道を使うほうが合理的だ。
夜は選択肢が広がる

20時以降は、地上移動がしやすくなる。
Grabも読みやすくなり、徒歩も負担が軽い。
同じ移動でも、時間帯で難易度は変わる。
空港から市内への移動も同様に、到着時間によって選ぶ手段は変わる。スワンナプーム空港からのアクセス方法は別記事で詳しくまとめている。
まとめ:最適解は「動線を設計すること」
バンコク市内移動の最適解は、特定の交通手段を選ぶことではない。バンコクは、速さよりも“設計”で差が出る都市だ。
- 昼に無理して歩かない
- 乗り換えで流れを止めない
- 大通りの横断を前提に予定を組まない
- モールとスカイウォークを移動ルートとして使う
- Grabは局面で使う
- 時間帯を考えて動く
これらを意識するだけで、移動の負荷は大きく変わる。
バンコクは「交通手段が多い都市」ではあるが、
本質は「移動の設計が問われる都市」だ。
最速を追わなくていい。距離に振り回されなくていい。
それだけで、同じ距離でも旅の密度は変わる。
判断に迷う場面
バンコク市内移動はBTSとGrabどちらが正解?
A. 日中や夕方は渋滞の影響を受けないBTS・MRT。駅から離れた場所や深夜はGrab。
バンコクで一駅は歩ける?
A. 夜なら現実的。10時〜17時は日差しが強く、消耗が大きい。
バンコクのタクシーは渋滞する?
A. 夕方のスクンビット周辺は時間がかかる。距離より道路状況の影響が大きい。

