本来ならこんな記事は書きたくなかった。だが南国タイのパタヤで暮らしていた間、私は1か月間あたりゴキブリと15匹以上も戦う羽目になった。
「滞在記に花を咲かせるはずが、まさかゴキブリ討伐記になるとは…」そう思いながらこの記事を書いている。
※安心してください。この本文にはゴキブリ本体の写真やイラストは一切出てきません。代わりに実際に使った殺虫剤やアパートの写真のみを掲載しています。何より筆者が出したくないです笑。
ゴキブリが苦手な人はきっと共感してくれるだろう。あの黒光りしたボディ、予測不可能な瞬発力。こちらが構える間もなくカサカサと走り出す姿は、もはや小さな野獣である。私は遭遇すると固まってしまい、まるで石像と化す。男のくせに、と笑われたこともあるが、この恐怖は理屈ではない。
結論から言うと、最も効果があったのはブラックキャップ。ただし根本的には“1階の部屋を選んだこと”自体が最大の失敗であった。
パタヤのアパートで多発した害虫トラブル
今回借りたのはパタヤカンにあるアパート。月7,000バーツ、スタジオタイプで清潔感もあり「お、掘り出し物だな」と思った。部屋番号は104号室。数字の並びも悪くない。私はコスパを勝ち取ったと心の中でガッツポーズした。

だが初日、バスルームで“彼”は現れた。こちらの目が慣れていない暗がりの中、黒い影がカサッと動いた。心臓が跳ね、私は1分間ほど石のように固まった。「…いる」。南国の現実を叩きつけられた瞬間であった。
その後もほぼ毎晩のように遭遇。シャワーのたびに「今日は出ないでくれ」と祈りながらドアを開ける。夜中にトイレへ行くときの緊張感はまるで肝試し。コスパ最高どころか、私は完全に生きた心霊スポットに住んでいた。
タイのアパートで実際に試したゴキブリ対策
今回の事例はパタヤですが、バンコクでも同じような環境で役立ちます。
対策① スプレーで待ち伏せ作戦 ― 精神を削る勝利
最初に手を出したのはスプレーだ。排水口や隙間に噴射して待ち伏せするタイプ。吹きかけて寝ると、翌朝には必ず1〜2匹がひっくり返っていた。「よし!討伐成功だ!」と一瞬は安堵する。だがその直後、気分はどん底に落ちる。



そう、奴らの死骸を処理しなければならないのだ。ティッシュ越しでも鳥肌が止まらない。朝からミッション・インポッシブル。効果はある、でも精神はどんどん削られていった。
対策② 東南アジア定番チョーク型殺虫剤は効くのか
次に試したのはチョーク型殺虫剤。日本では見たことがないが、東南アジアでは定番である。使い方はシンプル。窓枠やドアの下に白い線を引くだけ。タイ全土のセブンイレブンでも買えるアイテムで、なんとも頼りなさそうだが、これが意外に効く。

バスルーム入り口に線を引いた翌日から、部屋の中での遭遇することはなくなった。「まるで結界じゃないか!」と一瞬は喜んだ。しかし調べてみると実際は違うらしい。
ゴキブリは結界を普通に跨ぐのだ。だが跨いだ瞬間、足や触角に薬剤が付着し、やがて神経が麻痺してひっくり返る。結界というより“呪いの罠”であった。結果オーライだが、安心していいのか微妙な気分である。
対策③ ブラックキャップ ― 南国でも最強の兵器
最強の兵器はやはりアース製薬のブラックキャップだった。3個で80バーツほど。部屋、バスルーム、バルコニーに配置した。数日はまだ“討ち漏らし”が出たが、それ以降ほとんど遭遇しなくなった。

バスルームの設置分は餌の減りが特に早く、「ここが巣に繋がっているのか」と納得。やはり巣ごと壊滅させる威力は別格であった。
ただしデメリットもある。水に弱いので、シャワーのたびにブラックキャップを避難させなければならない。裸のまま片手にブラックキャップを持って移動する姿は、もし誰かに見られたら恥ずかしい。だがそれでも、背に腹は代えられなかった。
▶ コラム:日本と海外で違う殺虫剤パッケージ文化
ちなみに、殺虫剤のパッケージ表現には国ごとの文化の違いがあって面白い。
日本ではゴキブリのリアルな写真やイラストをできるだけ避ける傾向がある。スーパーで並んでいるブラックキャップやゴキジェットも、あえて黒いシルエットやイメージ図だけで済ませている。購買者に「嫌悪感を与えない」ことが最優先だ。
一方で、タイやフィリピンの殺虫剤はまったく逆だ。パッケージには堂々とリアルなゴキブリや蚊のイラストが描かれている。「これが敵だ、これで倒せる!」と一目で伝えるためだろう。効き目を強調するには、見た瞬間に対象をイメージさせる方が分かりやすい。
文化の違いがデザインにまで反映されているのは興味深い。もし日本のスーパーにこのリアル絵が並んでいたら、多くの人は目を逸らして棚を素通りするに違いない。
なお、タイで定番の殺虫スプレーについては、こちらの日本語解説も参考になります。
👉 Wise「Earth (Thailand) Co., Ltd.(ARS製品紹介)」
さらに詳しい公式情報は、Earth (Thailand)による
👉 ARSブランド公式ページ(Earth Thailand)
で確認できます。
番外編:電灯24時間電灯つけっぱなし作戦は有効?
後半から導入したのが「電灯つけっぱなし作戦」。バスルームの明かりを24時間灯しておくとゴキブリは暗闇を好むため出にくい…はず。実際、直接見る機会は減ったが、ブラックキャップ師匠の設置後だったのではっきりとした効果はわからなかった。
ただし電気代は微々たるものとはいえ、アパートのオーナーに電気つけっぱなしを指摘されるのではないかと別の心配が生まれた。「ゴキブリが怖くて電気つけっぱなし?」…恥ずかしくて言えない。だが背に腹は代えられない(二度目)。
侵入者対策の費用と効果(タイのアパート実例)
対策 | 費用 | 即効性 | 持続性 | デメリット |
---|---|---|---|---|
スプレー(待ち伏せ含む) | 約60B | ◎ | △ | 死骸処理がトラウマ級 |
チョーク型殺虫剤 | 15〜20B | 〇 | 〇 | 成分が有害、日本未販売 |
ブラックキャップ | 約80B/3個 | 〇 | ◎ | 水に弱い、移動が面倒 |
明かり点灯 | 電気代のみ | △〜〇 | × | 気休めかも? |
2〜3週間で訪れた静寂
これらを総合的に行った結果、2〜3週間でゴキブリの姿を見なくなった。バスルームで無駄に緊張していた日々がようやく終わり、平穏が戻ってきた瞬間は感動すら覚えた。
だが、ここで大事なことに気づく。結局、私はゴキブリを完全に退治したわけではない。「たまたま近くの巣が壊滅した」だけなのだ。そしてもっと根本的な失敗があった。
最大の失敗 ― 1階の部屋を選んだこと
そう、今回の部屋は104号室。つまり1階である。排水口は下水と直結しており、トラップも甘い。日本の住宅ならブロックされるような構造も、タイでは突破されてしまう。

「安いし綺麗だから」と契約したが、実はゴキブリにとってのゴールデンゲートを開けていたのだ。
これまでの住居と出現率を比較してみる。
- コンドミニアム23階:4年で4回。ペストコントロール後はゼロ。
- アパート8階:3か月で0回。
- アパート1階(今回):わずか1か月で15匹以上。
他の住人に聞いても「2階もよく出る」とのこと。経験上、ゴキブリが出にくいアパートを選ぶ条件は明確だ。4階以上・ペストコントロール体制あり・排水構造がしっかりしている物件。これに尽きる。つまり「ゴキブリが出ないアパート」を探すなら、まず部屋選びで勝負は決まっている。要するに“安さに釣られて1階を借りると、ゴキブリ御殿が待っている”ということだ。
タイ生活では部屋選びだけでなく、移動や滞在の工夫も欠かせません。
例えばバンコク・スワンナプーム空港では深夜到着組に空港泊という現実的な選択肢があります。
実際に体験した様子をまとめた記事「スワンナプーム空港で空港泊のすすめ 〜深夜到着組の強い味方〜」もぜひ参考にしてください。
FAQ(タイ・バンコク/パタヤのゴキブリ対策Q&A)
Q. タイのアパートでゴキブリが出やすいのはどんな条件?
A. 1〜2階は下水に近く侵入しやすい。小規模アパートはペストコントロールが弱く、リスクが高い。
Q. ブラックキャップはタイでも買える?購入場所は?
A. バンコク・パタヤのBIG CやHome Proなどのホームセンターで購入可能。値段も安く、日本と同じ効果を発揮する。
Q. チョーク型殺虫剤は安全?
A. 効果はあるが成分は有害。子どもやペットがいる環境では使用を控えた方がよい。
Q. 海外と日本のゴキブリ対策の違いは?
A. はい、違います。タイを含む東南アジアでは「チョーク型殺虫剤」など日本では見ない方法が一般的。ブラックキャップのようなベイト剤は共通だが、排水口の構造が甘いため、日本よりも排水溝対策が重要になる。
Q. フィリピンやベトナムでも役立つ?
A. はい。フィリピンやベトナムなど、東南アジアの高温多湿な地域でも排水口や下水からゴキブリが侵入する環境は同じ。今回の方法は多くの国でそのまま応用できるでしょう。
まとめ ― ゴキブリとの戦いで学んだこと
スプレーで追い払い、チョークで罠を仕掛け、ブラックキャップで巣を潰し、電灯で気休めを得る。あらゆる手を尽くして、私は一旦の勝利を得た。
しかし本当に学んだのは、「ゴキブリを減らす最強の対策は部屋選び」である。
タイでこれからバンコクやパタヤのアパートに住む人へ。どうか安さや見た目に惑わされず、1階は避けてほしい。そして可能ならペストコントロールが定期的に行われるコンドミニアムを選んでほしい。
この記事が、同じくゴキブリ嫌いの同志にとって、少しでも心の支えになれば幸いである。
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