パタヤと聞くと、どうしても「にぎやかな繁華街」や「観光客で混み合うビーチロード」を想像する人が多い。しかしソンテウに揺られて南へ15分ほど行けば、まったく異なる空気が流れる「ジョムティエンビーチ」に出会える。
ジョムティエンは長く続く海岸線に沿って椰子の木が並び、散策やジョギングを楽しむのにぴったりな場所である。朝はまだ人も少なく、潮風を浴びながら歩くだけでリゾートらしい解放感を味わえる。昼間はビーチチェアに座って日光浴を楽しむ人々でにぎわい、夕方になると美しい夕日を背景に人々が集まる。

散歩道の途中にはカフェやベーカリーも点在している。朝の運動の後にアイスコーヒーを飲む人、夕暮れ時にサンドイッチ片手に海を眺める人。観光地でありながら、どこか生活に根ざした雰囲気があるのがジョムティエンの面白さである。

ドンタンビーチの過ごし方|パタヤでのんびり散策できる穴場スポット
ジョムティエンの北端に広がるのが「ドンタンビーチ」。ジョムティエンが比較的にぎやかなのに対し、ドンタンはさらに落ち着いており、静かに過ごしたい人におすすめだ。

ビーチ沿いには遊歩道が整備されており、朝夕の散歩やジョギングに最適である。木陰も多いため、暑い日中でも比較的歩きやすい。歩いていると、犬の散歩をする地元の人や、ジョギングに励む外国人居住者に出会う。

途中にはビーチバレーコートがあり、昼間には地元の若者がゲームを楽しんでいる姿もよく見かける。観光客向けの派手なマリンアクティビティはパタヤビーチと比べ少ないが、その分「のんびり歩く」「地元の空気を味わう」ことに集中できるのがドンタンの魅力である。

さらに散歩道沿いにはブーゲンビリアが咲き誇り、南国らしい鮮やかな景色が広がる。季節ごとに色合いを変える花々を眺めながら歩くだけで、心が軽くなる。

ドンタンでは開放的で多様な人々が自然体で過ごしている。観光客にとっても安心して散策を楽しめる空気がある。
👉 実はこの散策路、年に一度「マラソン大会の舞台」へと変貌する。
Loma Run on the Beach|ジョムティエン&ドンタンで開催されるマラソン大会
ジョムティエンやドンタンの遊歩道は普段は散策やジョギングの場として親しまれているが、毎年9月になると一変し「Loma Run on the Beach」の舞台となる。地元のランナーと観光ランナーが一緒になって走る、パタヤならではのアットホームな大会である。ここでは、まず2025年大会の最新情報をまとめ、その後に筆者が過去3年間参加した体験談を紹介する。
2025年大会の最新情報(コース変更と距離短縮)
公式発表によると、2025年のLoma Runはコースが変更され、11km部門は実測で約8.5km に短縮されることが決まった。理由は、大会ルート上で進められている大型排水システムの工事が大会までに完了しないためである。安全を確保するため、ルートを一部変更する対応が取られた。
- ロード区間:約7km
- ビーチ区間:約1.5km
- 合計距離:約8.5km
ロードとビーチを両方走れる点は変わらず、リゾートらしいユニークなコース設計が維持されている。

最新の開催概要やコース情報は公式ページでも随時更新されています。参加予定の方は、Loma Run公式Facebookページ をチェックしてみてください。
前日の受付と準備
エントリーはスタート地点近くの Jomtien Palm Beach Hotel & Resort で行われる。ここでゼッケンや計測チップを受け取り、会場内ではシューズやキャップ、ランニングパンツ、小物入れなどのグッズ販売も行われている。忘れ物をしても現地でそろえられるのは安心だ。このホテルにはボーリング場もあり、前日は観光客やランナーでにぎわい、普段の静かなジョムティエンとは違ったお祭りのような雰囲気が漂う。
スタートの雰囲気と夜明けの景色
11kmのスタートは午前5時半。まだ真っ暗な時間帯に海風を感じながら走り出す。沿道にはランナー仲間が集まり、ライトの明かりが点々と続く光景は幻想的だ。やがて空が白み始め、走っている最中に東の水平線から太陽が昇る。海を横目に、朝焼けと共に走る時間はこの大会ならではの特別な体験である。
参加者はタイ人が中心だが、場所柄外国人ランナーも多い。国際マラソンのような華やかさではなく、あくまで地元色の濃い、温かい雰囲気が魅力である。
コースの特徴(プラタムナックヒルと砂浜ラン)
例年の11kmコースは、ビーチ近くのフラットな区間に加え、後半にはプラタムナックヒルの坂を途中まで上るセクションがある。上り下りは脚に堪えるが、朝焼けに染まる海と街の景色は格別だ。
そして最大の特徴はゴール前の 約1.5kmの砂浜ラン。柔らかい砂に足を取られ、シューズは砂まみれになる。タイムを狙う人にとっては厳しいが、ビーチを駆け抜けてゴールする爽快感は他の大会では味わえない特別な瞬間である。
大会の雰囲気と参加者
沿道には地元の人々が応援に出てくれるが、パタヤマラソンのような大規模大会に比べると静かでアットホーム。バンコクから来た観光ランナーや在住外国人も混ざり、多様な参加者層がこの大会の特徴である。
給水所は2kmごとに設置され、水やスポーツドリンクが配布される。規模は大きくないが、必要十分なサポート体制が整っている。
ゴールと記念品
ゴール後は例年通り、完走メダルとLOMA FINISHER 11Kパンツが全ランナーに配布される。2025年もユニークな記念品が健在で、他大会にはない特別感を味わえる。
さらに、去年同様上位入賞者には「LOMA TOP 100」の称号やイルカ人形(下画像)が贈られる。順位判定はチップタイムで行われるため、記録を狙うランナーにとっても公正な大会となっている。

走り終わった後は、目の前のビーチで配られる軽食を楽しみ、周囲のカフェでのんびり過ごすのがおすすめだ。
ジョムティエン&ドンタンビーチへのアクセスとおすすめ宿泊エリア
ジョムティエン&ドンタンビーチへのアクセスはシンプルである。パタヤ中心部(サウスパタヤロードとセカンドロードの交差点近く)から出ているソンテウに乗れば、わずか10バーツで移動できる。終点はジョムティエンビーチ南側なので、途中で降りればドンタンや北部エリアにもアクセス可能だ。観光客でも迷うことなく行けるルートである。
滞在スタイルによってホテルの選び方も変わる。
- マラソン参加者:スタート地点に近い「Jomtien Palm Beach Hotel & Resort」周辺が便利。早朝スタートでも安心して会場に向かえる。
- 散策やのんびり滞在:ビーチロード沿いの中級ホテルやゲストハウスを選べば、遊歩道やカフェにすぐ出られる。欧米人オーナーのカフェが多いエリアは長期滞在者にも人気だ。
- 長期滞在や自炊派:コンドミニアム滞在が定番。スーパーや市場も近く、日常生活を送りながらビーチ散歩を楽しめる。
また、パタヤ中心部と違ってジョムティエン&ドンタンは静かに過ごせるのが魅力である。夜の遊びを求めるなら中心部に宿泊し、日中にソンテウで散策に来るのも選択肢だ。逆に「静かな海辺に拠点を置きたい」人には、こちらでの滞在がおすすめ。
まとめ|ジョムティエン&ドンタンは散策もマラソンも楽しめる特別なビーチ
ジョムティエン&ドンタンビーチは、パタヤ中心部の喧騒から少し離れた静かな場所。朝は海風を感じながら散歩を楽しみ、昼はカフェで休憩し、夕方は美しい夕日を眺める。観光で訪れるだけでも十分に魅力的なスポットだ。
一方で、毎年9月には「Loma Run on the Beach」が開催され、普段の散策路がマラソンの舞台に変わる。夜明け前のスタート、砂浜を駆け抜けるユニークなコース、そしてゴール後のリゾートらしい開放感。筆者が過去3年連続で参加してきた経験からも、この大会はただのローカルイベントにとどまらず、旅の思い出を一層深くする特別な体験になると断言できる。
ジョムティエン&ドンタンビーチは 「観光+スポーツ」両方の楽しみを兼ね備えた稀有な場所 である。パタヤに来る予定があるなら、静かな散策の目的地として訪れるのはもちろん、9月に合わせて旅を計画し、Loma Runに参加するのもおすすめだ。歩いても楽しい、走っても楽しい。二つの顔を持つこのビーチで、自分だけの特別な時間を過ごしてみてほしい。
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