※本記事は2025年12月に内容を更新しています。
海外旅行ではよくある話だが、安い航空券を選ぶと現地に着くのは深夜──日付が変わる頃ということも珍しくない。慣れない土地での深夜移動は不安だし、そもそもホテルを取っても滞在時間が短すぎて高い部屋はもったいない。そんなときに一つの選択肢になるのが「空港にそのまま滞在してしまう」という選択肢である。
空港泊は決して快適とは言えないものの、安全面や費用面を考えると合理的な場面もあり、旅慣れた人にとっては自然な選択肢のひとつ。今回の記事では、実際にマニラのニノイ・アキノ国際空港(NAIA)ターミナル3で深夜を過ごした記録をもとに、2025年現在の空港泊の環境をまとめた。
マニラ空港(NAIA)ターミナル3で空港泊は可能か?
NAIAに限った話ではないが、ある程度大きな国際空港では空港自体が完全に閉まることは少ない。
深夜帯は確かに静かにはなるが、フライトがある限りは人もスタッフもいるし、明かりも点いている。
マニラの街中を深夜に荷物を持って歩くのは、安全面でおすすめしづらい。
その点、空港の中は明るく、警備員もしっかりと巡回していて、滞在するには十分な安心感がある。
実際、私が空港で過ごしたときにも、夜を明かそうとしている人は多かった。
「朝になったら街に出よう」「次のフライトまでここで待とう」という人が集まってくる場所──それが空港泊の現場だ。
深夜の安全性と雰囲気
深夜のターミナル3は、照明がしっかり点いており、人の気配も完全には途切れない。警備員も巡回しているため、不安を感じる瞬間は少なく、深夜帯としては落ち着いた環境といえる。出発便の合間を縫うように、椅子で体を丸めて休む人、床にマットを敷いて眠る人など、空港泊の利用者は常に一定数いる。
こうした光景は珍しくなく、翌朝の早朝便に備えて前日から空港に入る人、深夜到着後そのまま朝まで滞在する人など、理由はさまざま。ホテルを出る時間を気にする必要がなく、移動リスクも抑えられるため、旅慣れた人にとっては自然な選択肢になっている。
なお、NAIAはターミナルごとに性格や使い勝手が大きく異なる空港であり、空港泊を考える上でも全体構造を把握しておくと判断がしやすい。NAIA全体ガイドで全体構造を整理している。
ターミナル3で休める場所まとめ(2025–2026年版)
ターミナル3では、改装工事の影響で以前より使えるスペースが減っているものの、深夜帯に休める場所は現実的に確保できる。特に4階のレストランフロアが大きく閉鎖されたことで選択肢は絞られたが、到着階や出発階には依然として空港泊の利用者が集まる定番スポットが残っている。ここでは、実際に旅行者が深夜に滞在しやすい場所をまとめておく。
● 1階(到着フロア):広いベンチ群がある現実的な休憩スポット
到着階には、荷物受け取りエリアから外側へ出たあたりに金属製のベンチが複数並び、人の流れも比較的落ち着いている。深夜帯は空港泊の利用者が多く、座る・下に横になるなどスタイルはさまざま。照明は明るいが、空港泊勢には使いやすい場所だ。

● 出発フロア:チェックインカウンター周辺は“予約確認がある区画”と一般エリアに分かれる
出発フロアには航空会社のチェックインカウンターが並ぶが、カウンターのすぐ近くへ入る際には、係員が予約の確認を行っている。
このため、搭乗予定のない利用者がチェックインエリア内部に入ることはできない。
一方で、その外側には一般客でも滞在できるスペースがあり、こちらにはベンチがいくつか置かれている。深夜帯はベンチが埋まりやすく、空いていない場合は通路の端や壁際で体を丸めて休む旅行者の姿も多い。

● 旧レストランフロア(出発フロアの上):現在は工事でほぼスペースが狭い
かつて空港泊の“定番エリア”だったが、2025年12月時点では広範囲が立入禁止になっている。ベンチはほぼ撤去されており、あえてここを選ぶ理由は少ない。一部通路はあるのでそこで休む人は見られた。

深夜の施設状況:飲食・売店・両替・電源・トイレ
2025年現在の状況に合わせて、深夜帯の施設の利用可能状況を整理した。
| 項目 | 深夜の状況 | 補足 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 多くは23時前後で閉店※2階に24時間営業あり | 2階フードホールは朝4時~5時には再オープンしてくる |
| 売店 | 23時ごろまで営業の店が多い | 深夜は選択肢が限られるため、必要な物は早めに確保 |
| 両替所 | 深夜は基本閉店 | 必要ならATM利用。ただしレートは不利なことも |
| 電源・充電 | 出国審査前の一般エリアにはほとんど電源がない | 出国審査後の制限エリアには充電ステーションが設置されている。空港泊の場合はモバイルバッテリー必須 |
| トイレ | 24時間利用可能 | 清掃は比較的こまめで清潔 |
| セキュリティ | 警備員が巡回 | 荷物は自己管理必須 |
なお、T3の設備や動線についてはT3設備・動線利用ガイド記事で整理しているので参考されたい。
2階のフードホールが大幅に拡張され、Paris BaguetteやSeattle’s Best Coffee(2階、24時間営業)など複数のレストランが営業を開始した点は最近の大きな変化だ。空港泊に直接使えるわけではないが、従来よりも夜明け後の過ごしやすさが向上している。


フードホールのさらに詳しい店舗情報については、NAIA第3ターミナルフードホール拡張記事で記載している。
Passenger Holding Areaは使えるのか?
ターミナル3の出発フロアにはリクライニングチェアが並ぶPassenger Holding Areaがある。ここはチェックインカウンター周辺のベンチとはまた別の利用客向けの待機エリアで、利用にはフライトが必要になる。チェアの数は利用者に対して少なく、深夜でもほぼ満席の状態で空港泊目的での利用は難しいのが実情だ。

無料Wi-Fiと通信環境(速度レポート)
NAIAの各ターミナルには無料Wi-Fiサービスがあり、ネット環境は確保されている。
「NewNAIAFreeWiFiByConverge」「NewNAIAFreeWiFiByPLDT」など複数SSIDがあり、どちらも問題なく接続できた。
実際に速度を計測すると下り110Mbpsを記録し、動画視聴やリモート作業でも問題のないレベルであった。


空港泊で時間を持て余す時には、通信環境がしっかりしているのはありがたい。
4時の“起床タイム”と朝のターミナル
警備面では安心とはいえ、床や椅子で寝る以上、貴重品だけは肌身離さずが鉄則。実際、バッグを枕にして寝ている人や、抱え込んで仮眠している人も多かった。管理が甘い人も見かけたが、何かあってからでは遅い。空港内だからといって油断しないこと。
それと、午前4時になると、空港スタッフが軽く声をかけながら寝ている人を起こして回っていた。
おそらく「深夜の仮眠は黙認しているけれど、朝には起きてね」という方針なのだろう。
もちろん4時を過ぎても寝ている人はいたが、日本人の感覚としては寝続けるには気まずさもある時間帯になってくる。
空が白みはじめ、出発カウンターが再び活気を帯びてくる時間。
このあたりで一区切りして、身支度をして朝食でも取るのが良さそうだ。
クラーク空港、アンヘレス行きのバスもNAIAのターミナル3から出ており、移動に便利。
▶ マニラ空港からアンヘレス・クラーク空港へのバス移動完全ガイド(2025年)
空港泊は「選択肢のひとつ」──でも正直しんどい
深夜便を選んだ時点である程度の覚悟はできていると思うが、正直なところ空港泊の眠りの質はかなり悪い。床で寝ても多少寝れたという程度だし、椅子も硬い。翌日は身体が重い。
とはいえ、宿代を節約できて、安全な場所で朝を迎えられるという意味では、十分にアリな選択だ。特に、バックパッカーやLCC派の旅人には馴染みやすいスタイルといえる。
以前は、空港内に「The Wings Transit Lounge」という有料ラウンジがあり、仮眠スペースやシャワー、軽食の提供など、しっかり休みたい人向けの選択肢もあった。
ただ、残念ながらこのラウンジは2025年3月をもって営業を終了しており、現時点では再開の予定は未定とのこと(※公式Facebookより)。
もし復活すれば、空港泊の快適さは大きく変わるはずだが、少なくとも現在のNAIAターミナル3では、空港内で「しっかり休める」選択肢は限られている。
そのため、マニラ周辺では「到着後にどうするか」ではなく、そもそもフライト選択の段階で、NAIA発着にするか、クラーク国際空港発着にするかを考える視点も現実的になる。
クラーク国際空港はマニラ中心部からは距離があるものの、空港泊のしやすさや深夜の環境はNAIAとは大きく異なる。クラーク空港での空港泊事情については、別記事で詳しくまとめている。
空港泊のメリット・デメリットまとめ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 宿泊費を抑えられる | ベンチや床は快適とは言えない |
| 深夜移動の不安はない | 眠りが浅く疲れが残りやすい |
| 朝からすぐ行動できる | 改装工事中で寝床が減った |
空港泊は万人におすすめできるわけではないが、旅のスタイルや予算に合わせて柔軟に選べる選択肢の一つ。旅程を立てる際の参考になれば幸いです。


