かつて、フィリピン・マニラへ最安で行くにはセブパシフィック一択だった時代があった。特に成田便が就航する前は、セブパシフィックは関西国際空港発の便しかなかったため、わざわざ深夜バスで関東から関空まで移動し、そこからセブパシでマニラへ向かったこともある。
しかし時は流れ、現在は成田・羽田から複数のLCCがマニラに直行便を出している。セブパシフィックはもちろん、ZIPAIR、フィリピン・エアアジア、そしてジェットスタージャパンなどが参入し、競争が激化した結果、セブパシフィックの価格的な優位性は薄れたと感じる。
ZIPAIRを選んだ理由:時間と価格のバランス
5月のフィリピン訪問では、ZIPAIRの午前8:55発 成田→マニラ便を選択した。理由は単純で、
- 到着時間が昼(12時台)であり、行動しやすい時間に着くこと
- この日の価格ではZIPAIRが最安であったこと
実際に搭乗してみると、日系エアラインらしい清潔感ある機体と、丁寧な接客が印象的。何といってもフィリピン行きのLCCで日本語でサービスを受けるのは違和感を感じた。座席も思ったほど狭くなく、USB充電ができるのは嬉しい。バンコク行きに乗った際も同様の感想で、ZIPAIRは、LCCの“安いだけ”というイメージを良い意味で裏切る、快適な移動手段であると感じた。

一方で、8:55という出発時間は空港まで遠いと始発電車でも間に合わないのが弱点。成田に前日入りするのは割に合わず、それゆえ安くなっていると思われる。
セブパシフィックの現在地:やや高め、でも安心感も

セブパシフィックも依然として人気のLCC。今回比較した際、価格はZIPAIRよりやや高かったものの、昼出発・夕方マニラ着というスケジュールの良さは日本で時間に余裕を持てるため大きなメリットである。
加えて、近年は遅延が少なくなってきている気がするし、フィリピンの知り合いも今やフィリピン航空より信頼しているようだ。実際にGoogleフライトの直近7日間データを確認したところ、便は概ね定刻運航されていた(2025年6月時点)。
また、安さを求めるなら夜のフライトもある。19:25発、23:55着というマニラ着が遅く使いにくいが、NAIAターミナル3なら空港泊も可能なので、旅程次第では選択肢となる。
空港泊の記事はこちら(マニラの空港NAIAで夜間滞在のすすめ)
他の選択肢:時間帯と快適性に注意
LCCは他にもあるが、注意点も多い。
- フィリピン・エアアジア:午前11時発の便があり、時間帯としては非常に使いやすい。運賃も安定しており、成田発のLCCとしては十分に実用的である。ただし現時点では1日1便のみの運航であり、キャンセルや変更時に選択肢が限られる点は留意したい。
- ジェットスタージャパン:深夜発・早朝着の便が多く、マニラ到着が深夜の午前0〜2時になる。ホテルチェックインや空港からの移動が不便なため、安さ重視で選ぶ人向けとなる。
【比較表】2025年7月現在のLCC便概要(成田発)
航空会社 | 空港 | 出発時間 | 到着時間 (マニラ) | 運賃の目安 (片道) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ZIPAIR | 成田 | 8:25〜9:10 | 12:40頃 | 15,000〜22,000円 | 清潔・快適・時間良し。おすすめ |
セブパシフィック | 成田 | 12:50/19:25 | 17:30/23:35頃 | 18,000〜25,000円 | 昼発・夜発ともに存在、安定運航 |
フィリピン エアアジア | 成田 | 11:10 | 15:00頃 | 17,000〜23,000円 | 使いやすい時間帯、便数は限定 |
ジェットスター ジャパン | 成田 | 19:40/21:50 | 翌1:00〜2:00頃 | 12,000〜18,000円 | 深夜着・初心者には不向き |
※運賃は2025年7月1日時点での概算(直前だと高くなるので注意)
出発時間は日によって多少前後する。予約前に公式サイトやオンライン予約サイトでの確認を推奨。

おすすめ順位
筆者の主観ではあるが、以下の順番でおすすめしたい。
- ZIPAIR:価格・快適性・時間のバランスが非常に良い
- セブパシフィック:定番であり、時間帯に安定感がある
- フィリピンエアアジア:便数は少ないが、実用性は十分にある
- ジェットスタージャパン:安いが深夜着が最大のデメリット
LCCは確かに安さが魅力であるが、出発・到着時間や快適性を含めた「総合的なコスパ」で選ぶことが重要になってきた。旅の目的やライフスタイルに応じて、最適な航空会社を見極める視点が求められている。
ZIPAIRのような“安くて快適”な選択肢が今後さらに増えていくことに期待したい。