ダバオに滞在していると、必ず耳にするのが「サマル島」の名前である。市街地の目の前に広がる大きな島で、フィリピン人にとっては週末の定番リゾートだ。淡路島の半分ほどの大きさながら、美しいビーチやリゾート施設が点在し、旅行者にも人気が高い。
サマル島へはダバオからフェリーで約20分。距離は近いが、実際に行ってみると「混雑」「待ち時間」「移動手段の確保」など、事前に知っておくべきポイントが多いことに気づかされた。この記事では、私が2025年6月に実際にサマル島を訪れた体験談を交えながら、フェリー料金・所要時間・乗り場までの行き方・島内移動・注意点を詳しく解説する。
なお注意点として、ここで紹介するサマル(Samal)島はミンダナオ島のすぐ隣にある島であり、セブやレイテ島北部のサマール(Samar)島とは別物である。名前が似ているため混同しないようにしたい。
ダバオ市内からサマル島フェリー乗り場への行き方
サマル島へ渡るフェリーは、ダバオ市内からアクセスできる Sasa Ferry Wharf が一般的である。もう一つ Sta. Ana Wharf もあるが、利用者数は少ない。
私はダバオ中心部からGrabタクシーを利用し、Sasa Ferry Wharfへ向かった。市内の交通状況にもよるが所要時間は約30分、料金は377ペソであった。ダバオ国際空港よりも少し遠い感覚。
ターミナル付近に近づくと、道路はすでに大渋滞。週末の昼間だったこともあり、車・バイク・徒歩の乗客が入り混じって長い列を作っていた。「これは時間がかかりそうだな」と、タクシーからでもすぐに分かるほどの混雑ぶりであった。

サマル島行きフェリーの料金・チケット購入方法
フェリーターミナルへの道。徒歩、バイクそれぞれの列が長く続く。フェリーはフル稼働しているがいかんせん旅行者数が多い。土曜の昼に行く場合は待ち時間を覚悟した方がいい。

徒歩で乗船する場合、料金は 一人20ペソ と驚くほど安い。チケットといっても紙ではなくコインで、改札口に投入して回転バーを押して通過する。フィリピンではよく有料トイレに設置されているようなゲート。前の人と同じように進めば問題ない。

車やバイクを乗せる場合は別料金となり、車両ごとに精算することになる。サマル島は広く、徒歩での観光は現実的でないため、車やバイクをそのままフェリーに積んで渡る利用者が多い。
私自身は徒歩で渡ったが、正直これが失敗だった。後述するが、島内での移動手段の確保に苦労した。
サマル島フェリーの運航時間・所要時間と混雑状況
フェリー自体の航行時間は約20分と短い。しかし問題は乗船までの待ち時間である。私が利用したときは、並び始めてから乗船するまでに 約50分 かかった。
列に並んでいる間は屋根はあるが、強い日差しと蒸し暑さで汗が止まらなかった。水を持参していなければ体力的にかなりきつかっただろう。週末や休日に利用する場合は、炎天下での待機を覚悟する必要がある。

運航は24時間体制で、最終便を心配する必要はない。実際、私がダバオに戻ったのは夜8時過ぎだったが、まだ多くの人がフェリーを利用していた。安いし、車でも乗船できるし、24時間営業でまるで桜島フェリーのようだ。観光客だけでなく、地元住民にとっても生活の足であることを実感した。
なお、港湾局(Philippine Ports Authority)の統計によれば、2024年第1四半期だけで約61万人がこの航路を利用している。単純換算すれば年間200万人規模に達する勢いであり、その利用者数の多さからもフェリーの重要性が裏付けられる。サマル島航路の乗客統計PDF(PPA公式)
フェリー船内の様子と乗船体験
フェリーの大きさにまず驚かされた。短距離航路ということで、パタヤのラン島行きの船をイメージしていたが、実際には車やバスまで積載できる大型フェリーであった。


2階席に上がると、海風が心地よく、ダバオ湾の景色が広がる。混雑で疲れた身体も、ここでようやく旅情を感じることができた。ライフジャケットは備え付けられているが着用義務はなく、乗客は自由にデッキを歩き回っていた。ライフジャケット着用義務があったパタヤ⇔ラン島間フェリーはその辺しっかりしていたのだな、と思う。


サマル島到着後の移動方法(トライシクル・レンタル・車持ち込み)
サマル島のフェリーターミナルに到着すると、すぐにトライシクルの客引きが声をかけてくる。周辺には売店やガソリンスタンドもあり、小さな観光拠点のような雰囲気だ。

サマル島側フェリー乗り場の位置。改めてみるとミンダナオ島から至近、そしてサマル島は大きい。
サマル島は徒歩で観光できる規模ではない。私は徒歩で渡ったため、移動のたびにトライシクルを交渉する必要があり、正直かなり面倒だった。ある程度滞在時間があるのなら、トライシクルとドライバーを貸し切ってしまうこともできる。結果として「車かバイクをレンタルしてフェリーごと持ち込むのが最も快適だ」と痛感した。
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実際に利用して分かった注意点をまとめる。
- 休日は避けたい:特に土曜はフィリピン人観光客で混雑が激しい
- 水分補給は必須:並んでいる間は炎天下で体力を消耗する
- 徒歩は不便:島内移動の効率を考えると車やバイクを持ち込むのがベター
- トライシクル貸切も可能:短距離なら₱100〜₱200前後、観光地巡りなら1日チャーターで₱1,500前後が相場(要交渉)
混雑に疲れはしたが、海を渡る短い船旅には特別な楽しさがあり、旅情を感じられた。
今後のサマル島アクセス(橋の建設計画)
現在、ミンダナオ島とサマル島を結ぶ橋の建設が進んでいる。

完成すれば、車で直接渡れるようになり、これまでフェリーで1時間近くかかっていた移動が数分で到着できるようになる見込みだ。
実際に現場を訪れると、巨大なクレーンや橋脚がすでに組み上がっており、工事が着々と進んでいるのがわかった。旅行者としては便利になる一方で、「今だけのフェリー体験」がますます貴重に思えた瞬間であった。
旅行者にとっては「待ち時間を気にせず気軽に行けるリゾート」になるだろう。しかしその反面、フェリーで渡るという特別感や旅情は失われてしまう。混雑や炎天下で並ぶのは大変だが、フェリーに乗り込み、海風を浴びながら20分ほどで島に近づく時間は、ちょっとした冒険のようで楽しいものだった。
橋が完成すれば便利になるのは間違いない。しかし「フェリーに揺られてサマル島へ渡った」という体験は、数年後には貴重な思い出になるかもしれない。
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サマル島はダバオから最も気軽に行けるリゾート地であり、フェリーを使えば20分ほどで到着できる。ただし週末は混雑が激しく、乗船まで1時間近く並ぶこともある。炎天下での待ち時間に備え、水分補給や暑さ対策は必須だ。
島内は徒歩で回れる規模ではないため、快適に観光するには車やバイクをフェリーに同乗させるか、現地でのレンタル・トライシクル貸切を利用するのが現実的である。特にトライシクルは短距離移動なら手軽で、1日チャーターすれば効率よく観光地を回れる。
現在は橋の建設が進んでおり、完成すればわずか数分でサマル島へ渡れるようになる見込みだ。しかしその一方で、「フェリーで揺られて島に渡る」という旅情は今だけの特別な体験といえる。便利さが増す前に、ぜひフェリーに乗ってサマル島を訪れてみてほしい。
よくある質問(FAQ)
Q. ダバオからサマル島フェリーの料金はいくら?
A. 徒歩は一人20ペソで格安。私も実際に20ペソのコインをゲートに入れて通過したが、まるで有料トイレのような仕組みでユニークに感じた。車やバイクは別料金となる。
Q. フェリーの運航時間は?
A. 24時間体制で運航しており、最終便を心配することなく深夜や早朝でも利用可能。私は夜8時過ぎにダバオに戻ったが、まだ多くの人がサマル島行きフェリーを待っていたのが印象的だった。
Q. フェリーの所要時間は?
A. 航行時間は約20分。ただし週末や祝日は乗船待ちで1時間以上かかることもある。私が土曜昼に利用した際は、炎天下で50分以上並ぶことになったので、飲み物は必須だ。
Q. サマル島に着いた後の移動手段は?
A. トライシクル、レンタルバイク、レンタカーが主流。私は徒歩で港近くを少し歩いたが、すぐに不便さを痛感し、トライシクルを使うことにした。
Q. トライシクルを貸切る場合の料金は?
A. 短距離なら₱100〜₱200程度、観光地を1日かけて回るチャーターなら₱1,500前後が相場。私も交渉してみたが、観光客には少し高めに提示される印象だったので、乗る前に必ず確認するのが安心。
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