クラーク国際空港(現在の旅客便は新旅客ターミナル=T2に集約)は、マニラ首都圏から距離がある一方で、アンヘレス周辺を含む北部ルソンの玄関口として近年利用が増えている空港だ。
空港自体は新しく整備されているが、市内からのアクセスについては分かりやすく整理された公式情報が少なく、特にアンヘレスやSMクラーク周辺から向かう場合、判断に迷いやすい。
選択肢が多そうに見える一方で、現在の空港構造を前提にすると、実用的な手段は限られている。
一般的にはGrabやタクシーが無難だとされる一方で、P2Pバスやジプニーでも行けるという情報も散見される。ただし、それらが実際にどこから、どのように利用できるのかは、現地で確認しなければ分からない部分が多い。
本記事では、SMクラークを起点に、Grab、ホテル手配のタクシー、P2Pバス、そしてMain Gate発のジプニーまで、実際に確認・一部乗車したうえで、それぞれの特徴と現実的な使い分けを整理する。
価格の安さだけで判断すると失敗しやすいのが、クラーク国際空港のアクセスである。この記事が、空港へ向かう際の判断材料になれば幸いだ。
結論:クラーク国際空港へは「時間と荷物」で選ぶ
SMクラーク周辺やアンヘレスからクラーク国際空港へ向かう場合、
どの手段が正解かは、価格よりも「時間の確実性」と「荷物の量」で決まる。
結論を先に整理すると、以下の通り。
| 条件 | おすすめ |
|---|---|
| とにかく早く・確実に行きたい | Grab |
| 多少高くても安心したい | ホテル手配のタクシー |
| 時間に余裕があり、安さ重視 | P2Pバス |
| 現地の交通を体験したい/冒険しても構わない | ジプニー |
Grabは最安ではないが、ドアツードアで確実に空港へ向かえる点で、もっとも現実的だ。
P2Pバスは100ペソと安価だが、時刻表がなく待ち時間が読めないため、時間に余裕がある場合に限られる。
一方、Main Gate発のジプニーは理論上は空港に行けるものの、直行ではなく所要時間も不透明で、実用面でのメリットはほとんどない。
現地の交通を体験したい、ある程度の不確実性を楽しめる場合の選択肢と考えたほうがよい。
Grab:アンヘレス・SMクラークから最も現実的な選択
SMクラーク周辺やアンヘレスからクラーク国際空港へ向かう手段として、最も現実的なのはGrabだろう。
理由はシンプルで、確実性・所要時間の読みやすさ・荷物対応の3点で他の選択肢を上回るからだ。
実際にSMクラーク周辺から配車したところ、表示された料金は500ペソ強であった。

時間帯や天候によって上下はあるものの、事前に目安額が分かるのはメリット。
Grabはドアツードアで移動でき、スーツケースがあっても問題ない。
また、深夜や早朝でも配車でき、早朝便・深夜便を利用する場合の安心感は大きい。
一方で、最安ではない点はデメリット。
しかし、P2Pバスの待ち時間や、ジプニーの不確実性を考えると、移動時間を買うと考えれば、妥当なコストだ。
初めてクラーク国際空港を利用する場合や、フライトに遅れたくない状況では、
Grabを選んでおけば基本失敗することはない。特に、空港到着後のチェックイン締切を逆算すると、Grabの安定感は数字以上に大きいと感じた。

ホテル手配のタクシー:確実だが割高
アンヘレスやSMクラーク周辺のホテルで空港への移動手段を尋ねると、
多くの場合、公共交通の案内はなく、Grabまたはタクシーの利用を勧められる。
ホテル手配のタクシーは、出発時間を指定でき、確実にクラーク国際空港へ直行できる点が最大のメリットである。
特に、早朝便やフライト時間がタイトな場合には、精神的な安心感が大きい。
一方で、料金はおおむね700〜1,000ペソ前後が目安となり、
SMクラーク周辺からGrabを利用した場合(約500ペソ強)と比べると割高だ。
価格面での優位性はないものの、
確実性を最優先したい場合の「安心代」と考えれば、選択肢になってくる。
P2Pバス:最安だが、空港アクセスとしては不安定
SMクラーク正面エントランスのP2Pバス乗降所から、
マニラ方面から到着したP2Pバスに途中乗車する形で、クラーク国際空港へ向かうことができる。
筆者も実際にこの方法で空港まで移動した。


料金は100ペソで、今回検証した手段の中では最安である。

ただし、このP2PバスはSMクラーク発の空港行きとして運行されているわけではない。
SMクラークは、あくまでマニラ→クラーク国際空港路線の途中下車地点であり、
時刻表は存在せず、マニラから来たバスを待つ必要がある。


実際に待った際、
「クラーク国際空港行き」と表示された車両が到着し、車内も空いていたにもかかわらず、
「次のバスに乗るように」と案内されたことがあった。
多くの乗客がSMクラークで下車するため、回送扱いになるケースもあるのかもしれない。

結果として、SMクラーク→クラーク国際空港のP2Pバスは満席とは無縁で、
乗車自体は難しくないが、いつ来るか分からず、タイミングが悪いと1時間程度待つ可能性もある。
また、SMクラークまでの移動を含めると、スーツケースを持った移動には向かないと感じた。
価格の安さは魅力だが、
「ついでに乗せてもらう交通手段」という位置づけであり、時間の確実性を求める場合には向かない。
帰国日やチェックアウト後の移動など、時間がズレると取り返しがつかない場面では現実的ではない点は意識しておきたい。

ジプニー(Main Gate付近のBayanihan):かつては合理的、現在は選ぶ理由がほぼない
実地で確認したところ、Clark Main Gate付近にあるBayanihan Jeepney Terminalから、
理論上はクラーク国際空港の新旅客ターミナルへ向かうことは可能だった。
空港方面に向かうのは、Bayanihan Jeepney Terminal内の「Route 1」と表示された乗降所に停車する緑色のジプニーで、まずクラーク方面の終点まで走行し、乗客を全員降ろした後に、追加で空港へ向かうという運行形態である。


料金は220ペソ。
また、運転手から400ペソの直行扱いサービスがあるとの案内もされた。掲示物は以下。

ただし、このジプニーは空港直行便として運行されているわけではなく、
出発タイミングは乗客の集まり具合次第で、所要時間は読めない。
また、「Airport」と表示されたジプニー乗り場が、実際には空港行きではないケースがある点にも注意したい。

これは、旅客ターミナルが市街地寄りにあった時代の表記が残っているためと考えられる。
現在、クラーク国際空港の旅客便はすべて新旅客ターミナルに集約されており、
旧来の前提で成り立っていたアクセス方法は当てはまらない。
なお、アンヘレス市内のホテルで空港へのタクシー以外での移動手段を確認した際も、ジプニーの案内はなく、Grabの利用を勧められた。
現状のジプニーは、現地の交通事情を体験したい場合を除けば、空港アクセスの選択肢としては、正直あまり現実的ではない。情報として知っておく価値はあるが、「これを前提に計画を立てる交通手段ではない」と考えた方がよい。
まとめ
SMクラークやアンヘレス周辺からクラーク国際空港へ向かう手段はいくつかあるが、
現在の空港構造を前提にすると、選択肢の実用性には大きな差がある。
最も確実なのはGrabで、価格はやや高めでも所要時間が読みやすい。
P2Pバスは最安だが、時刻表がなく待ち時間が読めないため、時間に余裕がある場合に限られる。
一方、ジプニーは旧来の前提では合理的だったものの、新旅客ターミナルへの集約後は実用性を失っている。
クラーク国際空港のアクセスでは、「安さ」よりも「確実性」を重視する判断が重要だ。
空港到着後、クラーク国際空港からSMクラークやアンヘレス市内へ移動する方法については、別記事で整理している。
本記事の実地検証が、空港へ向かう際の現実的な選択の参考になれば幸いである。
なお、クラーク国際空港のターミナル構成や施設全体については、クラーク国際空港ガイドで整理している。
特に初めてクラーク国際空港を利用する場合は、価格よりも「時間の確実性」を優先した判断が失敗しにくい。
※本記事の内容は、2025年12月時点の現地取材・実地確認に基づいています。


