※本記事は、筆者が2025年11月に現地を取材した内容をもとに構成しています。
Van Mieu(バンミエウ/バンミュウ)駅は現在工事中で、ハノイメトロ3号線の延伸区間として2027年の開業が予定されている。
Van Mieu駅は、ニョン〜ハノイ駅を結ぶ3号線の市内中心部区間に位置する予定の駅である。隣駅はハノイ駅となるため、実質的には同線の“2駅目”という扱いになる。隣駅までの距離は高架区間と比べても短く、文廟(Văn Miếu)の至近であることが駅の配置にも影響している印象を受ける。

※Van Mieu駅の実際の開業に関する情報は今後の公式発表(ハノイメトロ公式サイト)で確認できる。
文廟が至近の“観光拠点エリア”

Van Mieu駅周辺は、ローカルな街並みが残りつつも観光客が多いという独特の雰囲気がある。その理由こそが、ハノイを代表する観光名所である文廟(Temple of Literature Hanoi/Văn Miếu – Quốc Tử Giám)だ。文廟の公式サイト(vanmieu.gov.vn)にも詳しい情報が掲載されているように、学問の拠点としての歴史と文化的価値が高いスポットである。
文廟は1070年に建立された孔子を祀る廟であり、その敷地にはベトナム最古の教育機関・国子監が置かれていたことから、しばしば「ベトナム最初の大学」として紹介される場所でもある。境内には科挙に合格した進士の名前が刻まれた石碑が並び、学問成就の祈願で多くの学生が訪れる。文廟は、ハノイの二階建て観光バス(Hanoi Sightseeing Bus)の定番ルートにも組み込まれており、市内観光の必見スポットとして国内外の旅行者から高い人気を集めている。
観光客が多い分、文廟前にはタクシーやバイクタクシーが常に待機しているが、ぼったくりの話も耳にするため注意が必要である。将来的にメトロでアクセスできるようになるのは、旅行者にとって大きな安心材料となるだろう。
文廟前のQuốc Tử Giám通りで進む工事

Van Mieu駅の工事は、文廟のすぐ目の前を通るQuốc Tử Giám通り沿いで進められている。大通りではないが車の流れは多く、一方通行もあるエリアである。道路の両側に工区が設けられ、薄い黄色の仮囲いに囲まれた内部の様子は外からはほとんど見えない。
現地を歩いた限りでは、隣のハノイ駅やカットリン駅(Cat Linh Station)のような大規模交差点の工事と比べると、作業の動きは控えめに感じられた。起点駅でも乗換駅でもないため、必要な工程が異なるのかもしれないが、2027年開業というタイムラインを思うと少し心配にもなる。
とはいえ、仮囲いや安全標識は丁寧に整備され、文廟という観光地に隣接する場所として配慮された工事が進められている印象を受けた。

ローカル生活と観光が交差する周辺環境

工事エリア周辺はローカル色の強い住宅街で、食堂や小さな商店が並ぶ。一方で文廟を目指す観光客が常に行き交い、外国人向けのカフェも点在するなど、生活と観光が同時に存在するエリアである。路上のバインミー屋台から観光客向けカフェまで、ハノイらしい多様性を感じられる場所だ。
3号線が全線開業すれば、文廟へのアクセスは大きく変わるだろう。現在はタクシーやGrabが主流だが、駅が完成すれば徒歩でアクセスでき、周辺の店舗も恩恵を受けるはずだ。観光ルートに新しい選択肢が生まれることで、この一帯の雰囲気もさらに活気づきそうである。
開業後は文廟アクセスの新たな玄関口に
Van Mieu駅は現在工事中で、駅構造や出入口の位置など具体的な情報はまだ多くない。しかし、文廟という強力な観光資源を抱えるエリアであるだけに、将来的には“文化スポットの玄関口”となる可能性が高い。
ローカルな街並みに溶け込む文廟の荘厳な門構えと、そのすぐ近くで進むメトロ工事。その対比は、急速に変わりつつあるハノイの現在を象徴しているようでもある。ハノイメトロ3号線が完全に開業したとき、このエリアがどのように姿を変えるのか――楽しみにしておきたい。
隣駅(工事中の起点駅)となる ハノイ駅工事レポートはこちら。
ハノイメトロ3号線の全体概要については、3号線まとめガイドで詳しく紹介しています。



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