【ホーチミン・メトロ1号線】Ba Son駅(バソン駅)|リバーサイド再開発エリア「Vinhomes Golden River」の玄関口

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※本記事の内容は筆者が2025年10月に現地を訪れた際の取材をもとに構成しています。

ホーチミン・メトロ1号線の地下区間に位置する「Ba Son(バソン)駅」は、市中心部のベンタイン駅から2駅目にあたる。
かつてこの一帯には「Ba Son造船所」があり、フランス植民地時代から続いたサイゴン川沿いの造船施設跡地に建設された。現在はその跡地が再開発され、近未来的な高層住宅街「Vinhomes Golden River」として生まれ変わっている。

駅周辺には、2025年に開業した高層複合ビル「Saigon Marina IFC」や、JWマリオットブランドを冠する「Grand Marina Saigon」などの再開発プロジェクトが並ぶ。
ホーチミン市が進める国際金融センター構想の拠点エリアでもあり、メトロ開通によって利便性と注目度がさらに高まっている。

Ba Son駅は地下鉄区間の島式ホーム構造を採用しており、両方向の列車を同一ホームで乗り降りできる。

ホーチミン・メトロ1号線 Ba Son駅の地下ホーム

ホームドアは天井まで届く全面タイプで、転落や侵入の危険を防ぐ設計だ。照明も非常に明るく、海外地下鉄でありがちな暗さや治安の不安はまったく感じない。

トイレや待合ベンチも完備され、内装は日本の地下鉄駅を思わせる清潔感がある。施工には日系建設企業も参画しており、仕上げの精度や案内サインの品質にもこだわりが見られる。

Ba Son駅のトイレと待合スペース

構内には広告や案内表示用のスペースが整備されており、今後は商業広告や観光案内などへの活用が見込まれる。
現在はメトロ関連や安全掲示が中心だが、開業初期の段階としては自然な構成だろう。

5つの出口で街とつながる都心型構造

Ba Son駅には5つの出入口が設けられており、郊外駅と比べると都心部の地下鉄らしい複雑な構成となっている。

  • 出口1(Gate 1)は Ton Duc Thang通りの南側に位置し、Le Thanh Ton通りのヘム(路地)や「サイゴン日本人街(Japantown)」方面へアクセスしやすい。市中心部に向かう際に便利な出口である。▶ Ba Son駅 出口1(Google マップで開く)
Ba Son駅 出口1(Ton Duc Thang通り側)の入口
出口1の地上入口。HCMC METROのロゴが設置され、周囲には高架道路とビルが立ち並ぶ。
  • 出口2〜5はVinhomes Golden RiverやSaigon Marina IFC付近に設けられ、川沿いやBa Son橋方面へスムーズに移動できる。
Ba Son駅 出口付近からの風景
出口付近からはBa Son橋と高層ビル群が見渡せる

また、駅構内の通路は地下横断歩道(アンダーパス)としても機能しており、Ton Duc Thang通りを地上に出ずに横断できる設計となっている。

駅構内の地下通路(アンダーパス)
地下横断歩道としても利用できる通路

この構造はバンコクMRTシーロム駅にも似ており、都市中心部の交通導線を意識した設計といえる。

サイゴン川とBa Son橋の景観
Ba Son橋越しに広がるサイゴン川の眺望

地上へ出ると、開放感のある出入口からサイゴン川とBa Son橋(Cầu Ba Son/旧称Thủ Thiêm 2橋)を望むことができ、リバーサイドらしい景観が広がる。この橋は2022年4月に開通した全長約1.5 km、うち歩行可能な部分は約900 mのケーブル斜張橋。実際に歩いて渡ることもでき、夕暮れ時には高層ビル群と川面の景色が重なり、ホーチミンでも屈指のフォトスポットとして人気を集めている。

特に出口3付近の芝生広場からは、Ba Son橋がちょうど良い角度で見える。

出口3から見るBa Son橋とサイゴン川の眺望

芝生広場は週末にはカップルや家族連れが写真撮影やピクニックを楽しむ姿も多く、近代的な都市の中に小さな憩いの空間が生まれている。

Ba Son駅 出口3付近の芝生広場
Vinhomes Golden Riverの高層住宅街

駅から徒歩圏内には高級住宅街「Vinhomes Golden River」が広がる。
整然とした街並みやガーデンエリアが特徴で、住民専用の遊歩道やカフェスペースも整備されている。
敷地内にはインターナショナルスクール「Vinschool」もあり、教育・生活両面で利便性が高い。

Vinschoolの校舎外観

また、2025年に竣工した「Saigon Marina IFC」や、同エリア内に展開する「Grand Marina Saigon(JW Marriott Residences)」は、ホーチミン市の新たなランドマークとなりつつある。

Saigon Marina IFCの外観
2025年に開業したSaigon Marina IFCタワー

リバーサイドの再開発プロジェクトも進行中で、今後は公園や商業施設の整備も予定されている。

Vinhomes Golden River周辺の再開発エリア
公園や新プロジェクトの建設が進む再開発地区
サイゴン日本人街入口の赤提灯通り

Ba Son駅からLe Thanh Ton通り方向へ徒歩10分ほど進むと、ホーチミンでも有名な日本人街「サイゴン日本人街(Japantown)」が広がる。
この一帯は「レタントン通り(Le Thanh Ton)」や「タイバンルン通り(Thai Van Lung)」のヘム(路地)を中心に、日本食レストラン、居酒屋、カラオケ、バーが軒を連ねている。
夜になると赤提灯の灯りが並び、まるで東京・新橋のような雰囲気。日本人駐在員はもちろん、現地在住のベトナム人や観光客にも人気のナイトスポットだ。

Ba Son駅の出口1からアクセスできる最寄りの地下鉄口として、今後はこの日本人街への導線としても注目されている。
メトロ開業により、観光客が「ホテル→Ba Son駅→日本人街」で気軽に移動できるようになり、周辺の飲食店にとっても集客効果が期待される。

ホーチミン中心部の造船所跡地に誕生したBa Son駅は、都市の新しい玄関口として注目を集めている。
サイゴン川沿いの開放的な景観と高層ビル群が調和するこのエリアは、メトロ開通を機に大きな変化を遂げつつある。
交通利便性、住環境、観光性の三拍子が揃ったBa Son駅周辺は、今後のホーチミン都市発展を象徴するエリアといえるだろう。

参考リンク

次回は隣の「Opera House駅」を紹介します。
→ 【前回】Van Thanh Park駅の記事はこちら
→ 【次回】Opera House駅の記事はこちら(予定)

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