【ミンダナオ島】日本人が誰も行かないブトゥアンの行き方と観光スポットまとめ

バンカシ空港で披露される民族舞踊の歓迎ショー旅行ガイド
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この記事は2025年8月に更新しています。

2025年5月、フィリピン人の友人が故郷のミンダナオ島、Butuan(ブトゥアン)に用があるとのことでついでに旅行に誘われた。ミンダナオ島には行ったことがないのでいい機会だと思いついていくことにした。ミンダナオ島といえば観光客にはダバオが有名であるが、あえて日本人が訪れない地方都市を旅するのも面白い。本記事では、ブトゥアンへのアクセス方法と実際に訪れた観光スポットを紹介する。

マニラから直行便で行く方法(セブパシ・PALの所要時間と運賃)

ブトゥアンには「バンカシ空港(Bancasi Airport)」があり、マニラからの直行便が就航している。フライト時間はおよそ1時間45分。主にセブパシフィック航空とPAL Expressが運航している。
便数は1日あたり数便と限られているため、週末や連休は満席になることも多い。運賃はダバオやセブ行きより2割ほど高めであるが、2か月以上前の予約であれば割安なチケットが取れる。逆に直前予約は高いので気を付けよう。今回は約1週間前予約で6,000ペソ越えのチケットを取ることになった。

セブ・ダバオからのフライト事情

セブやダバオからも国内線が就航しており、いずれも1時間前後で到着可能である。地方空港を結ぶ路線のため本数は少なく、事前の計画が必須である。

バスで行く場合(ダバオ・カガヤン・スリガオ発着)

ダバオ、カガヤン・デ・オロ、スリガオなどミンダナオ島各地からは長距離バスが発着している。代表的なのはBachelor Express社で、

  • ダバオから:約10時間、700ペソ前後
  • カガヤン・デ・オロから:約7〜8時間
    いずれも長距離移動となるため、日中利用が無難。

ブトゥアン~ダバオ間のバス移動については以下記事にて紹介している。
ブトゥアン~ダバオ移動に便利なバス情報を失敗談と共に解説

スロープ式タラップと地方空港ならではの雰囲気

到着したのはブトゥアン・バンカシ空港(Bancasi Airport)。
搭乗機からは地方空港らしくスロープ式のタラップを降りて直接歩いてターミナルに入る仕組み。歩きやすさはあるものの、混雑するとすぐに詰まり、雨や強い日差しには弱いと感じた。

セブパシフィック航空のタラップで乗客が降機する様子
スロープ式タラップで直接歩いて飛行機を降りるスタイル

荷物受け取り時の民族舞踊ウェルカムショー

荷物受け取りのターンテーブル前では、地元の人々によるウェルカムダンスが披露されていた。掛け声も大きく、元気いっぱいの民族舞踊は沖縄のエイサーに近い雰囲気である。さらにチップ受け皿が置かれており、その点は沖縄の文化とは異なる。便数が限られる地方空港だからこそ実現できる催しであり、観光客としては心が躍る瞬間であった。

バンカシ空港で披露される民族舞踊の歓迎ショー
到着客を迎える民族舞踊。地方空港ならではの光景

空港外観と利用者層(外国人はほぼゼロ)

空港外観は非常に小さく、日本で例えるなら北海道の地方空港よりさらに規模が小さい印象である。利用者はほぼフィリピン人で、帰省や用務での搭乗が中心と思われる。実際のフライトも満席に近く、外国人旅行者は見かけなかった。

小規模なブトゥアン・バンカシ空港の外観
北海道の地方空港よりも小規模なブトゥアン空港

空港から市内への移動方法

バンカシ空港から市街地までは車で20分ほど。タクシーやGrabが利用でき、料金は200ペソ程度であった。バスも見かけたが、観光客が使いやすいのはタクシーである。なお、Grab Carは利用不可で、Grab Taxiが主流である。

移動手段はアンヘレスやマニラ郊外などでよく見るトライシクルとは少し異なるトライシクルだ。バイクに助手席と後ろに座席を付けたもので、後部席がやや大きい。1回の乗車で20ペソ前後と安価である。ただし巡回型で目的地に直行できない場合が多い。土地に慣れていない観光客であればタクシーやGrabを利用するのが現実的。

ブトゥアンのトライシクル車内前方及び市街地の様子
市内の移動に便利なトライシクル車内からの景色

トライシクルの後部座席は4人乗りであるが非常に狭く、後部が重くなるとシートが後方に傾くためスリルがある。現地らしさを体験したい人には良いが、快適さを求めるなら避けた方がよい。

ブトゥアンのトライシクル後部座席
最大4人が座れるが傾きがありスリル満点の後部座席

Sto. Nino Diocesan Shrine(地方都市でも立派な教会)

地方都市ながら立派なカトリック教会である。訪問時は改装中で内部を十分に見学できなかったが、荘厳な雰囲気は健在であった。

改装中のSto. Nino Diocesan Shrine外観
改装工事が進められていたSto. Nino Diocesan Shrine外観
ブトゥアンのSto. Nino教会内部、青い天井と荘厳な祭壇
青い天井が印象的なSto. Nino Diocesan Shrineの内部

Delta Discovery Park(自然の中のジップラインと景観)

市街地から離れた小高い自然公園で、ジップラインが名物とされている。

Delta Discovery Park入口のウェルカムボード
ジップラインが名物のDelta Discovery Park入口

入口から10分ほど歩くと景色の良い高台に到着する。

Delta Discovery Parkから見下ろす緑豊かな景色
高台から遠方を一望できるDelta Discovery Park

肝心のジップラインはというと、確かに設備はあるがちょっと心許ない、というか老朽化しているように見える(下画像が出発地点)。スタッフのおじさんは勧めてくるが、他にやりそうな人もいないので様子を見ることもできず、見送ることにした。正直流行っていなく挑戦する人が最近いるのか疑問。散策や眺望を楽しむ目的で訪れるのが良いだろう。

老朽化が進んだジップラインのスタート地点
やや古びたジップライン設備。利用するかは判断が必要

Delta discovery parkの場所は以下地図に掲載。市街から離れてしまうので場合帰りのためにタクシーには待ってもらった方がいいだろう。今回タクシーを待たせていない、且つタクシー呼び出しができなかったため、筆者は帰路にヒッチハイクを余儀なくされた。

SM Butuan(モールでバドミントン公式戦を観戦)

地方都市における大型ショッピングモール。内部は他都市のSMと変わらないが、訪問時にはバドミントンの公式戦が開催されていた。買い物客が足を止めて観戦する光景は印象的で、モールが地域の文化的な役割を果たしていることがうかがえた。

SMブトゥアンで開催されたバドミントン公式戦の試合風景
ショッピングモール内で行われていたバドミントン大会

男女別々に分かれて2コートで実施。かなりレベルが高いので見入ってしまう。

観客に囲まれたSMブトゥアンのバドミントン公式戦会場全景
観客に囲まれて盛り上がるSM Butuanの大会会場

マニラとの違い(スリや客引きの少なさ)

ブトゥアンを訪れてまず感じたのは、マニラに比べて圧倒的に落ち着いた空気と安全さである。市街地を昼夜歩いた限りではスリや強引な客引きに遭うことはなく、治安の悪さを感じる場面は皆無であった。

とはいえ、ミンダナオ島と聞くと多くの日本人は「危険ではないか」と不安を抱く。確かに南西部にはイスラム武装勢力の活動地域もあり、外務省の危険情報が継続して発令されている。しかし、ブトゥアンが位置する北部アグサン・デル・ノルテ州は比較的安定しており、現地のフィリピン人に聞いても「普通に生活できる都市」との認識であった。実際、筆者が滞在中も市民は夜間に家族で外出し、モールや屋台街は賑わっていた。

外国人が少ない地方都市での人々の反応

外国人旅行者はほとんどおらず、筆者は道を歩くだけで珍しい存在として注目を集めた。レストランではスタッフや他の客に「どこから来たのか?」と声をかけられることが多く、好意的な対応が印象的であった。フィリピンの地方都市では、まだ日本人に出会うことが稀であり、むしろ歓迎される雰囲気が強い。

長期滞在には不向きだが短期滞在には十分

一方で、観光スポットの数は限られているため、長期滞在には向かない。数日間の滞在で現地の生活や地方都市の雰囲気を体験するのがちょうどよいだろう。都市規模は中程度で、交通渋滞はマニラのように深刻ではなく、日常的に感じるストレスは少ない。

現地の人に助けられた実体験

特筆すべきは現地の人々の助け合いの文化である。筆者自身も滞在中に思わぬトラブルに遭遇したが、複数の市民が手を差し伸べてくれたことで難を逃れた。実際にiPhoneを紛失した際に奇跡的に返却された体験もあり、現地の人々の温かさを強く感じた(→ フィリピンの地方都市ブトゥアンでiPhone紛失…奇跡の返却までに起きたこと)。
観光地化されていない都市だからこそ、素朴で人情味ある対応に触れられるのもブトゥアンの魅力である。

結論として、ブトゥアンは「観光都市」ではなく「フィリピンのリアルな地方都市」を知る場所である。安全面では過剰に心配する必要はなく、注意点を守れば快適に過ごせる。マニラやセブでは味わえない地方の生活感に触れるには最適な都市といえるだろう。

ブトゥアンは派手な観光地ではないが、到着時の民族舞踊や、外国人がほとんどいない街で人々に声をかけられる体験は、この都市ならではのものだった。
地方空港の小ささやトライシクルの独特な乗り心地など、日常に根ざした光景は、観光地では得られないリアルさを感じさせる。

観光名所を巡る旅ではなく、「現地の生活に触れる旅」を求める人にこそ向いている都市である。数日の滞在でも十分に印象に残る経験ができるだろう。

旅行の計画に役立つ公式情報をまとめた。ブトゥアン単体の情報は少ないが、フィリピン旅行全般の最新情報や交通手段の確認に活用できる。

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