ハノイメトロ3号線の国家大学駅は、ハノイ国家大学の目の前にある高架駅である。ハノイ西部のXuan Thuy通り沿いに位置し、学生の利用が多い一方で、Indochina Plaza Hanoi(IPH)や飲食店も近く、周辺の利便性は高い。
観光駅というより、大学と生活エリアがそのまま駅前に続いているタイプの駅であり、他の高架駅とは少し違う雰囲気がある。

国家大学駅の概要|ハノイ国家大学前にある高架駅
National University(国家大学)駅は、その名のとおりハノイ国家大学の正面に位置する。朝夕の授業前後には学生が一斉に動き出し、駅下を走るXuan Thuy通りはバスやバイクで混雑する。メトロ開通により、今後は渋滞緩和が期待されている。
大学の反対側には大型複合施設Indochina Plaza Hanoi(IPH)がそびえ、商業施設とオフィス、高層コンドミニアムが一体化した複合エリアを形成。学生の街でありながら、日系企業のオフィスや駐在員の住まいも多く、生活の利便性と若者の活気が同居している。
駅構造とホームの雰囲気|赤茶色の柱が印象的

駅構造は他の高架駅と同様に、3階部分がプラットホームである。コンコースからエスカレーターを上がると、赤茶色の柱が並び、柔らかい色調で統一されている。屋根のクリアパネルから自然光が差し込み、昼間は明るく開放的。

電車の運行は時間どおりで安定しているが、現時点では1路線しか開通していないため、利用者はまだ限られている。バイクやバスに比べると空いており、ピーク時でもゆったりとした乗車ができる。
出口ごとの表情|大学側と商業施設側に分かれる

大学側の出口を出ると、すぐにキャンパスの門が見える。

授業の時間帯には学生が一斉に流れ込み、駅前は人であふれる。屋台や書店、コピーショップなど学生向けの小さな店舗が並び、生活のリズムがこの通りだけで感じ取れる。
一方、反対側のIPH側出口に出ると、雰囲気は一変する。

ガラス張りの商業棟の中にレストラン、カフェ、ドラッグストア、フィットネスジムなどが並び、雨の日でも建物内で一通りの用事を済ませられる。駅から徒歩の範囲で生活が完結する利便性は、このエリアならではである。


国家大学駅の位置や、前後の駅を含めた3号線全体の並びは、こちらでまとめています。
▶ ハノイメトロ3号線の駅一覧・開業状況まとめ
学びと国際性|ハノイ国家大学と留学生の街
ハノイ国家大学には外国語学部があり、その中に日本語学部も設置されている。日本の大学との交換留学制度も整っており、在学中に日本に渡る学生も多い。国家大学ということもあり、学生の学習意欲は高く、現地で優秀な日本語人材を探すと、ハノイ国立大学出身者に行き着くことがしばしばある。
また、この大学は外国人向けのベトナム語コースでも知られ、英語でベトナム語を学ぶ留学生が多い。キャンパスでは多言語が飛び交い、外国人学生とベトナム人学生が同じカフェで勉強する姿も見られる。
National Universityという駅名は、まさに学びと国際交流の拠点を象徴している。
学生街の素顔|Nha Xanh市場と屋台の賑わい

駅から少し歩くと、学生の生活圏がそのまま広がっている。中でも有名なのがNha Xanh市場(グーグルマップ)。細い通りの両側に衣類や靴、アクセサリーなどが所狭しと並び、夕方になると若者で歩くのもやっとの賑わいになる。


価格は安く、掘り出し物も多いが、品質にばらつきがあるため注意が必要である。筆者も以前、30万ドンほどの靴を購入したが、数日で壊れてしまった経験がある。
路地を進むと学生向けのカフェや軽食屋台も多く、どこか懐かしい雰囲気が漂う。朝は通学途中の学生で賑わい、夜は友人同士で集う姿が目立つ。時間帯によって街の空気が変わるのもこのエリアの魅力だ。
暮らしと利便性|IPH・AEON・日本食店も近い

学生街でありながら、生活利便性も非常に高い。IPHには日本食レストランやマツモトキヨシ、無印良品、日本食材店スーパー富分が入り、少し歩けばAEON Xuan Thuy店もある。日常の買い物から休日の外食まで徒歩圏で済ませられる。
Rubik360をはじめとする新しい高層コンドミニアムも増えており、学生、社会人、外国人が混在する住む街としての顔も持つ。
メトロの使い方|まだ補助的な移動手段

Xuan Thuy通りは常に交通量が多く、バイクやバスでは時間が読みにくい。メトロは時間どおりに走る点で安心感があるが、現状では開業区間が限られているため、移動範囲はまだ狭い。
駅前には複数のバス停があり、メトロと組み合わせれば移動の幅は広がる。
ただし渋滞時はバスも遅れがちで、短距離ならバイクタクシーの方が早い。

現段階では、メトロは主要な移動手段というよりも、雨天時や混雑回避に使いやすい補助的な選択肢といえる。
ハノイメトロ公式サイトでは、路線概要などの基本情報を確認できるが、時刻や運行案内は未掲載である。最新の運行状況は駅構内掲示を参考にするといい。
今後、地下区間(Cau Giay〜Hanoi駅)が開通すれば、都心と郊外を結ぶ実用的な交通手段としての価値は大きく変わるだろう。
夜の雰囲気と治安
夕方以降も学生が多く、人通りは途絶えない。屋台が並ぶ通りでは夜遅くまで営業する店も多く、全体的に明るく安全な印象だ。照明も整備されており、女性の一人歩きでも大きな不安は感じにくい。ただし、裏路地に入りすぎると暗い場所もあるため、主要通り沿いを歩く方が安心だ。
今後の発展と街の変化|学生街から住宅・商業エリアへ
駅周辺では新しいサービスアパートやコンドミニアムの建設が続き、地価も上昇傾向にある。大学を中心とした学生の街から、徐々に暮らす街へと変化しつつある。メトロの延伸が進めば、Le Duc Tho駅以西と合わせて今後さらに居住ニーズが高まることが予想される。
同じ国家大学駅でも、ホーチミンメトロ1号線の国家大学駅は印象が異なる。ホーチミン側が郊外の広いキャンパス群に囲まれた静かな環境であるのに対し、ハノイの国家大学駅は都市の中心に近く、学生街と商業施設が隣り合う街の中の大学駅だ。実際に両方を訪れると、ハノイの方が大学と生活圏の距離が近い。
まとめ|学生街と生活圏が近くにある駅
国家大学駅は、ハノイ国家大学の目の前にあり、学生街の雰囲気とIPH・AEON周辺の利便性が近くにまとまった駅である。
観光駅ではないが、ハノイ国家大学まわりの学生街と、西部の生活圏がそのまま駅前に出ている。現状ではメトロ3号線が1路線のみで移動の軸にはなりきっていないものの、時間が読みやすい交通手段としての価値はある。
地下区間が開通すれば、この駅の使い勝手はさらに上がりそうだ。
国家大学駅の前後では、駅前の空気が少しずつ変わっていく。Le Duc Tho駅側は郊外寄り、Chua Ha駅側は大学街と商業施設が近づいてくる。
▶ 前の駅:Minh Khai〜Le Duc Thoの郊外区間を歩く
▶ 次の駅:Chua Ha駅ガイド



