バンコク・ドンムアン空港を利用するたびに感じていたのは、長い待ち時間である。普段は節約を重視しているため、ラウンジを利用するという発想はなかった。しかし今回、楽天プレミアムカードに付帯するプライオリティパスを利用し、「The Coral Executive Lounge」に足を踏み入れたところ、空港での過ごし方が大きく変わった。
海外生活は長いが、ラウンジ体験はベトナムの地方空港で入った簡素なビジネスラウンジ程度しかない。だからこそ今回の体験は新鮮であり、「空港で整う」という表現がしっくりくる時間となった。
楽天プレミアムカードで初めてのプライオリティパス体験
楽天プレミアムカードは年会費11,000円(税込)。付帯特典の中でも目玉はプライオリティパスである。かつては無制限利用可能だったが、2025年1月から「年5回」に改悪された。ヘビーユーザーには物足りないだろうが、私のように年数回しか海外に行かない利用者にとっては十分だ。
海外旅行保険、楽天市場でのポイントアップ、楽天証券との連携によるポイント獲得などを総合的に考えれば、依然としてコスパの高いカードと感じる。
The Coral Executive Lounge の場所と入室手続き
今回利用したのは国際線ターミナルにある「The Coral Executive Lounge」。出国審査とセキュリティチェックを抜けた直後の位置にあり、アクセスは非常に良い。他にMiracle Loungeという有名な選択肢もあるが、実際に利用していないため比較はしない。今後利用する機会があればレポートしたい。
入口で航空券と、プライオリティパスのアプリに表示されたQRコードを提示するとすぐに入場できた。チェックインはわずか数秒で完了し、非常にスムーズであった。

詳細な場所や最新情報はThe Coral公式サイトでも確認できる。
なお、スワンナプーム空港からドンムアン空港へ移動する場合は、無料シャトルバスが便利。実際に乗車した体験をまとめた記事はこちら
→ 【2025年最新】スワンナプーム空港→ドンムアン空港無料シャトルバス実録レビュー
滞在時間ルールは2.5時間?3時間?実際に試してみた
ラウンジの公式ページには「最大2.5時間」と記載がある。一方でプライオリティパスのアプリ上では「最大3時間」と表示されていた。実際に利用してみても、退室を促されることはなく、自然に3時間滞在できた。
つまり、建前上は2.5時間であるが、運用上は3時間が基準になっていると考えてよい。深夜便前にゆったりと過ごすには十分すぎる時間であった。延長したい場合は1時間あたり350バーツが加算されるが、実用上そこまで必要になることは少ないだろう。
なお、プライオリティパスの公式ページ上では「最大3時間」と明記されており、公式サイトとの間で表記に揺れがある点は興味深い。
2フロアの広さと座席の雰囲気
The Coral Executive Loungeは2フロア構造で広さがあり、席の種類も多様だ。窓際のカウンター席からは駐機場が見え、ソファ席や4人掛けのテーブル席も揃っている。

午後7時頃に入場したときはガラガラで、非常に落ち着いた空間だった。しかし午後9時頃になると深夜便利用者が増え、席の半分程度が埋まった。完全な静寂ではなく、会話や食器の音、清掃の物音もあるが、空港の搭乗口の喧噪に比べれば遥かに快適である。
ゲートまでの移動時間に注意
注意点として、ラウンジから搭乗ゲートまではお土産コーナーや飲食店を挟んでいるため距離がある。今回のゲートはターミナルの端に近く、歩いて10分弱かかった。長居しすぎると搭乗に間に合わない恐れがあるため、移動時間を見込んで行動すべきである。
ビュッフェ形式の食事とドリンク
ラウンジの最大の魅力は食事である。ビュッフェ形式で豊富に料理が並び、空港の待ち時間を充実した食事時間に変えてくれる。

温かい料理
- ターメリックライスとチキン

- タイの定番、フィッシュケーキ

- マリナーラソースのパスタ

特にインド系料理の充実度が高く、スパイスを効かせたカレーや炒め物が印象的。もちろん野菜炒めなど一般的なビュッフェメニューもある。
軽食・デザート
- クロワッサンや食パンなどのパン類

- ケーキ、チョコレートマフィン
- サラダバーや新鮮なフルーツ

- ヨーグルトやミルク
まるでホテルの朝食ビュッフェのような内容であり、空港で無料で提供されていることに驚いた。
ドリンク類
- コーラやスプライトなどのソフトドリンク

- コーヒーマシンと専用カフェカウンター

コーヒーはコーヒーメーカーが使えなかったからかもしれないがスタッフが一杯ずつ淹れてくれ、機械的ではない心地よさがあった。
アルコールについては少しややこしい。プライオリティパスのアプリ上では「一部のアルコール飲料は有料、ビールは無料」と記載があった。ビール以外のワインやスピリッツの価格表は目立つ場所には見当たらなかった。
つまり「ビールは無料で楽しめるが、それ以外のお酒は追加料金」と理解しておけばよいだろう。詳細な料金表が提示されていなかった点は少し不親切に感じたが、ビール党にとっては十分ありがたいサービスである。
時間帯ごとの混雑状況と利用者層
夜間帯は日本人の利用者が多く、成田便や関空便の深夜フライト前に立ち寄る人が目立った。また、インド系の旅行客も多く、国際色豊かな雰囲気である。
午後7時頃のラウンジはガラガラで、静かに作業できる環境であった。しかし午後9時頃になると深夜便の搭乗者が一斉に集まり始め、座席の半分以上が埋まった。完全な静けさはなく、会話や食器の音、清掃の気配もあるが、空港一般エリアの喧噪と比べれば格段に落ち着いている。
PC作業や家族連れも快適な環境
ラウンジ内はWi-Fiと電源が完備されており、PC作業をこなすには十分であった。速度も安定していて、メールや資料確認といった実務に不自由はない。
また、広いスペースと多様な座席があるため、家族連れにも使いやすい。ベビーカーを横に置けるスペースも確保しやすく、小さな子ども連れでも一般エリアより落ち着いて過ごせる点は大きな利点である。
一般利用料金と感じた価値
The Coral Executive Loungeの一般利用料金については諸説ある。
以前「800バーツほど」との情報を目にしたこともあったが、実際に調べた限りでは1,200バーツ前後(約32USD)が相場であるようだ。
- 旅行者向けサイトLoungePairでは3時間利用で32USD(約1,200バーツ)のパスが販売されている。
- タイのクルンスリ銀行会員向け特典でも、同じく1,200バーツで提供されている(滞在2.5時間上限)。
いずれにせよ「800バーツ」はプロモーション価格か、あるいは誤認の可能性が高い。実際に体験してみても、1,200バーツ相当の価値は十分にあると感じた。
プライオリティパス経由で無料利用できたことを考えれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言える。
空港での過ごし方が変わった気づき
これまでの私にとって空港は「できるだけギリギリに到着し、搭乗口付近で待つ場所」でしかなかった。しかし今回The Coral Executive Loungeを利用したことで、その考え方が大きく変わった。
搭乗前に食事をとり、PC作業を片付け、静かな空間でリラックスする──そうしてからゲートに向かうと、心身ともに落ち着いた状態で飛行機に乗り込める。これは一般エリアの硬いベンチに座って時間を潰すのとは、まるで別物の体験であった。
今後は「空港に早めに入り、ラウンジを活用する」という選択肢が、私の旅のスタンダードになりそうだ。
深夜便の前後で空港で過ごすスタイルは、ドンムアン空港に限らずスワンナプーム空港でも共通するテーマ。スワンナプーム空港で実際に空港泊をした体験も別記事にまとめている
→ スワンナプーム空港で空港泊のすすめ 〜深夜到着組の強い味方〜
節約派や移住者にとってのメリット
特に東南アジアでプチ移住や長期滞在をしている人にとって、ラウンジ利用の価値は大きいと実感した。LCCの深夜便や早朝便を利用する機会が多い地域だからこそ、搭乗前にしっかり食事をとり、落ち着いた空間で過ごせることは体力面・精神面での安心感につながる。
今回も深夜の成田行き便を前に、ラウンジで食事を済ませPC作業をしてから搭乗できたことで、翌日の疲労感が大きく違った。移住生活ではフライトの前後に仕事や連絡をこなす必要もあり、静かに作業できる環境の存在は心強い。
また、ラウンジの一般利用料金は1,000〜1,200バーツ程度とされるが、プライオリティパスを通じて無料で使えることを考えると、その価値は非常に大きい。楽天カードのポイント還元や海外旅行保険と組み合わせれば、節約派でも十分に年会費を回収できるだろう。
「空港で整う時間」を日常に取り入れることは、移住生活そのものを一段豊かにする小さな贅沢だと感じた。
まとめ──ラウンジで整う体験
The Coral Executive Loungeは、ドンムアン空港でプライオリティパスを活用する上で非常に満足度の高いラウンジであった。受付のスムーズさ、3時間滞在できる柔軟な運用、充実した食事、そしてWi-Fiや電源を備えた環境。深夜便利用者にとっては特に、搭乗前に心身を整えられる貴重な空間と言える。
今回の体験で空港の過ごし方に新しい選択肢が加わった。早めに空港に入り、ラウンジで整えてから出発する──それだけで旅の質は大きく変わる。次はどのラウンジを試そうか、そんな楽しみが一つ増えたのも、この経験の大きな収穫である。
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