※本記事の内容は筆者が2025年10月に現地を訪れた際の取材をもとに構成しています。
ホーチミン・メトロ1号線の駅紹介シリーズもいよいよ都心部に近づいてきた。
第9回は、外国人居住区として知られる人気エリア『Thao Dien(タオディエン)駅』を紹介する。これまでの郊外駅とは一線を画す雰囲気を持つ。
国際色豊かな街並み、カフェ文化、そしてノマドワークの拠点として注目を集める街である。
郊外から都会へ──外国人が集う洗練エリアへ
ベンタイン駅から約20分、郊外から都心部へ入るちょうど中間に位置する。隣のAn Phu駅と比べると高層ビルは少ないが、洗練されたカフェやショップが並び、グルメ・ショッピングの拠点として人気のあるエリアだ。
Thao Dien駅は線路を挟んで上下線が向かい合う相対式ホームの高架駅である。ホームやコンコースは明るく、吹き抜け設計で風通しがよい。スオイティエン方面から来ると、サイゴン川を渡って市街地へ入る手前の駅にあたる。郊外の景色を抜け、An Phu駅とともに“市街地の入り口”を感じさせる区間である。

駅前には小さなロータリーと植栽が整備され、周辺にはGrabバイクの待機スポットやローカル商店が並ぶ。交通量は多いが、歩道が比較的広く取られており、散策にも向いている。
駅構造とアクセス:高架ホームから見渡す都会の風景
ベンタイン方面からの車窓からはサイゴン川を一望できる。川を越える高架区間は見晴らしがよく、壮観な景色が広がる。


ホームは吹き抜け構造で、周囲を遮るものが少なく開放的である。ホーム階からは周辺の住宅街やコンドミニアム群も見渡せ、タオディエン地区の整った街並みを実感できる。
教育と安全が支える外国人ファミリーの街
タオディエンが外国人エリアとして知られる理由のひとつが、インターナショナルスクールの集積である。特に有名なのが BIS(The British International School HCMC) で、広いキャンパスを構え、欧米系の子どもたちの通学姿も多く見かける(公式サイト)。

日本人駐在員の家族もこの近辺に多く、教育水準の高さと安全で穏やかな環境が人気の理由だ。高品質なコンドミニアムや欧米系のレストラン、カフェが並び、街全体に整然とした雰囲気がある。
近年はリバーサイドを中心に再開発が進み、都市の便利さと自然の落ち着きが共存するエリアへと進化している。生活利便性、教育環境、安全面のバランスが良く、ホーチミンでも特に“暮らしの質”を感じられる地域のひとつである。
駅前ランドマーク「Thao Dien Pearl」の存在感
駅の目の前にそびえるのは、高層コンドミニアム Thao Dien Pearl(タオディエン・パール) である。

2010年代に建設された複合施設で、ベトナム人富裕層や日本人含む外国人駐在員に人気が高い。下層階にはスーパーマーケット「TOPS Market」やスターバックス、銀行などが入居しており、駅から徒歩数分で生活に必要なものがそろう。
メトロ開業によって“駅近の利便性”が加わり、今後さらに注目されるエリアとなるだろう。
カフェ文化|外国人に人気の個性派カフェが集まる街
この街のもうひとつの魅力が、洗練されたカフェ文化である。特に Xuan Thuy通り 周辺には、地元客と外国人の双方に人気のカフェが並ぶ。


ベトナム発の人気チェーン「Phuc Long Premium」や「The Coffee House」は、Wi-Fi完備・電源付きでノマドワークにも最適。木の温もりを生かしたデザインで、落ち着いた時間を過ごせる。
欧米風のベーカリーやイタリアン、メキシカン、ヴィーガン系レストランも多く、休日にはカフェ巡りを楽しむ在住者の姿も目立つ。そんなタオディエンは、ホーチミンの中でも最も“カフェ文化”が成熟したエリアのひとつである。
ノマドに人気のコワーキング「The Hive」
タオディエンには、ノマドワーカーや在宅勤務者向けの施設も多い。ノマドワーカーに人気のひとつの存在が、
👉 The Hive Thao Dien だ。



The Hive は Xuan Thuy 通りに位置し、周囲にはカフェやレストランも多い。作業の合間に外へ出てリフレッシュできるのも魅力だ。カフェ文化と Co-working 文化が自然に融合しており、タオディエンはホーチミンの中でも特にノマドワーカーに適したエリアと言える。
まとめ|暮らすにも訪れるにも魅力的な国際エリア
Thao Dien駅周辺は、生活・教育・カフェ・ワークのすべてがそろう街である。
メトロ開業により、中心部とのアクセスが格段に向上したことで、今後さらに注目を集めるだろう。

観光で訪れても、個性派カフェやショップを巡るだけで一日楽しめる。
ローカルとモダンが共存する街並みが魅力で、訪れるたびに新しい発見があるエリアだ。
次回は隣の「Tan Cang駅」を紹介します。
→ 【前回】An Phu駅の記事はこちら
→ 【次回】Tan Cang駅の記事はこちら