【ホーチミン・メトロ1号線】Van Thanh Park駅(ヴァンタイン・パーク駅)|ローカルエリアに佇む緑のオアシス

ホーチミン・メトロ1号線のVan Thanh Park駅と周辺の池を望むアイキャッチ画像。交通・移動
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※本記事の内容は筆者が2025年10月に現地を訪れた際の取材をもとに構成しています。

ホーチミン・メトロ1号線の「Van Thanh Park駅(ヴァンタイン・パーク駅)」は、ベンタイン駅から約8分、高架区間に入って最初の駅となる。ここから列車は地上を走り始め、都市中心部の喧騒から少しずつ離れていく。
周囲には高層ビルこそ少ないものの、遠くにはAn Phuエリアやランドマーク81を望み、都市とローカルが交差するような風景が広がる。

ホーチミン・メトロ1号線Van Thanh Park駅の入口と高架下の様子
Van Thanh Park駅の入口。周辺は住宅や小店舗が並ぶローカルエリア。
ホーチミン・メトロ1号線Van Thanh Park駅構内と出口。駅出口は1か所のみ。

駅構造は相対式ホームで、設計は他の郊外駅とほぼ共通している。ただしこの駅には出口が一か所しかなく、Exit2やExit3といった複数出口は存在しない。構内はコンパクトにまとまっており、これは駅が大通りに直接面しておらず、周辺が住宅街や細い通りで構成されているためである。

ホーチミン・メトロ1号線Van Thanh Park駅の改札フロア。

改札からホームまではエレベーターとエスカレーターを完備しており、アクセスはスムーズ。

Van Thanh Park駅周辺は、他の駅と異なりXa lộ Hà NộiやVõ Nguyên Giápのような広い幹線道路沿いではない。住宅街の上を高架が通過しており、街の生活の中に線路が溶け込んでいる。

Van Thanh Park駅付近を走るホーチミン・メトロ高架線と住宅街

この景観はどこかユニークで、例えるなら千葉公園の上を千葉都市モノレールが走るような印象を受ける。Van Thanh公園が千葉公園、高架を走るメトロがモノレールのような存在であり、街並みと鉄道が交錯する風景が新鮮だ。

ホーチミン・メトロ1号線の高架橋が連なるVan Thanh Park駅付近

高架下の道路は区間によって幅が異なるものの、メイン通りは車やバイクが十分通行できる広さがあり、アクセスに不便はない。タクシーも停められるが、路地裏に入ると道幅が狭くなるため、バイクタクシーでの移動が便利。

Van Thanh観光エリア(Khu Du Lịch Văn Thánh)の入口ゲート付近
駅名の由来となったVan Thanh公園の入口。

駅を出ると、すぐ目の前に「Khu Du Lịch Văn Thánh(ヴァンタイン観光エリア)」が広がる。ホーチミン中心部から近いながらも豊かな自然に囲まれたレジャースポットで、長年にわたり地元の人々に親しまれてきた。

園内は緑が多く、池や芝生広場、レストラン、プールなどが点在している。湖の周りを歩くだけでも十分楽しめ、都会の中とは思えない静けさに包まれる。
公園は通常無料で開放されており、プールなど一部の設備のみ有料となっている。

運営はSaigontourist傘下のBình Quới Tourist Village Groupによって行われており、
施設の詳細や最新情報は公式サイト「Khu Du Lịch Văn Thánh(binhquoi.vn)」で確認できる。

ヘビのモニュメントが印象的

園内を歩いていると、まず目に入るのが巨大なヘビのモニュメントである。青いコブラや2匹が絡み合う金色の蛇など、複数の像が設置されており、独特の存在感を放っている。
南国の自然や伝統的モチーフを取り入れたデザインで、公園の穏やかな雰囲気を象徴しているようだ。

Van Thanh公園に設置されたヘビのキャラクター像。南国らしい装飾デザインで、公園のシンボル的存在。
南国の自然をテーマにした装飾が印象的。
Van Thanh公園内の金と白の2匹の蛇のモニュメント
金と白の蛇が絡み合うモニュメント。
Van Thanh公園内にある青いコブラの巨大モニュメント
青いコブラ像。駅から入るとすぐに会える。

湖と高架が重なるフォトスポット

Van Thanh公園の中央に広がる湖からは、メトロの高架線と駅舎が重なるように見える。
水面にはボートや睡蓮の葉が浮かび、背景には高層ビル群がそびえるという、自然と都市が交差する独特の光景だ。
高架を走る列車と水辺の緑が一枚の風景の中に収まり、訪れる人々の目を引く。
晴れた日には湖面が空を映し込み、ホーチミンの「都会のオアシス」と呼ぶにふさわしい穏やかさが感じられる。

Van Thanh公園の池越しに見えるホーチミン・メトロ高架線と駅
池越しに見える高架駅。
Van Thanh公園の湖と遠くにそびえる高層ビル群と高架線
公園の湖からビル群や高架線が望める。
Van Thanh公園の遊歩道から見た湖と都市の景観
湖畔を歩きながら見えるビル群。

園内の散策と設備

園内の道は整備が行き届き、トイレ棟やベンチも清潔で使いやすい。竹のアーチがかかる遊歩道や小舟が浮かぶ池など、南国らしい風景が続く。公園のすぐ横をメトロの高架が走っており、水辺越しに列車が通過する姿を眺めることができる。遠くにはランドマーク81やAn Phuエリアの高層ビル群が見え、自然と都市が一枚の風景の中に溶け合っている。

Van Thanh公園の竹のアーチが続く散策路
竹のアーチが続く遊歩道。
Van Thanh公園の自然に溶け込むトイレ
木と竹を使ったデザインのトイレ。
Van Thanh公園内のプールエリア
公園内にはプールも併設。

Van Thanh公園を出てすぐの場所には、「The Family Bean Coffee(Googleマップ)」というユニークなカフェがある。コンテナを積み重ねて作られた建物が目を引き、外観だけでも個性が際立っている。

コンテナを積み重ねたThe Family Bean Coffeeの外観

店内は3階建てで、コンテナの配置に合わせて小部屋や通路が入り組んでいる。1階はテーブル席中心の落ち着いた雰囲気、上階には明るいテラス席が設けられている。テラス席の一部からはメトロの高架線を望むことができ、列車の走行シーンを眺めながらゆったり過ごせる。

The Family Bean Coffeeの店内と中庭席
コンテナをつなぐ通路や吹き抜け構造が印象的な空間。
The Family Bean Coffeeのテラス席と照明装飾
開放的なテラス席。上層階からはメトロの高架線も見える。

取材時はカフェラテ(45,000ドン)を注文。柔らかなミルクの甘みと香ばしいエスプレッソが心地よく、歩き疲れた後の休憩にぴったりだった。ドリンクメニューはエスプレッソ系だけでなくフルーツティーやミルクティーも豊富で、カジュアルに立ち寄れる雰囲気。

The Family Bean Coffeeで提供されるカフェラテ
香ばしいエスプレッソとミルクの甘みが調和したカフェラテ(45,000ドン)。

Van Thanh Park駅周辺は、再開発の進む都市中心部と、昔ながらのローカルな生活圏が隣り合うエリアである。駅からほど近いところに高層ビル群がそびえ、反対側には緑と池が広がる。メトロ開通によりアクセスが格段に向上し、今後はカフェやレストランなどの新しい店舗も増えていく可能性が高い。

公園を散策し、カフェでひと息つき、再びメトロに乗って中心部へ戻る。そんな小さな寄り道が、ホーチミンの新しい楽しみ方になるかもしれない。
Van Thanh Park駅は、都市と自然の狭間にある、心地よい緩衝地帯のような場所だ。

関連リンク

次回は隣の「Ba Son駅」を紹介します。
→ 【前回】Tan Cang駅の記事はこちら
→ 【次回】Ba Son駅の記事はこちら

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