最終更新日:2025年8月
タイ・パタヤの名を聞いて真っ先に思い浮かぶ場所、それが「ウォーキングストリート」である。他国にも同様の名前を持つ通りは存在するが、夜のネオンに照らされたこの通りの知名度は群を抜いており、世界的に見ても“本家本元”といえる存在だ。
筆者が初めてこの通りを訪れたのは15年以上前のこと。当時から夜遊びスポットとして名高かったが、空中に突き出した無数の看板や欧米人の姿が強烈に印象に残っている。現在のウォーキングストリートは、そんな記憶を残しつつ、国際観光都市として新たな形に進化している。
女性や家族連れでも歩ける?現地で見かけたリアルな光景
ウォーキングストリートといえば「ナイトライフの街」という先入観が強いが、実際に歩いてみると印象は異なる。実際に歩いてみると、子ども連れの家族がアイス片手に歩いていたり、女性グループがスマホで自撮りを楽しんでいたりと、従来の「夜遊び一色」という印象は薄れている。私が歩いた夜8時ごろは、ベビーカーを押す姿まで見かけ、思わず「ここがあのウォーキングストリートか?」と驚かされた。特に中国からの団体観光客は多く、ガイドが旗を掲げて先導する様子も日常的な光景となっている。もちろん深夜1時を過ぎれば酔客が増えるので注意は必要だが、少なくとも21時前後であれば女性や家族連れでも安心して歩ける環境が整っていると感じた。
このエリアを健全と表現するのは難しいが、少なくとも「一般観光地として受け入れられている」のが現在のウォーキングストリートの姿である。


昔との違い|欧米人中心から多国籍化へ。言語・客層の変化を体感
筆者の記憶で強く残っている過去のウォーキングストリートは、ネオンサインが建物の外に突き出し、訪問者はその下をくぐるように歩く構造だった。15年前に来たときは、通りを歩くのは多くが白人観光客で、ビールをお供に闊歩する光景が見られた。ところが今は、同じ通りを歩いていても耳に入る言語は英語だけでなく中国語や韓国語。道端の呼び込みスタッフからも「アニョハセヨ!」「ニーハオ!」が飛んでくるなど、国際色の広がりを肌で感じた。英語の通用度が非常に高く、タイ語が話せなくても困ることはなかったが、近年はインド系の店舗やスタッフの進出が目立ち、言語もさらに多様化している。
昼と夜のウォーキングストリート比較|朝散歩の静けさと夜の熱気

筆者が朝7時ごろに歩いたときは、前夜の賑わいが嘘のように静かで、通りでは清掃スタッフが活躍していた。ゴミ収集車の音が響き、各店舗から出されるゴミ袋の山を片付ける姿が印象的。一方、夜8時を過ぎると一転してネオンが一斉に点灯し、音楽が大音量で流れ出す。その瞬間、通り全体が「夜のショータイム」に切り替わったような高揚感に包まれる。このギャップこそが、ウォーキングストリートの魅力の一つともいえる。

2025年最新スポット|3D LEDゲート建設中。SNS映え必至の新ランドマーク
そんな変化の象徴とも言えるのが、2025年8月現在、建設中の「新ウォーキングストリートゲート」。ビーチロード側の旧ゲートはすでに撤去され、現在は巨大な支柱がそびえ立っている。
この新ゲートは、曲面3D LEDスクリーンを備えたもので、完成後は高さ12メートル、横幅9メートルの大型ディスプレイが左右両側に設置される予定となっている。夜間にはインパクトのある映像演出が流され、通りの出入口としてだけでなく、観光名所としての機能も果たすだろう。

3Dディスプレイはネオン支柱と連動し、時刻やイベントに応じて変化する演出が仕込まれるという。
完成予定は2025年8月下旬。筆者が訪問した段階では工事中だったが、実際に前に立つと、鉄骨の支柱が頭上を覆うようにそびえ立っていた。近くでは観光客が足を止めてスマホで撮影しており、「まだ完成していないのに、すでに観光スポット化している」と感じたほど。完成後は間違いなく“映えスポット”になるだろう。
追記:2025年8月25日には、地元英字メディア Pattaya Mail が、完成した新ゲートとドルフィンマスコットの導入を報じた。記事によれば、ゲートは午後4時から翌朝4時まで稼働し、観光客を迎える最新のビジュアル演出が加わったとのこと。
治安は本当に大丈夫?警備体制と安全面の変化を現地で確認
特筆すべきは、ここ数年で安全面が大幅に強化された点である。通りの入り口や交差点には制服姿の警官が常駐している。実際に私が歩いたときも、警官が通りの真ん中に立ち、観光客を見守っていた。呼び込みがしつこく絡むような場面は見られず、トラブルが起きそうな空気は感じなかった。以前に比べて“監視されている安心感”が強く、女性一人で歩いていても心理的なハードルは低いと感じた。主要なエリアには監視カメラが増設され、トラブルを未然に防ぐ仕組みが整ってきた。観光客にとっては以前より安心して歩ける環境が整ったといえる。

女性や家族連れが夜間でも気軽に訪れるようになった背景には、このような警備体制の改善があると思う。近年、観光局や地元当局がイメージ刷新を図っており、ウォーキングストリートを「健全な観光資源」として位置づけている姿勢が感じられる。
追記:TAT(タイ国政府観光庁)公式サイトのパタヤ案内ページに、「夜間のウォーキングストリートが混み合う際はスリに注意」といった旅行者向け安全アドバイスが記載されており、安全性が向上したとはいえ、人混みではスリなどの軽犯罪に注意する必要がある。タイ国政府観光庁公式サイト
📌価格相場メモ|ビール・カクテル・食事の現地価格(2025年8月時点)
実際に入った路地裏のバービアでは、ビールが1本100バーツ。隣の欧米人グループと一緒にサッカー中継を見ながら飲んだのだが、観光地の真ん中にしては意外と良心的だと感じた。クラブに入ると一気に倍の価格になったので、「場所による値段の差」を肌で実感できた。食事も軽食なら100〜150バーツ台が主流だ。ただし店舗によってはハッピーアワーなどの時間帯割引もあり、価格はあくまで目安。
ウォーキングストリートは高級志向というより、やや観光地価格寄りの「中価格帯」に分類される印象。
パタヤ観光の実用ガイド|両替・散策・空港アクセス
まとめ:観光地として進化し続けるウォーキングストリート

ウォーキングストリートは「夜遊びの聖地」という一面だけで語るにはもったいないほど、観光資源として成熟している。ネオンが輝く夜の賑わいと、昼間の落ち着いた表情。その両方を体感することで、この通りの奥深さが見えてくる。
2025年の今、ゲート再建や警備強化、国際色の多様化など、通りは確実にアップデートを続けている。初めて訪れる人はもちろん、久しぶりにパタヤを訪れる旅行者にとっても、新しい発見があることだろう。
補足:ウォーキングストリートの3D LEDゲートは、地元メディア Pattaya Mail でも詳しく報じられており、観光名所としての新しい顔に位置づけられている。