2024年に誕生した日高山脈襟裳十勝国立公園は、日本最大の陸域面積を持つ国立公園だ。アポイ岳、襟裳岬、日高山脈など見どころは多い。ただ、新千歳空港から向かうと想像以上に遠く、1泊2日でどこまで回れるのかは実際に走ってみるまで分かりにくかった。
今回、新千歳空港を起点にレンタカーで約500kmを走り、日高本線の終着駅、アポイ岳ジオパーク、襟裳岬、黄金道路、日高山脈エリアを1泊2日で周遊してみた。決して楽な行程ではないが、限られた日程でも日高山脈襟裳十勝国立公園の主要な見どころを巡ることは可能だった。
ここでは、実際に走ったルートや所要時間、立ち寄ったスポットに加え、1泊2日で回る場合のきつさや注意点も紹介する。
新千歳空港から1泊2日で巡ったルート
今回走ったのは、1日目に日高海岸沿いを浦河まで進み、2日目に襟裳岬、黄金道路、日高山脈エリアを経由して新千歳空港へ戻るルートである。
総走行距離は約500km。1日目は約140kmと余裕があったが、2日目は約360kmを走るため、朝から夕方まで長距離移動が続いた。
今回は有料道路を利用せず、日高自動車道とE60帯広広尾自動車道の無料区間を活用しながら周遊した。日高山脈を越えて新千歳方面へ戻る区間は、道東自動車道を利用すればさらに所要時間を短縮できる。
実際に走ったルートとおおよその時刻は以下の通り。
| 日程 | 時間(目安) | 行程 | 主な道路 |
|---|---|---|---|
| 1日目(140km) | 11:30 | 新千歳空港周辺のレンタカー営業所を出発 | 日高自動車道無料区間・国道235号 |
| 13:00 | 道の駅むかわ四季の館・鵡川駅 | 国道235号 | |
| 14:30 | 道の駅サラブレッドロード新冠・レ・コード館 | 日高自動車道無料区間・国道235号 | |
| 16:00 | 道の駅みついし | 国道235号 | |
| 18:00 | 浦河到着 | 国道235号 | |
| 2日目(360km) | 8:00 | 浦河を出発 | 国道235号・国道336号 |
| 8:20 | 様似駅 | 国道336号 | |
| 9:00 | アポイ岳ジオパークビジターセンター | 国道336号 | |
| 10:30 | 襟裳岬・風の館 | 北海道道34号 | |
| 12:00 | 襟裳岬を出発 | 北海道道34号・黄金道路 | |
| 13:30 | 道の駅コスモール大樹 | 国道236号・E60帯広広尾自動車道(無料区間) | |
| 16:00 | 道の駅樹海ロード日高 | 国道236号・国道274号 | |
| 18:30 | 新千歳空港周辺に到着 | 国道274号 |
このルートでは、海岸線、牧場、襟裳岬、十勝平野、日高山脈と、景色が大きく変化していく。
1日目|新千歳空港から浦河へ

1日目は新千歳空港周辺のレンタカー営業所を11時30分頃に出発、日高海岸沿いを浦河まで進んだ。走行距離は約140km。2日間全体の距離を考えるともう少し先まで進む選択肢もあったが、結果として浦河までにしておいてよかった。
新千歳空港からは、まずレンタカー会社の送迎車で営業所へ移動し、手続きを済ませて車を受け取り、日高方面へ向かう。空港周辺はレンタカー利用者が多いため、送迎や手続きに時間がかかる。出発までには余裕を見ておきたい。
新千歳空港の国内線ターミナルやレンタカー送迎乗り場の位置は、出発前に確認しておくと安心だ。
最初の立ち寄りは、鵡川IC近くの道の駅むかわ四季の館。ここで軽く休憩を取りつつ、近くにある鵡川駅にも足を伸ばした。

その後は日高海岸沿いを流すように走って新冠町へ。道の駅サラブレッドロード新冠とレ・コード館に立ち寄り、館内を軽くひと回りしてから展望スペースに上る。
新冠を出ると、国道235号をさらに南へ進む。道の駅みついしでひと息つきながら浦河を目指した。この区間は、右手に太平洋、左手に牧場や草原が広がり、北海道らしい景色が続く。交通量も少なく、走っているだけでも気持ちの良い区間だ。
浦河には18時頃に到着。1日目は距離も時間も余裕のある行程にした。ただし、この日の目的は観光を詰め込むことではなく、翌朝に襟裳岬へ向かえる位置まで進んでおくことだった。
2日目|浦河から襟裳岬・十勝南部を経由して新千歳空港へ
2日目は、浦河を8時頃に出発し、様似駅、アポイ岳ジオパークビジターセンターを経由して襟裳岬へ。
浦河から様似方面へ進むと、海沿いの景色がさらに濃くなっていく。旧様似駅は現在、観光案内所として使われており、かつての日高本線の終着駅だった面影も残っていた。ここでは短時間だけ立ち寄り、次のアポイ岳ジオパークビジターセンターへ向かう。

アポイ岳ジオパークビジターセンターには9時頃に到着。館内を見学し、日高山脈襟裳十勝国立公園やアポイ岳周辺の地形について確認した。
その後、道道34号を通って襟裳岬へ。6月にもかかわらず、この日は内陸部では30℃近い暑さ。しかし、襟裳岬に近づくにつれて気温は急激に下がり、車を降りる頃には肌寒さを感じるほど。

霧も次第に濃くなり、風も強くなっていく。視界は決して良くなかったが、断崖と霧、荒い海が重なり、独特の最果て感があった。
襟裳岬を出た後は、黄金道路を通って十勝方面へ。海岸沿いの断崖が続く区間で、車窓には太平洋と長いトンネルが次々に現れる。襟裳岬を離れると天候はすぐ回復し、荒々しい海と切り立った地形が続く。北海道の海岸道路の中でも、かなり走りごたえのある区間だった。
13時半頃に道の駅コスモール大樹に到着。襟裳岬から十勝方面へ抜けた後の休憩地点として立ち寄ったが、時間が押していたため、ここでは短い休憩だけにし進む。その後は国道236号とE60帯広広尾自動車道の無料区間を経由し、国道274号へ。十勝平野を抜けて日高山脈に近づくにつれ、周囲の景色は海沿いから山岳地帯へと大きく変わっていった。
新千歳空港周辺には18時半頃に到着。朝8時に浦河を出てから、ほぼ丸1日かけて走り切った。
日高山脈襟裳十勝国立公園で実際に立ち寄ったスポット
今回の1泊2日のルートで実際に立ち寄ったスポットを紹介する。休憩地点から主要観光地まで、走行順にまとめた。
道の駅むかわ四季の館と鵡川駅(日高本線終着駅)
新千歳空港から日高方面へ向かう途中で立ち寄った道の駅。お土産コーナーが充実しており、名物のシシャモの加工品が多く販売されている。
近くにある鵡川駅は、現在の日高本線の終着駅。かつては様似駅まで続いていた路線だが、現在は鵡川駅で列車が折り返す。


駅構内には日高本線の歴史や被災区間の経緯を紹介する展示があり、廃止区間を含めた日高本線の歴史を知ることができる。

道の駅サラブレッドロード新冠とレ・コード館

レ・コード館は大量のレコードを収蔵する施設で、施設のすぐ後ろには廃線跡も残る。展望室からは新冠周辺を一望できる。


この周辺はサラブレッドロードとしても知られており、牧場が点在する風景の中をドライブできる。
道の駅みついし

道の駅みついしは国道235号沿いの海岸近くに位置し、丘の上から太平洋を眺めることができる。


周辺は日高昆布の産地で、道の駅では地元産の昆布も販売されていた。昆布は軽くて持ち帰りやすく、旅先のお土産としても実用的だったので、ここで購入した。
旧様似駅(旧日高本線終着駅)

旧様似駅は、かつての日高本線の終着駅であり、現在は観光案内所として利用されている。かなり南下してきたが、かつてはここまで鉄道で来ることができたと思うと感慨深い。


駅舎やホーム、線路終端の列車止めも残されており、所要時間は20分ほど。

アポイ岳ジオパークビジターセンター

アポイ岳ジオパークビジターセンターは、正直なところ登山者向けの施設だと思っていた。しかし実際に入ってみると、地質や植生だけでなく、人々の暮らしとの関わりまで含めて展示されており、予想以上に時間を使って見学していた。

登山をしなくてもなぜこの地域が国立公園になったのかがよく分かる施設で、今回のルートでは襟裳岬と並んでよかった場所だった。
襟裳岬

日高山脈襟裳十勝国立公園を代表する景勝地といえば、やはり襟裳岬だろう。今回のルートでも最大の目的地である。
浦河を出発した時点では天気は晴れていた。しかし、襟裳岬へ近づくにつれて霧が濃くなり、周囲の景色も一変した。内陸では真夏のような暑さだったが、襟裳岬ではジャケットが欲しくなるほど寒く、風も非常に強かった。同じ日の北海道とは思えないほど環境が違っていた。


実際に展望エリアを歩いてみると、視界は良くない。しかし、霧の中から断崖が現れ、荒々しい風の音だけが響く景色には独特の迫力があった。宗谷岬や納沙布岬も訪れたことがあるが、個人的には襟裳岬が最も人の生活圏から離れた場所に来た、という感覚が強い。

併設されている風の館も予想以上に面白かった。アザラシは天候が悪く見ることができなかったが、自然や地域の暮らしを紹介する展示や強風体験コーナーが充実しており、気がつけば長い時間滞在していた。

風の館付近にはレストランや売店もあり、今回はえりも名物ラーメンを注文。観光地価格ではあるが、冷え切った体にはちょうどよかった。

黄金道路
襟裳岬から十勝方面へ向かう途中で通る国道336号は黄金道路と呼ばれている。断崖絶壁の海岸沿いを進む道路で、建設に莫大な費用がかかったことが名前の由来とされる。
海沿いの断崖と長いトンネルが延々と続き、これだけの道路を通すのに莫大な費用がかかったのも納得できる。
道の駅樹海ロード日高
道の駅樹海ロード日高は、日勝峠を越えた後の休憩地点として立ち寄った。

この時点でも新千歳空港まではまだ距離があった。セイコーマートも併設されており、1泊2日で日高山脈襟裳十勝国立公園を周遊する場合は、最後の大きな休憩地点として重宝する。
日高山脈襟裳十勝国立公園を1泊2日・約500km走った感想
結論から言えば、新千歳空港発着で日高山脈襟裳十勝国立公園を1泊2日・約500kmで周遊することは十分可能。ただし、観光地をゆっくり巡る旅ではなく、ドライブそのものを楽しむ旅になる。
実際の運転負荷は10点満点で8点程度。北海道の道路は広く走りやすいため、運転そのものが難しい場面はあまりない。走行時間そのものが長く、特に2日目の後半は疲労を感じた。
最も長く感じたのは、十勝南部から日高山脈方面へ向かう区間。日勝峠周辺の景色は素晴らしく、山岳地帯を走る楽しさもあるが、カーブが多く運転には集中力が必要になる。道の駅樹海ロード日高に到着した時点でも、新千歳空港まではまだ距離があり、1泊2日・500kmという行程の長さを改めて実感した。ここは道東自動車道を使えば、かなり楽になるはずだ。
このルートの魅力は、景色が次々に変化していくことにある。日高海岸の海沿いの道、牧場地帯、襟裳岬の荒々しい風景、黄金道路、十勝平野、日高山脈と、1泊2日とは思えないほど多様な景色を体験できた。
初めて日高山脈襟裳十勝国立公園を回るなら、今回のルートでかなり満足できると思う。忙しい行程ではあるが、海岸線、襟裳岬、十勝平野、日高山脈まで一気に見られる。ゆっくり観光する余裕はないが、短い日程でここまで走って見て回れた充実感は大きかった。
このルートを計画する際のポイント
レンタカー返却時間から逆算する
今回のルートで最も重要だったのは、レンタカーの返却時間。新千歳空港周辺のレンタカー営業所は18~19時頃に営業終了となる店舗が多く、今回は18時半頃の返却のためそれに間に合うようルートを組んだ。
2日目は襟裳岬から十勝、日高山脈を経由して新千歳空港へ戻るため、見学時間を長く取りすぎると後半の時間管理が厳しくなる。旅程を考える際は、返却時間から逆算して計画を立てるのがおすすめ。
道の駅をつなぐだけでも十分楽しめる
北海道の長距離ドライブでは、道の駅を休憩地点として取り入れると行程を組み立てやすい。今回も、むかわ、新冠、みついし、コスモール大樹、樹海ロード日高と、道の駅をつなぐ形で走った。
トイレや食事、休憩だけでなく、その土地の景色や名産品にも触れられるため、道の駅を巡るだけでも十分にドライブ旅行として成立する。
襟裳岬周辺での車中泊は慎重に
当初は襟裳岬周辺での車中泊も検討していた。しかし実際に訪れてみると、強風と低温は想像以上だった。内陸では夏のような暑さなのに対し、岬に近づくにつれて一気に気温が下がり、風の影響で体感的にはさらに寒く感じた。
周辺には夜間に利用できる施設がほとんどなく、軽装での車中泊は避けたほうが無難。
時間が足りない場合は休憩時間を調整する
1泊2日で日高山脈襟裳十勝国立公園を周遊する場合、アポイ岳ジオパークや襟裳岬はできれば残したい。
時間が足りない場合は、道の駅での滞在を短くするか、道東自動車道を使って移動時間を削るのが現実的だ。道の駅コスモール大樹は、今回も短い休憩だけで切り上げた。限られた時間で回るなら、主要スポットを削る前に、休憩時間と移動ルートで調整したい。
よくある質問
新千歳空港から襟裳岬への行き方は?車で何時間かかりますか?
新千歳空港から襟裳岬までは、車でおおむね4~5時間。公共交通でのアクセスは不便なため、北海道外から向かうなら新千歳空港でレンタカーを借りるのが現実的。今回は道の駅や観光スポットに立ち寄りながら移動したため、1日目は浦河まで進み、2日目に襟裳岬を訪れた。
日高山脈襟裳十勝国立公園を回るなら何日必要ですか?
新千歳空港発着なら1泊2日でも回れる。ただし約500km走るため、ドライブ重視の旅になる。幌尻岳周辺や十勝側まで含めるなら2泊3日以上ほしい。1泊2日なら、襟裳岬・アポイ岳・日高海岸に絞るのが現実的だ。
襟裳岬周辺で車中泊はできますか?
車中泊自体は可能な場所もあるが、実際に訪れてみると、強風と低温は想像以上。特に軽装での車中泊はおすすめできず、宿泊するなら浦河など周辺の市街地を利用する方が安心。
日高山脈襟裳十勝国立公園を回るならレンタカーは必要ですか?
今回のように日高海岸、襟裳岬、十勝南部、日勝峠を1泊2日で周遊するならレンタカーは必須。公共交通だけで同じルートを1泊2日でたどるのは、ほぼ不可能だろう。


