2024年に開業したホーチミン市初の都市鉄道「メトロ1号線(Bến Thành – Suối Tiên)」は、ベトナムの都市交通に新しい時代をもたらした。
全長約19.7km、地下3駅・高架11駅で構成され、市中心部のベンタイン駅から郊外のスオイティエン駅までを約40分で結んでいる。
本記事では、筆者が現地で全駅を取材した記録をもとに、各駅の特徴や周辺スポット、沿線の開発状況を写真付きで紹介する。
初めて乗る人にもわかりやすいよう、路線の概要や所要時間、運賃の目安もまとめている。

概要|ホーチミン・メトロ1号線(Bến Thành–Suối Tiên)とは
- 開業年:2025年
- 駅数:14(地下3・高架11)
- 路線距離:約19.7km
- 所要時間:ベンタイン〜スオイティエン間で約40分
- 運行時間:5:30〜22:00
- 運賃:7,000〜20,000₫(距離制)
- 1日券/3日券:40,000₫/90,000₫
- 月額パス:一般300,000₫、学生150,000₫
- 運営:ホーチミン都市鉄道管理局(MAUR)
シンプルな距離制運賃に加え、観光客や通勤者が利用しやすい各種パスも整備されている。
市民の足として定着しつつあり、今後は他路線との接続や沿線開発によって利便性がさらに向上する見込みである。
初めて利用する方は、メトロ1号線の乗り方ガイドも参考にどうぞ。
路線図・地図|1号線の全体イメージを把握する
以下のマップでは、1号線(Bến Thành–Suối Tiên)の全14駅を一覧できる。各マーカーをクリックすると、現地取材記事を開けるよう設定している。
▲ ホーチミン・メトロ1号線のGoogleマイマップ
全14駅の一覧と特徴まとめ

| 駅番号 | 駅名(日/ベトナム語) | 種別 | 特徴・記事リンク |
|---|---|---|---|
| 1 | ベンタイン駅 (Bến Thành) | 地下 | メトロの起点。市場・バスターミナル・商業施設が集まる中心駅。 |
| 2 | オペラハウス駅 (Nhà hát Thành phố) | 地下 | ドンコイ・グエンフエ通り至近。観光・ショッピングの中心地。 |
| 3 | バソン駅 (Ba Son) | 地下 | サイゴン川沿い再開発地区。近代的デザインが特徴。 |
| 4 | バンタインパーク駅 (Văn Thánh) | 高架 | 緑豊かな公園隣接。中心部直前の静かな駅。 |
| 5 | タンカン駅 (Tân Cảng) | 高架 | LANDMARK81近くの大型高架駅。将来のライン5接続。 |
| 6 | タオディエン駅 (Thảo Điền) | 高架 | 外国人に人気の居住区。カフェ・コワーキング多数。 |
| 7 | アンフー駅 (An Phú) | 高架 | 高層マンションとショッピングモールが並ぶ都会的エリア。 |
| 8 | ラックチエック駅 (Rạch Chiếc) | 高架 | 大型スポーツ施設予定地「Rach Chiec Complex」隣接。 |
| 9 | フオックロン駅 (Phước Long) | 高架 | 住宅地と工業エリアが共存、大量のコンテナ群が圧巻。 |
| 10 | ビンタイ駅 (Bình Thái) | 高架 | 再開発が進む生活エリア。Metro Star建設予定地。 |
| 11 | トゥードゥック駅 (Thủ Đức) | 高架 | 旧市街中心。ローカル市場や住宅地が広がる。 |
| 12 | ハイテクパーク駅 (Khu Công Nghệ Cao) | 高架 | サイゴン・ハイテクパーク直結、産業エリアの中核。 |
| 13 | 国立大学駅 (Đại học Quốc gia) | 高架 | 学生街の中心。スオイティエン公園へのアクセス駅。 |
| 14 | スオイティエン駅 (Suối Tiên Terminal) | 高架 | 終点。新東部バスターミナル隣接、郊外開発の玄関口。 |
🌆 沿線エリアの特徴と見どころ
ホーチミン・メトロ1号線は、市中心部の地下区間から郊外の高架区間へと変化していく。路線全体を大きく3つのエリアに分けると、特徴がより分かりやすい。
① 中心部(ベンタイン〜バソン)
商業・観光の中心地であり、旅行者が最も多く利用するエリア。
ベンタイン市場やドンコイ通り、オペラハウスなど主要観光スポットが徒歩圏内に集まる。
通勤や観光、ホテル滞在者の移動拠点として便利。レタントン通りに沿うサイゴン日本人街もここ。
② 中間部(バンタインパーク〜ラックチエック)
外国人居住区や高級住宅街が広がるゾーン。
特にタオディエンやアンフー周辺は、カフェやコワーキングスペースが多く、ノマド層にも人気が高い。大型コンドミニアムや商業施設の開発も進み、生活利便性の高いエリアとして注目されている。
③ 東郊部(フオックロン〜スオイティエン)
工業団地や大学、郊外住宅地が点在するローカルエリア。
通勤・通学での利用が中心で、国立大学駅やハイテクパーク駅では学生や労働者の姿が目立つ。観光ではスオイティエン公園(国立大学駅で直結)へのアクセスが便利。
終点スオイティエン駅は、新東部バスターミナルと接続し、近郊都市へのアクセス拠点となっている。
🚇 車両紹介|日立製メトロ車両の特徴
中心部から郊外へ向かうにつれ、街の雰囲気が大きく変わるのが1号線の魅力である。観光路線としてだけでなく、発展を続けるホーチミンの姿を間近で感じられる鉄道路線である。

採用車両は日立製作所製の3両編成。ステンレス製ボディに青いラインを配し、冷房完備の快適な車内が特徴。最高速度は110km/hで、ベトナム初の本格的都市鉄道車両として導入された。

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📝 まとめ|ホーチミンの新しい移動のかたち
ホーチミン・メトロ1号線は、2024年の開業を機に市民の生活スタイルを大きく変えつつある。
中心部と東部郊外を約40分で結び、通勤・通学・観光のすべてで利用できる新たな都市インフラとなった。
本記事では全14駅を現地取材に基づいて紹介した。まだ訪れていない駅があれば、ぜひ実際に足を運び、自分の目でホーチミンの“今”を確かめてほしい。
参考リンク|公式情報・外部資料
※外部サイトの内容は取材時点(2025年)に確認したものです。


