ホーチミン・メトロ1号線 完全ガイド|路線図・運賃・乗り方・全駅の特徴

2024年に開業したホーチミン市初の都市鉄道メトロ1号線(Ben Thanh–Suoi Tien)は、
市内中心部と東部エリアを結ぶ全長19.7kmの新しい交通インフラだ。

地下3駅・高架11駅で構成され、ベンタイン駅からスオイティエン駅までを約40分で結ぶこの路線は、
「路線図を知りたい」「運賃は? 時刻表は?」「どの駅で降りるべき?」
といった旅行者・在住者の疑問に応える交通手段として注目を集めている。

筆者が全14駅を現地取材した内容をもとに以下を写真付きでまとめて紹介する。

  • メトロ1号線の路線図と全体像
  • 駅ごとの特徴と周辺スポット
  • 乗り方ガイド(運賃・券売機・アプリ・タッチ決済)
  • 最新の時刻表の目安や所要時間
  • 実際に利用して見えてきた15の特徴(設備・雰囲気・注意点)

ホーチミンメトロを一度で理解できる総合ガイドとして構成しているため、
初めて乗る人はもちろん、旅行計画や在住者の通勤ルート検討にも役立つはずだ。

ホーチミン・メトロ1号線の高架駅外観。近代的なデザインが印象的。
▲ 高架構造が続くホーチミン・メトロ1号線の郊外区間。
  • 開業年:2024年
  • 駅数:14(地下3・高架11)
  • 路線距離:約19.7km
  • 所要時間:ベンタイン〜スオイティエン間で約40分
  • 運行時間:5:30〜22:00前後
  • 運賃:7,000〜20,000₫(距離制)
  • 1日券/3日券:40,000₫/90,000₫
  • 月額パス:一般300,000₫、学生150,000₫
  • 運営:ホーチミン都市鉄道管理局(MAUR)

シンプルな距離制運賃に加え、観光客や通勤者向けのパスも整備されている。
開業以降は利用者が増えつつあり、今後は他路線との接続や沿線開発によって利便性が高まることが期待されている。

メトロ1号線(Ben Thanh–Suoi Tien)は、市中心部の地下区間から、新興エリア、さらに郊外の高架区間へと連続して伸びる路線で、駅ごとにまったく異なる街の表情が見える。

以下のGoogleマイマップは、筆者が全駅を取材して作成したもので、
・14駅の位置関係
・地下と高架の境界
・各駅の詳細記事へのリンク
をひと目で確認できるようにしている。

▲ ホーチミン・メトロ1号線のGoogleマイマップ(全駅の位置・特徴をまとめた取材版)

初めて利用する人でも、このマップを見ればどこで降りればよいか、街のどの位置を走る路線かがすぐに分かるはずだ。

ベンタイン駅のホームドアと駅名サイン。1号線の起点となる中心駅。
▲ 地下に位置するベンタイン駅。市中心部の主要アクセス拠点。
駅番号駅名(日/ベトナム語)種別特徴
1ベンタイン駅
(Bến Thành)
地下メトロの起点

市場・バスターミナル・商業施設が集まる

2オペラハウス駅
(Nhà hát Thành phố)
地下ドンコイ・グエンフエ通り至近

観光・ショッピングの中心地

3バソン駅
(Ba Son)
地下サイゴン川沿い再開発地区

近代的デザインが特徴

4バンタインパーク駅
(Văn Thánh)
高架緑豊かな公園隣接

中心部直前の静かな駅

5タンカン駅
(Tân Cảng)
高架LANDMARK81近くの大型高架駅

将来のライン5接続

6タオディエン駅
(Thảo Điền)
高架外国人に人気の居住区

カフェ・コワーキング多数

7アンフー駅
(An Phú)
高架都会エリア

高層マンションとショッピングモールが並ぶ

8ラックチエック駅
(Rạch Chiếc)
高架大型スポーツ施設予定地隣接
9フオックロン駅
(Phước Long)
高架住宅地と工業エリアが共存

大量のコンテナ群が圧巻

10ビンタイ駅
(Bình Thái)
高架再開発が進む生活エリア

Metro Star建設予定地

11トゥードゥック駅
(Thủ Đức)
高架旧市街中心

ローカル市場や住宅地が広がる

12ハイテクパーク駅
(Khu Công Nghệ Cao)
高架サイゴン・ハイテクパーク直結

産業エリアの中核

13国家大学駅
(Đại học Quốc gia)
高架学生街の中心

スオイティエン公園へのアクセス駅

14スオイティエン駅
(Suối Tiên Terminal)
高架終点。新東部バスターミナル隣接

郊外開発の玄関口

ホーチミン・メトロ1号線の乗り方ガイド

ここでは、現地での購入方法から改札通過、アプリの使い方まで、利用者目線で乗り方に特化して解説する。

チケットの種類と運賃・料金表

チケットは距離別運賃制で、運賃7,000〜20,000₫にデポジット15,000₫を加えた額が片道券の支払総額となる。※デポジットは物理カードのみ適用。QRチケットやタッチ決済では不要。

ホーチミンメトロ1号線の運賃表|チケット料金と区間ごとの運賃一覧(7,000〜20,000ドン)

例:ベンタイン駅 → タオディエン駅間は22,000₫(運賃7,000₫+デポジット15,000₫)。

種類内容料金
片道券(Single Journey Ticket)乗車1回/物理カード券。出場時に改札へ返却。7,000〜20,000₫+15,000₫
往復券(Round Trip)券売機で選択可能。距離により変動
1日券1日有効/乗り放題。40,000₫
3日券3日間有効。90,000₫
月券一般300,000₫、学生150,000₫。アプリで発行。

料金や割引は変更される場合があるため、最新の運賃はHCMC Metro公式サイトで確認しておきたい。

券売機での購入方法(現金/カード)

各駅の改札前に設置された券売機で、片道券・往復券・1日券などを購入できる。
画面は英語・ベトナム語対応で、タッチ操作で行き先を選択できる。

ホーチミンメトロ1号線の券売機|チケットの買い方と支払い方法(現金・カード対応)
ベンタイン駅の券売機

基本的な流れは次の通り。

  1. 出発駅・到着駅を選ぶ
  2. 片道・往復を選択
  3. 支払い方法を選択(現金/カード/MoMo)
  4. チケット発行
ホーチミンメトロのチケット購入画面|目的地選択と料金表示の例
画面で行き先駅を選択。運賃とデポジットが自動計算される。

現金派の場合は券売機が便利で、ベトナムドン紙幣(1,000〜100,000₫)に対応している。
200,000₫・500,000₫といった高額紙幣は使えないため、乗車前に小額紙幣を用意しておくよい(小額紙幣がない場合は窓口で直接購入できる)。
この場合はカードではなく紙で発行されるQRチケットで入場となる。

なお、操作画面は英語表示も選べるので、ベトナム語が分からなくても購入できる。

オンライン決済キオスクと改札でのタッチ決済

■ オンライン決済専用キオスク(Card/MoMo)

現金を使わずに購入したい場合は、各駅に設置されたオンライン決済キオスクが便利。
画面で「Card」または「MoMo」を選び、決済するとチケットが発行される。
改札ではそのままタッチして通過できる。

オンライン決済専用キオスク。カードまたはMoMoで支払い、発行チケットをタッチして改札通過できる。
オンライン支払対応のキオスク
オンライン決済専用キオスク。ベトナム語だけでなく英語も選択可能。
言語は英語を選択できるので安心

■ 改札でのタッチ決済(Tap & Go)

改札機には Visa/Mastercard/Napas/MoMo 対応のタッチ端末が設置されており、入場時・出場時の両方でカードやスマホをかざすだけで支払いが完了する。

  • QRコードや現金の準備が不要
  • 観光客でもすぐ使える
  • Suica的に使える感覚

キャッシュレス派には最もシンプルな方法だ。クレジットカードのタッチ決済が使える観光客であればこれが最適解。

公式アプリ「HCMC Metro HURC」の使い方

公式アプリ「HCMC Metro HURC」では、1日券・3日券・月券などをQRコード形式で購入・表示できる。
スマートフォン専用で、App StoreGoogle Playからダウンロード可能(PC利用不可)。

ホーチミンメトロ1号線 HURCアプリでチケットを購入する画面

基本的な使い方は以下の通り。

  1. アプリをインストールしてメールアドレスで登録
     ※電話番号認証は不要。
  2. チケットを選択して購入
     支払い方法:クレジットカード/MoMo/ShopeePay/ZaloPay
  3. スマホ画面に表示されたQRコードを有効化
  4. 改札でQRコードをスキャンして通過(デポジット不要)
ホーチミンメトロのQRチケット例|スマホ画面を改札でスキャンして乗車

QRチケットはダウンロード済みならオフラインでも表示可能。
駅構内には無料Wi-Fiも整備されているので、初回だけ接続して購入しておけば、以後はオフライン利用でよい。

改札の通り方と出場方法

ホーチミンメトロ1号線の改札機|Visa・MoMoなどタッチ決済対応
実際の改札。タッチは上側、QRのスキャンは下側で読み込める。

改札は非接触決済に対応しており、カード・スマホ・QRコードをかざすだけで入出場できる。

  • 入場:チケットまたはスマホのQR/タッチ決済を読み取り部にかざす
  • 出場:再度スキャンして通過(片道券は返却)

物理カードの片道券を使った場合、改札を出たあとに券売機のCARD INLET(カード返却口)へ投入すると、デポジット15,000₫が返金される仕組みだ。

駅構内には常に係員が立っており、操作に迷った際もすぐ案内を受けられる。
乗り越し時は精算機を利用する。

乗り越し時は精算機を利用。画面操作は英語・ベトナム語対応。

駅構内・車内での注意点(ルールとマナー)

ホーチミンメトロ駅構内の注意事項掲示|飲食・喫煙禁止などの案内
構内のルールが掲示された案内。

駅掲示によると、構内では以下が禁止されている(抜粋)。

  • 飲食・喫煙
  • 強いにおいの食品・危険物・ペット・180cm超の荷物
  • 無断の商業撮影
  • ホーム端への立ち入り

ホームでは赤いラインを越えて立つとすぐ注意されるなど、安全面のルールはかなり厳しめだ。

車内の環境のポイントは以下。

  • 夕方はラッシュがあり混雑する。但し日本のラッシュほどではない
  • 冷房はショッピングモールと同程度で快適
  • 優先席や車いす・ベビーカー用スペースが設置されている
ホーチミンメトロ1号線の車内|冷房完備で清潔な新型車両
冷房が効いた明るい車内。新路線らしく清潔で快適。

利用時のポイント・よくある質問(FAQ)

Q. 運行時間は?

A. おおむね5:30〜22:00前後。日中は10分前後の間隔で運行している。
朝の通勤時間帯(7〜9時)や夕方(17〜19時)は混むが、本数は十分。

Q. チケットはどこで買うのが便利?

A. 事前に準備するなら公式アプリ「HCMC Metro HURC」がおすすめ。
QRコードで改札を通過でき、デポジットも不要。
現金派は券売機、キャッシュレス派は改札でのクレカタッチ決済が手軽。

Q. 出入口の場所が分かりにくい駅は?

A. ベンタインやオペラハウスなど中心部の駅は出口が多く、初めてだと迷いやすい。
出口番号ごとの周辺情報は全駅個別ガイドで詳しく紹介している。

ベンタイン駅・オペラハウス駅の出口案内はこちら
ベンタイン駅
オペラハウス駅

Q. 駅にトイレはある?

A. 全駅の改札フロアにトイレを完備。 清掃が行き届いており、案内板も分かりやすい。観光中のトイレ休憩スポットとしても頼りになる。

ホーチミンメトロ全駅に設置されたトイレ案内板と入口
全駅に清潔なトイレを完備。案内板があるので場所もわかりやすい。

Q. スリや治安は大丈夫?

A. 混雑はほどほどで、過度に警戒する必要はないが、人の出入りが多い時間帯はバッグやスマホの管理には注意したい。
全体としては、外国人旅行者でも安心して利用できる水準。

Q. 子どもや高齢者も利用しやすい?

ホーチミンメトロ駅のエレベーター|ベビーカー・車いす対応のバリアフリー設備
ホーチミンメトロ1号線の車内バリアフリースペース|車いす・ベビーカー対応の広い乗車エリア

A. 全駅にエスカレーターとエレベーターが設置され、車いす・ベビーカー対応のスペースもある。
優先席も設けられており、60歳以上・障がい者・6歳未満の子どもは無料(駅掲示による)。

乗り方の基本が分かれば、次に気になるのは「実際の駅や車内はどんな雰囲気なのか?」という点。続くセクションでは、全駅を歩いて見えてきたホーチミンメトロならではの15の特徴を写真付きで紹介していく。

ホーチミン・メトロ1号線の特徴|実際に全駅を歩いて見えた15の発見

ホーチミン・メトロ1号線が開業し約1年経過した。
ベトナム南部で初めての地下鉄として注目を集めるこの路線、日本とどう違うの?と思う人も多いだろう。

実際に全駅を乗り歩いてみると、駅の構造や雰囲気、そして運営スタイルまで、日本のメトロとは随所に違いがあった。
ここでは、実際に全駅を乗り歩いて見えてきたホーチミンメトロの日本とはちょっと違う特徴を15個紹介したい。

駅に現れるホーチミン独自の個性

① まだ1路線なのに全路線を描いた未来マップ

現在は1号線のみ運行中だが、全路線が描かれたホーチミンメトロの未来マップ。

駅構内の路線図には、開業しているのは1号線だけなのに、将来計画中の全8路線やモノレール区間が堂々と描かれている。
グレーで示された未開業区間を含めると、まるで東京のようなネットワーク。
「まだ1本なのに全部出す?」というツッコミを入れたくなるが、それもまた未来を先に見せるベトナム流のポジティブさ。

② 構内広告がない理由|静けさが際立つホーチミンの地下鉄

構内に商業広告がなく、メトロ関連ポスターだけが並ぶ通路。
「構内に商業広告がなく、メトロ関連ポスターだけが並ぶ通路」の別の場所、角度

構内を歩くと、驚くほど静かだ。
それは音ではなく、視覚的な静けさである。
日本の地下鉄なら求人や不動産の広告が壁を覆うが、ホーチミンメトロには商業広告が一切ない。

壁を飾るのは「HCMC METRO」のロゴに加え、車両や停車場を撮影した大型パネル、構内の風景写真など。
いずれも広告ではなく、メトロそのものを見せる展示だ。まるで駅全体がギャラリーのような雰囲気で、清潔感と誇らしさが同居している。

実はこれ、広告を出していないというより出せない段階らしい。
ベトナムでは屋外広告の設置が法で細かく規制されており、「屋外広告メディアのマスタープラン」を作成する義務が法律(Law 16/2012 on Advertising)に定められている。
こうした制度面の背景も、現時点で構内広告がない理由の一つと考えられる。

加えて、開業直後の今はまずはきれいに見せたい、という意図もあるのだろう。
ピカピカの無音ホームを体験できるのは、今だけかもしれない。

③ 禁止サインの個性がすごい

「No Hot Water」「No Balloons」「No Animals」など独特な禁止表示。

「熱い飲み物禁止」「風船禁止」「動物禁止」――。
並びだけ見ると妙にピンポイントだが、実際にはどれも安全面や車内環境への配慮として筋が通っている。とくに風船禁止は少し意外だが、日本の鉄道でも見かけるルールであり、軽く見えて案外やっかいなのだろう。

④ 横たわり禁止のサイン

「ポイ捨て禁止」「横たわり禁止」を示す駅構内の掲示。

車内には「No Littering(ポイ捨て禁止)」の隣に「No Lying Down(横たわり禁止)」の文字。
座席で横になり寝てしまう人を想定しているのだろう。
公共空間を自宅の延長にしがちな生活感がにじんでいて、思わず笑ってしまう。
真面目さとおおらかさが共存する、ベトナムらしい禁止サインだ。

⑤ エスカレーターは右立ち・左歩き

「右に立ち、左を歩く」ことを示すHCMC METROの案内。

貼り紙には「Stand Right, Walk Left」。
つまり関西方式である。
日本では歩かず両側立ちが推奨されているが、こちらは歩く人優先の文化。
利用者がこのルールに慣れていく過程そのものが、新しい都市文化の誕生を感じさせる。

⑥ ごみ箱が豊富で分別もされている

リサイクル可・不可に分けられたHCMC METROのごみ箱。

ホームや改札、通路の各所にごみ箱が設置されており、リサイクル/非リサイクルの2分別になっている。
日本では安全面や衛生面から撤去が進む中、ここではむしろ増やしている。
現在は利便性を保ちながら清潔に維持できており、素直に称賛したい。

⑦ トイレに観葉植物

ホーチミンメトロ駅トイレ内に設置された観葉植物。

どの駅のトイレにも鉢植えの緑が置かれていた。
無機質な空間に小さな自然。
緑を置くだけで印象が変わるということを改めて実感する。

安全・運営スタイルに現れる特徴

⑧ 全駅ホームドアと赤いラインの警告

ホーチミンメトロのホームドアと赤い警告ライン。

1号線の全駅にはホームドアが標準装備されている。
開業時点で全駅導入というのは東南アジアでも珍しい。
足元を見ると、白線ではなく赤いラインが引かれており、これを越えると駅員からすぐに注意を受ける。

開業直後らしい緊張感と安全意識の高さが漂うホーム。
駅員は常に目を光らせ、赤線を一歩でも越えようものなら即注意。

⑨ 無料充電スポットと多端子ケーブル

ケーブル付きでスマホを充電できる設備。

ホーム脇や改札近くに無料の充電コーナーがあり、USB-CとLightningのケーブルがぶら下がっている。
実際に使ってみたが充電可能であった。空港では見ても、地下鉄ではなかなか見ない光景だ。

利用中はスマホを盗まれないよう注意が必要だが、便利な公共設備の象徴でもある。

⑩ 駅構内で無料Wi-Fiが利用可能

駅構内で使える無料Wi-Fiの案内。
駅構内で使える無料Wi-Fiの速度テスト結果。

全駅で「@METRO FREE WIFI」が利用できる。
実測9.4Mbpsと十分な速度で、動画視聴も可能だった。
改札入出場はスマホのQRコードも利用可能なので、通信インフラとの相性も良い。
インターネットが駅の設備になった瞬間を感じた。

⑪ 救護室(First Aid)完備

駅構内にある救護室の入口。

各駅に「First Aid」と表示された救護室が設置されている。
実際に使われる場面は見ないが、あるだけで安心という存在感がある。

駅員の配置・インフラの人の動き

⑫ 駅員室がガラス張りでオープン

ガラス張りで中の様子が見える駅員室。

改札横の駅員室はガラス張り。
中の様子が丸見えで、透明性100%。
サボれない仕組みとも言えるが、実際は利用者が声をかけやすい心理的デザイン。

⑬ プラットフォームにも駅員室がある

プラットフォーム上にある駅員室と勤務する職員。

高架駅では上下線それぞれに駅員室があり、常に複数名のスタッフが配置されている。
人の目で守る安全がここではまだ主流だ。

鉄道を都市の象徴にする演出

⑭ 国旗が並ぶ駅構内

駅構内に掲げられた多数のベトナム国旗。

郊外駅を中心に、天井から国旗がずらり。
開業祝賀ムードと国家の誇りが入り混じった光景で、まるで社会主義的祝祭空間。

⑮ 無人のインフォメーションカウンター

駅構内中央の円型インフォメーションカウンター。

多くの駅に設けられた円型カウンターは見栄えが良く、観光都市らしい配慮。
ただし実際にスタッフがいることはなく、設備は立派だが無人というギャップがある。
問い合わせは駅員室で対応してもらえる。

ホーチミン・メトロ1号線を実際に歩きながら観察していくと、
設備の新しさだけでなく、どこか前向きで素朴な魅力が随所に感じられる。
清潔さや安全性に加え、街の成長をそのまま映し出すような雰囲気があるのも、この路線ならでは。

こうした特徴を理解しておくと、駅ごとの個性や沿線の変化もより楽しめるはずだ。
続くセクションでは、沿線エリアと各駅の特徴をもう少し具体的に見ていきたい。

メトロ1号線(Ben Thanh–Suoi Tien)は、市中心部の地下区間から、新興住宅エリア、そして郊外の大学・工業団地へとつながる都市の断面図のような路線である。

以下では、路線全体を3つのエリアに分けて特徴を整理する。

① 中心部(ベンタイン〜バソン)|観光・商業の中心ゾーン

ホーチミンの主要観光地が集まる最も利用者の多い区間。
ベンタイン市場、ドンコイ通り、オペラハウスなどが徒歩圏で、ホテルも多い。

  • 初めての旅行者はこの区間を最も使う
  • 地下区間で渋滞知らず
  • レタントン通り(日本人街)にも近く利便性が高い

観光・ショッピング・ビジネスの中心として、1号線の顔となるエリア。

② 中間部(バンタインパーク〜ラックチエック)|外国人街・新興住宅地が広がる区間

高級住宅街や外国人居住区が広がり、
特にタオディエン(Thao Dien)・アンフー(An Phu) 周辺はカフェ、レストラン、コワーキングスペースが多く住む街として人気が高い。

  • ファミリー向けコンドミニアムやインターナショナルスクールが多い
  • 欧米系・アジア系の外国人が多く歩くエリア
  • 生活利便施設が増えており、都市開発が加速中

観光客よりも在住者の利用が多い生活エリアといえる。

③ 東郊部(フックロン〜スオイティエン)|大学・工業団地・新バスターミナルのある郊外区間

ここから先は、ローカル度が一気に高まるエリア。
工業団地・大学・郊外住宅地が点在し、通勤・通学の需要が中心となる。

  • High Tech Park駅:Hutech大学、外資系工場の通学・通勤動線
  • 国家大学駅(Vietnam National University):学生の利用が多い。テーマパーク「スオイティエン公園」最寄り
  • スオイティエン駅:新東部バスターミナル(Mien Dong New Bus Station) と接続

観光客にとっては国家大学駅から直結のスオイティエン公園へのアクセスが主だが、
都市圏の広がりを実感できるローカル色の強いエリア。

中心部から郊外へ向かうにつれ、街の雰囲気が大きく変わるのが1号線の魅力。観光路線としてだけでなく、発展を続けるホーチミンの姿を間近で感じられる鉄道路線だ。

ホーチミン・メトロ1号線では、日立製作所が製造したステンレスボディの3両編成が運行している。
青いラインが印象的で、開業前から未来の都市鉄道として大きな注目を集めた。

ホーチミン・メトロ1号線の日立製車両。青いラインが特徴。
▲ 終点付近のホームに停車する日立製3両編成の車両。

車両性能は都市鉄道として十分で、

  • 最高速度110km/h
  • 冷房完備の明るい車内
  • 広めのドアスペース(乗降しやすい)
  • LED案内表示(ベトナム語・英語)

といった国際都市らしい仕様だ。

メトロ1号線の車内。青と白の座席が整然と並ぶ。
▲ 車内は明るく清潔で、冷房が効いた快適な空間となっている。

実際に乗ってみると、加速は滑らかで振動も少なく、日本の新路線に近い乗り心地。車内のデザインもモダンで、優先席や車いすスペースもわかりやすく配置されている。

1号線の車両・設備仕様は、都市鉄道計画全体の参考モデルとして扱われており、将来の路線整備における設計指針のひとつとされている。

今後の計画|ホーチミン都市鉄道ネットワークの行方

1号線の開業は、ホーチミン市が進める都市鉄道ネットワーク整備の最初のステップ。
市の都市交通計画(MAUR)によれば、今後は以下の路線が段階的に整備される予定となっている。

ホーチミン都市鉄道の将来ネットワーク図(都市交通計画に基づく全体構想)
ホーチミン市が長期計画で定める都市鉄道路線網。1号線を起点に複数路線の整備が検討されている。

ただし、都市鉄道の整備は計画通りに進むとは限らない。1号線自体も長い工期を経て開業しており、今後の路線でも用地取得、地下工事、資金調整などが課題になる可能性がある。こうした大型鉄道計画の工期遅れは、ベトナムだけでなく日本の北海道新幹線やリニア中央新幹線にも重なるテーマである。

■ 2号線(Ben Thanh – Tham Luong)

中心部と西エリアを結ぶ主要路線。
ベンタイン駅を起点とし、Tham Luong方面へ伸びる計画で、2026年1月より建設プロジェクトが開始予定と報じられた(出典:Tin Tuc(2025年11月27日付))。この路線は全長11km超で、10駅のうち9駅が地下区間となる。
具体的な開業時期は明らかになっていない。

■ 3号線(Ben Thanh – Mien Tay Bus Station方面)

ベンタイン駅から西方面の長距離バスターミナル方面へ向かう計画路線。
こちらも調査・検討段階で、建設時期は未確定。

■ 5号線・6号線(環状ルート)

市外周部を結ぶ大規模構想で、
都市鉄道計画における長期プロジェクトとして位置付けられている。

■ 将来構想:8路線+モノレール2路線

ホーチミン市は、長期的に都市鉄道 8路線+モノレール2路線のネットワーク形成を目標としている。
駅構内に掲示されている未来マップもこの構想に基づいて描かれている。

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