※本記事は2025年11月時点の現地取材に基づいています。
ハノイの玄関口として機能するノイバイ国際空港。
その国際線ターミナルT2は、2014年にオープンした比較的新しい建物で、大成建設(Taisei Corporation)の施工により、日本の円借款を活用して建設された。
館内はガラス面が多く明るく、動線が素直で迷いにくい造りだ。
ただし近年は、急速な旅客増加に対応するための 拡張工事(2024〜2026予定)が進んでおり、出発階の両端が仮囲いで閉鎖されている。筆者が訪れた2025年11月時点では、出発階(3F)の約3分の1が利用できない状態で、テナントや飲食店の配置が一部変わっていた。
本ガイドでは、2025年現在のノイバイ空港T2国際線ターミナルの全体像を、できるだけわかりやすくまとめた。SIM・市内アクセス・T1との移動は別の記事で詳しく整理しているため、本稿では概要のみ。

T2ターミナルの基本構造(フロア案内まとめ)
T2は「縦にスッと抜ける」ようなシンプルな4層構造になっている。
- 1F:国際到着フロア(到着ロビー・市内アクセス)
- 2F:サービス階(飲食・ショップ・荷物預かり・空港内ホテル)
- 3F:国際出発フロア(チェックインカウンター)
- 4F:レストラン・ショッピングフロア+簡易展望スペース

天井が高く開放感があり、案内板も多い。
ノイバイ空港のT2が初めてという旅行者でも、フロア構成さえ把握しておけば迷いにくい。
→ 詳細はノイバイ空港公式サイト(英語)
https://noibaiairport.vn/en/
急増する旅客数と拡張工事について
ノイバイ空港の国際線利用者は、2019年に約1,650万人。
コロナ後の回復も早く、2023年以降は再び混雑が常態化している。
こうした需要増を受け、T2では年間旅客処理能力を約1.7倍に引き上げる拡張計画が進行中だ。2025年11月時点では出発階の端のエリアが大規模に工事中で、動線が狭まっている区画も見られた。


とはいえ、メイン動線は確保されており、チェックイン自体は問題なく行える。
「ちょっと狭いところがある」「仮囲いが多い」という程度で、利用に大きな支障はない。
→ ノイバイ空港T2の拡張工事については、プロジェクトに参画するVinaconex の公式発表が詳しい。
出発階(3階)のフロア案内|チェックインと各種サービス

T2の中心となるのが3Fの出発階。
チェックインカウンターはA〜Hまで横一列に長く並び、中央付近はスペースが広く開放的。一方、両端では拡張工事が行われており、壁面いっぱいに白い仮囲いが続く。

● チェックインカウンター
- ベトナム航空(VN)が大きな割合を占める
- LCCや韓国・東南アジア系は、利用航空会社ごとにカウンターが変わることがある
- フライトが集中する夕方〜夜は混雑しやすく、早めの到着が安心
荷物包装サービス(ラッピング)

スーツケースを傷や汚れから守りたい人向けに、ラッピングサービスもある。
出発階の入口近くに機械が設置されており、スタッフがその場でスーツケースをラップでぐるっと巻いてくれる。
- 料金:60,000 VND(約350円)
- 所要時間:1個あたり数分程度
外装保護や鍵部分の補強、長距離フライトでの破損防止に役立つ。
T2の主要航空会社一覧(乗り継ぎに便利な航空会社)
※日本路線以外
T2にはアジア・中東・欧州など幅広い航空会社が就航しており、国際的な乗り継ぎハブとしての役割も大きい。
以下は、日本路線を除いて、日本人旅行者が実際によく利用する主要キャリアをまとめた。
ベトナムの航空会社(国際線|Vietnam Airlines / Vietjet)
- ベトナム航空(Vietnam Airlines)
ベトナムのフラッグキャリアで、ハノイ発の主要国際線と長距離路線を広く担当する。 - ベトジェットエア(Vietjet Air)
日本・韓国・タイなどアジア路線の便数が多く、価格重視で選ばれやすいLCC。
韓国系(便数が多く、韓国人利用が非常に多い)
韓国とベトナム間は旅行・ビジネスの往来が多く、便数が非常に多いジャンルである。便数が多い分、日本人旅行者にとっても使いやすい路線が多い。
- 大韓航空(Korean Air)
仁川経由で北米・欧州・日本行きなど路線網が非常に強く、乗り継ぎの定番。 - アシアナ航空(Asiana Airlines)
欧州方面への乗り継ぎで安定した人気。サービス品質も評価が高い。 - ティーウェイ航空(T’way Air)
日本路線が多いため、日本人旅行者が利用しやすいLCC。料金が安い。 - チェジュ航空(Jeju Air)
韓国の地方都市へ飛べるうえ、東南アジアへの乗り継ぎも豊富。
👉 韓国系は “韓国⇆ベトナム” の巨大需要によって便数が多く、T2利用でも存在感が大きい。
台湾系(アジア〜米国行きの乗り継ぎで人気)
- チャイナエアライン(China Airlines)
台北乗り継ぎで米国西海岸・グアム・オーストラリア方面へ行きやすく、時差管理がしやすい。 - エバー航空(EVA Air)
安全性ランキング上位の航空会社。台北経由の北米路線は特に人気が高い。 - スターラックス航空(Starlux Airlines)
サービス評価が高い新興キャリアで、台北経由の選択肢として人気が出ている。
中国・香港系(価格重視の乗り継ぎに)
- キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific)(香港) — 欧州・北米行きの深夜便が強い
- 中国国際航空(Air China) — 北京経由で欧州行きが豊富
- 中国東方航空(China Eastern) — 上海経由で日本・アジア方面に強い
- 中国南方航空(China Southern) — 広州経由でアジア・オセアニア方面が比較的安い
👉 価格の安さと便数の多さが魅力で、“コスパ重視の乗り継ぎ” として人気がある。
タイ系
- タイ国際航空(Thai Airways)
バンコク乗り継ぎでリゾート方面(プーケットなど)が便利。 - タイ・エアアジア(Thai AirAsia)
東南アジアの短距離移動に強いLCC。
シンガポール系
- シンガポール航空(Singapore Airlines)
ハブのチャンギ空港は乗り継ぎ効率が高く、欧州・豪州方面に強い。 - スクート(Scoot)
日本行きでは、一度シンガポールへ南下してから乗り継ぐ “逆戻りルート” も選ばれる。
👉 「安定のフルサービス+格安のスクート」の2軸で評価が高い。
中東系
- カタール航空(Qatar Airways)
欧州行きの評価が非常に高い。 - エミレーツ航空(Emirates)
ドバイ経由で世界中へ。
インド系
- インディゴ(IndiGo)
デリー・コルカタ路線が中心。日本人利用は多くないが、インド周遊では選択肢になる。
T2ではアジアを中心に幅広い航空会社が揃っており、旅行先や予算に合わせて柔軟に選べる。
T2発|日本行き直行便まとめ(成田・羽田・関西・中部・福岡)
ノイバイ空港T2からは、日本の主要都市へ多くの直行便が運航されており、ビジネス・観光ともに利用しやすい充実した路線構成になっている。
以下は2025年時点の主な就航都市と航空会社一覧。
東京(成田 / Narita:NRT)
- ベトナム航空(Vietnam Airlines)
- 全日本空輸 / ANA(All Nippon Airways)
- 日本航空 / JAL(Japan Airlines)
- ベトジェットエア(Vietjet Air)
👉 便数が最も多く、深夜発・早朝着など時間帯の選択肢が幅広い。
東京(羽田 / Haneda:HND)
- ベトナム航空(Vietnam Airlines)
- 全日本空輸 / ANA(All Nippon Airways)
👉 ハノイ早朝発の便が運航しており、都心アクセスの良さからビジネス出張で使われやすい。
大阪(関西 / Kansai:KIX)
- ベトナム航空(Vietnam Airlines)
- 全日本空輸 / ANA(All Nippon Airways)
- 日本航空 / JAL(Japan Airlines)
- ベトジェットエア(Vietjet Air)
👉 関西圏で需要が大きい。
名古屋(中部 / Chubu:NGO)
- ベトナム航空(Vietnam Airlines)
- 全日本空輸 / ANA(All Nippon Airways)
- ベトジェットエア(Vietjet Air)
👉 便数は多くないが、安定して運航されている人気路線。
福岡(Fukuoka:FUK)
- ベトナム航空(Vietnam Airlines)
- 全日本空輸 / ANA(All Nippon Airways)
👉 西日本からのアクセス路線として、観光・ビジネスともに根強い需要がある。
日本とハノイ間は年間を通じて需要が高く、便数はおおむね安定している。
日本発ハノイ行きも同じ航空会社が運航しており、往復ともに選びやすい。
4階|レストランとお土産・展望エリア
出発階からエスカレーターで上がれるフロアには、出発前に軽く食事できる店舗がいくつかある。
- Highlands Coffee(ベトナム定番のカフェチェーン)
- LUCKY Restaurant(ローカル料理中心のレストラン)


- Lucky Shop(お手軽なお土産ショップ)

拡張工事の影響か店舗数はやや減っているが、席数は十分あり、利用しやすい。
また、4階からは空港の滑走路エリアを一望できる簡易展望エリアもあり、離着陸を眺めながら時間をつぶせる。

到着階(1階)|SIM・両替・ATM・市内アクセスの場所案内

到着ロビーにはSIMカウンター・両替所・ATMが揃っており、必要な手続きを一通り済ませられる。
SIM購入はこちらの記事で詳しくまとめています。
市内への移動手段も同じフロアからアクセスできる。

- タクシー乗り場:到着出口を出て左側
- Grabなど配車アプリ:到着階外の一般車レーン
- 空港バス(86番):到着階を出て左側のバス停
各手段のメリットや料金比較、深夜帯の注意点については、ノイバイ空港T2⇔ハノイ市内アクセス記事で詳しく紹介している。
なお、国内線T1との移動は無料シャトルバスが便利(時刻・乗り場はこちら)
到着階にある花屋(ベトナムらしいお出迎え文化)

到着階には小さな花屋があり、色とりどりの花束が並んでいる。
これは、家族や恋人、友人を “花で迎える” ベトナムならではの習慣があるためだ。
長期留学や海外赴任から帰国する家族を出迎える際、到着ゲートで花束を渡す光景はよく見られる。
日本ではあまり一般的ではない演出だが、ベトナムでは温かい歓迎の象徴として根付いている。
旅行者にとっても、空港で見かけると少しほっこりするスポットだ。
2階|飲食・荷物預かり・空港内ホテル

到着と出発の間に位置する2Fは、実質的に旅行者に最も便利な階。
● 飲食(2Fフードコート)

麺類・軽食・タピオカ・フライドチキンなど手軽な店が多い。
23時頃まで営業する店もあり、遅い到着でも食事がとれる。
● 荷物預かり(Left Luggage)

T2の2階には、スーツケースやバックパックを一時的に預けられる荷物預かりサービス(Left Luggage)がある。ハノイ市内で観光したい場合や、乗り継ぎ時間が長いときに便利。「コインロッカー代わり」と考えるとイメージしやすい。
利用料金(2025年時点・荷物1個あたり)

- 最初の3時間:90,000ドン
- 3〜12時間:100,000ドン
- 12〜24時間:110,000ドン
- 24時間〜30日:120,000ドン / 1日
- 30日以上:130,000ドン / 1日
👉 料金は「サイズ・重さに関係なく一律料金」。
荷物預かりサービスの注意点(要点)

- 預ける時・受け取る時の両方でパスポート提示が必要
- 貴重品・現金・パソコン・危険物は預けられない
- 食品・飲料も不可(こぼれ・腐敗防止)
- 支払いは現金のみ
- モバイルバッテリーは預けNG
👉 貴重品と電子機器は手荷物で持ち歩く必要がある。
利用時のアドバイス
- 大きなスーツケースは問題なく預けられる
- 受け取り時トラブル防止のため、預ける前に荷物の写真を撮っておくと安心
- 長時間の乗り継ぎや、ホアンキエム湖周辺への短時間観光に使うと便利
👉 料金が手頃なので、「身軽に動きたい旅行者」には特に使いやすいサービスといえる。
公式情報はノイバイ空港のLocker Room(荷物預かり)案内ページを参照。
● 空港内ホテル(VATC SleepPod)

ノイバイ空港T2には、有料の仮眠室サービス「SleepPod(空港内ホテル)」が設置されている。
完全個室で、カプセルホテルに近い簡易宿泊スペースで、深夜便・早朝便利用者にとって“体力温存できる選択肢” になっている。


設備とサービス

SleepPodの部屋はシンプルだが、短時間休憩に十分。
- ベッド(枕・毛布付き)
- エアコン
- 無料Wi-Fi
- ウェルカムドリンク(ペットボトル1本)
- 目覚まし(ウェイクアップコール)
料金の目安
料金はシーズンによって多少変動するが、T2のシングルルームの場合はおおよそ以下が目安。
- 3時間で約66万ドン前後〜
- 6時間で約132万ドン前後〜
👉 最新料金・空室状況・事前予約は公式サイトが最も確実。
https://hanoiairporthotels.vn/en
こんな人におすすめ
- 深夜着 → 翌朝の国内線/国際線に乗り継ぐ人
- ホテルに移動するほどでもない短い滞在時間の人
- 子ども連れで、休む場所をしっかり確保したい人
- 足を伸ばして寝て、空港泊のストレスを減らしたい人
利用時の注意点
- 一般的なベトナムのホテルと比べると料金は高め
- シャワーはない(トイレ・洗面所は空港内共用エリア)
- しっかり休みたい場合は、市内ホテルのほうが快適
👉 「移動の合間に数時間だけでも横になりたい」「時間をお金で買って体力を温存したい」という人向けのサービス、という印象。
なお、空港内ホテルの料金が負担に感じる場合は、ターミナル内のベンチで夜を明かす“空港泊”という選択肢もある。ただしノイバイ空港T2は24時間稼働ではあるものの、深夜帯は人が少なく、座り心地の良いベンチも限られている。電源も多くはないため、快適さを重視するならSleepPodを利用したほうが無難だ。
空港泊自体は物理的には可能だが、環境面ではそれほど良くない点は覚えておきたい。
T2から市内への移動まとめ(詳細は別記事)
ノイバイ空港T2からハノイ中心部までは、車で40〜60分程度。
移動手段は、タクシー、Grab、空港バス(86番・90番)、配車サービスなど複数ある。

それぞれの料金、所要時間、深夜早朝の注意点、旧市街/キンマー方面別のおすすめルートなどは、
ノイバイ空港T2 ⇆ ハノイ市内アクセス完全ガイドで詳しく整理している。
まとめ
ノイバイ空港T2は、シンプルで明るく使いやすい国際線ターミナルである。
拡張工事の影響で一部区画は閉鎖されているものの、動線は分かりやすく、飲食・荷物預かり・空港内ホテルなど必要なサービスは一通り揃っていた。
今後、拡張エリアの供用が始まれば、ハノイの玄関口としてさらに便利な空港になるはずだ。
ハノイ旅行・ベトナム周遊の出入口として、ノイバイ空港T2の「今の姿」を把握しておくと旅の計画が立てやすくなる。
→ ノイバイ空港の全体構造を把握したい場合は、ノイバイ空港総合ガイドへ


