ハノイメトロは、ベトナム・ハノイ市内を走る都市鉄道で、現在は2A号線と3号線の一部区間が開業している。
2A号線はカットリン駅からイエンギア駅までを結ぶ路線で、ハドン方面への移動に使われている。3号線はニョン駅からカウザイ駅までの高架区間が先行開業しており、将来的には将来的には地下区間を通り、キンマー、文廟エリア、ハノイ駅方面へ延伸する計画になっている。
ハノイメトロという名前だけを見ると、市内中心部や旧市街、空港まで鉄道で移動できるように感じるかもしれない。しかし、2026年時点で旅行者が実際に使える区間は限られており、旧市街やホアンキエム湖、ノイバイ空港へメトロだけで直接行くことはできない。
ハノイメトロの路線図をもとに、2A号線と3号線の違い、現在使える区間、基本的な乗り方、今後の開業計画を見ていく。
ハノイメトロの路線図と現在使える区間
ハノイメトロの現在の開業区間は、市内西側に集中している。2A号線と3号線はどちらも西側エリアを通る路線で、旧市街やホアンキエム湖を直接通る路線ではない。
まずは下の地図で、2A号線と3号線の位置関係を確認しておきたい。
地図では、2A号線と3号線の開業済み区間に加え、3号線の未開業区間も表示している。グレーの駅は、2026年時点ではまだ利用できない区間である。
ハノイメトロ2A号線とは|カットリン〜ハドン方面を結ぶ路線

2A号線は、カットリン駅からイエンギア駅までを結ぶハノイ初の都市鉄道路線である。市内中心部の西側から、南西部のハドン方面へ伸びている。
沿線にはロイヤルシティ、ハドン中心部、イエンギア・バスターミナル周辺などがあり、観光地よりも生活圏・郊外方面の移動色が強い路線だ。
2A号線の全駅、沿線スポット、乗り方は、別記事のハノイメトロ2A号線ガイドで詳しく紹介している。
ハノイメトロ3号線とは|ニョン〜カウザイ間が先行開業

3号線は、ハノイ西部のニョン駅からカウザイ駅までの高架区間が先行開業している路線である。将来的には地下区間を通り、キンマー、文廟エリア、ハノイ駅方面へ延伸する計画になっている。
現在の開業区間の沿線には、カウザイ、国家大学周辺、ニョン方面の住宅地や大学エリアが広がっている。こちらも観光路線というより、ハノイ西側の日常移動を支える路線という立ち位置だ。
3号線は将来的にカットリン周辺で2A号線との接続も計画されている。詳しい接続計画は後半で整理する。
3号線の駅一覧や地下区間の工事状況は、別記事のハノイメトロ3号線ガイドで詳しく紹介している。
旧市街・空港へメトロで行ける?旅行者目線で見た使いどころ
旧市街やホアンキエム湖周辺だけを観光するなら、現時点では2A号線も3号線も主力の移動手段にはならない。どちらの路線も市内西側を走っており、観光の中心部へ直接入る路線ではないためだ。
一方で、ドンダー区の街中やロイヤルシティ、ハドン方面へ行くなら2A号線が使える。カウザイ、ハノイ国家大学周辺、ニョン方面へ行くなら3号線も選択肢に入る。
ノイバイ空港から市内へ移動する場合も、メトロだけでは完結しない。旧市街方面なら86番バス、キンマー・リンラン方面なら90番バス、深夜や荷物が多い場合はGrabやタクシーを使う。
各交通手段の乗り場、料金、所要時間は、ノイバイ空港からハノイ市内へのアクセスガイドで整理している。
ハノイメトロは市内観光なら便利という段階ではない。今のところは、沿線に用事があるときに使う交通手段と見ておきたい。
ハノイメトロの乗り方|2026年時点ではQR乗車券が共通化
以前のハノイメトロは、路線によって乗車券の方式が分かれていた。開業当初は2A号線ではカード式、3号線ではトークン式が使われており、初めて乗る旅行者には分かりにくい部分もあった。
しかし、2026年時点では2A号線・3号線ともにQRコードで乗車する方式へ揃っている。

主流はスマホのQRコードを改札にかざす方法だが、駅の窓口で紙のQR乗車券を発行してもらうこともできる。
現金で乗る場合は、窓口で行き先を伝えて紙のQR乗車券を購入する。券売機は設置されているものの、現金払いには対応していないため、現金利用なら窓口へ向かう。
改札ではVisaのタッチ決済にも対応している。カードやスマホをタッチしてそのまま入場できるため、QR乗車券を買わずに乗れる手段として使いやすくなっている。
ただし、駅ごとの券売機、改札機、案内表示にはまだ差がある。2A号線と3号線の詳しい乗り方や運賃は、それぞれの個別ガイドで紹介している。
ハノイメトロの運賃と運行時間|片道2万ドン以下で乗れる
ハノイメトロは、タクシーやGrabと比べるとかなり運賃が安い。
2A号線・3号線ともに、市内移動の交通手段として片道2万ドン以下で利用できる。
ただし、安くても駅から目的地が遠ければ使いにくい。運行時間も路線ごとに異なるため、夜に使う場合は終電時刻を見ておきたい。
2A号線・3号線それぞれの運賃、運行時間、駅での買い方は、個別ガイドで詳しく紹介している。
2A号線と3号線の違い|中国支援と欧州支援でつくられた2つの路線
2A号線と3号線は、どちらもハノイメトロとして運行されているが、建設の背景は大きく異なる。
2A号線は中国政府支援によって整備された路線で、中国輸出入銀行の借款や中国企業による施工が関わっている。車両やシステムも中国系の技術をベースにしており、ベトナムで最初に開業した都市鉄道となった。
一方、3号線は欧州支援を軸に進められてきた路線である。フランス政府開発庁、欧州投資銀行、アジア開発銀行などが資金面で関わり、設計・監理にはフランスのシストラ、車両にはアルストムが関わっている。
そのため、同じハノイメトロでありながら、駅の雰囲気、車両デザイン、案内表示、改札まわりには統一感があまりない。2A号線は先に開業した実用路線、3号線は欧州型の都市鉄道路線。そう見ると、路線ごとの雰囲気の違いも見えてくる。
なお、ホーチミン市のメトロ1号線は日本のJICA支援で整備された路線である。ハノイとホーチミンを含めて見ると、ベトナムの都市鉄道は中国、欧州、日本など複数国の支援を受けながら整備が進んでいることが分かる。
2A号線と3号線は接続するのか

2A号線と3号線は、将来的にカットリン駅周辺で接続する計画がある。
ただし、2026年時点ではまだ直接乗り換えできない。2A号線のカットリン駅は高架駅として開業しているが、3号線側の地下区間は工事中である。3号線の地下区間で特に注目したいのが、終点側に位置するハノイ駅周辺。国鉄駅との位置関係や周辺の様子は、ハノイ駅ガイドで紹介している。
接続が完成すれば、2A号線のハドン方面と3号線のカウザイ方面がつながる。現在は別々の路線として考えておきたい。
今後の開業計画|3号線地下区間・2号線・5号線の整備構想
ハノイメトロで次に大きな変化となるのは、3号線の地下区間。
この区間では、キンマー、カットリン、文廟エリア、ハノイ駅方面への延伸が計画されている。開業すれば、現在の高架区間だけでは届かなかった市内中心部にも、メトロで近づきやすくなる。
さらに、ハノイでは他の都市鉄道路線も計画されている。2号線はノイバイ空港方面と市内中心部を結ぶ構想があり、将来的な空港アクセス路線として注目される。5号線はホアラック方面への路線として、西側の新都市・産業エリアとの接続を担う計画だ。
2026年時点のハノイメトロは、まだ完成形ではない。現在使える区間と、今後整備される路線を分けて見ると、ハノイの交通がどこへ向かっているのかも見えてくる。
まとめ|ハノイメトロはまだ発展途中の都市鉄道
ハノイメトロは、まだ発展途中の都市鉄道である。
すでに2A号線と3号線は利用できるが、旧市街や空港まで一本で行ける段階ではない。まずは路線図を見て、目的地が沿線にあるかを確認してから使うのがよい。
一方で、QR乗車券やVisaタッチ決済など、乗り方は以前より分かりやすくなっている。今後の路線整備が進めば、ハノイでのメトロの使い方も大きく変わっていくはずだ。


