※本記事は2025年11月時点の現地取材に基づいています。
ハノイメトロ3号線の終点・Nhon(ニョン)駅──正式にはGa Nhổn(ガー・ニョン)──は、工業大学とローカル市場に囲まれた、郊外らしい静けさと生活感が共存する駅だ。
市内中心部のCau Giay駅から電車でわずか16分、15,000ドン。
郊外とはいえアクセスが良く、週末のちょっとした散歩にも向いている。
駅が位置するNhổnエリア(Tu Liem区)は、学生街・市場・新興住宅地という三つの表情が駅のまわりに詰まっており、“ハノイの今”を感じるにはぴったりのエリアだ。以下のような人にとって、とくに訪れる価値のある駅である。
Nhon駅はこんな人におすすめ
- メトロの終点を実際に見てみたい人
- ローカルなハノイの暮らしや市場を歩きたい人
- 郊外の静かな雰囲気や新興住宅地の様子を見てみたい人
- ハノイ工業大学周辺を中心に“学生街”の空気を感じたい人

Nhon駅(Ga Nhổn)はどこにある?どう行くの?と気になる人も多いが、同駅はTu Liem区の西端にあり、メトロ3号線でCau Giay方面へスムーズにつながっている。
Nhon駅のデザインと高架構造
Nhon駅は高架構造で、2階がコンコース、3階がプラットホームという構成だ。
ホームは相対式の2面2線で、全区間で共通の設計となっている。屋根は鮮やかな青色のポリカーボネートで覆われており、雨の日でもほとんど濡れない。

周囲に高層ビルが少ないため風が抜け、ホームには心地よい開放感がある。
駅構内やプラットフォームの柱は淡い紫色に塗装され、どこか柔らかい印象を与える。構造自体は他駅とほぼ同じだが、この塗装が駅ごとの個性を生み出している。

改札へ上がるエスカレーターも設置され、郊外駅ながらバリアフリー対応も進んでいる点は心強い。
路線概要や時刻表など、運行に関する最新情報はハノイメトロ公式サイト を参照してください。
駅の構造と雰囲気
Nhon駅は、3号線の西端に位置する高架駅で、この先に車両基地(デポ)を控える唯一の駅である。
改札階はコンパクトで、人の往来が少なく、ホーム全体に静けさが漂っている。
他の駅と同様に相対式ホームだが、周囲に高い建物が少ないため視界が開けており、郊外らしい開放感がある。
南側(3番出口)方向にはHateco Apolloコンドミニアムが見えるものの、駅周辺はまだ開発途中で、住宅街というよりも広い駐車スペースと空き地が目立つエリアだ。

列車が出てしまうとホームは一気に静まり返り、“終点駅らしい静寂”だけが残る印象的な駅である。
初めて訪れても迷うことのない単純な構造で、3号線の設計思想そのものが体現されている。

終点Nhon駅の運用と安全対策
この駅は3号線の西端・終点にあたる。乗客が降りた後は列車がそのまま車両基地(デポ)へ回送されるため、ホーム上に長く留まっていると、駅員から「早めにご退出ください」と案内される。
安全面への意識が高く、終点駅ならではの運用が見られる場面だ。

駅前に広がるローカル市場と学生街
駅前を走るCau Dien通りは交通量が多く、歩行者が横断する際は信号ではなく地下通路を利用する。駅近くにはその入口があり、雨の日でも安心して通行できる。

地上では、通り沿いに小さな青空市場が並び、地元の人が野菜やエビを売る姿が見られる。雨の日でもレインコート姿の人々がバイクを止め、手際よく買い物を済ませて去っていく。
この一帯はまだ素朴な雰囲気が残り、中心部のCau Giay駅やCat Linh駅周辺とは対照的だ。


さらに奥へ進むと、Minh Khaiマーケット(Chợ Minh Khai)が現れる。

「学生市場(Chợ đêm sinh viên)」の名でも知られ、食品から衣料品まで雑多な品が並ぶ。

屋根付きの通りにはTシャツやパンツを吊るした店が連なり、バイクで乗りつけて買い物する人の姿が絶えない。
値札はなく、観光客には少し交渉のハードルがあるが、ハノイの生活がそのまま切り取られたような空間だ。
ハノイ工業大学と学生の通学風景
Nhon駅の改札を出るとすぐ目の前に、ハノイ工業大学(Hanoi University of Industry / HaUI)が広がる。

雨の日でも傘をさして歩く学生や、教員を乗せた車両が絶え間なく出入りしており、郊外でありながら常に活気を感じる。
駅の目の前に大学があるため一見便利そうに見えるが、実際の学生の多くは、依然としてバイクやバスで通学している。
3号線は現時点でCau Giay駅までしか延びておらず、通学ルートとしてはバスの網羅性が勝っている。
どこへでも行けるバイクは今も“最強の足”であり、駅前にありながらメトロを利用する学生はまだ少ない印象だ。

構内にはベトナム日本センター(Trung tâm Việt–Nhật)があり、ここでは日本語の授業や実習型の技術教育が行われている。

旋盤やフライス盤などの機械が並ぶ実習室では、学生が真剣な表情で作業しており、「日本で働きたい」「日系企業に就職したい」と夢を語る声も聞かれた。
このような国際連携が日常に根付いているのも、HaUIの特徴といえる。
詳細は ハノイ工業大学(HaUI)公式サイト でも紹介されている。
Nhon駅南側の新興住宅エリア
駅から東側へ進むと、Hateco Apolloコンドミニアムがそびえ立ち、その周囲には新しい住宅街が整然と並ぶ。

白壁のタウンハウスが並ぶ通りには、余裕のある層を意識した整った外観の幼稚園やカフェも見られ、若いファミリー層の暮らしが垣間見える。
かつては倉庫や空き地が目立っていたエリアだが、近年はこのような住宅開発が進み、街並みが落ち着いた印象に変わりつつある。
駅前の広い空間も、今後商業施設などが整備されていく可能性を感じさせる場所である。

まとめ
Nhon駅はハノイメトロ3号線の始発駅であり、大学・市場・新興住宅地が共存する「変化の入口」のような場所である。
電車で訪れれば、学生の日常、ローカル市場の活気、そして新しい都市開発の息づかい。
それらがすべて徒歩圏に収まっており、ハノイの「過去」と「未来」が交差する光景を楽しむことができる。
郊外の終点にして、ハノイの今を最も象徴する駅のひとつと言っていいだろう。
次の区間では、メトロが市中心部へと向かう風景が広がっていく。

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