ハノイメトロ3号線は、2024年にニョン(Nhon)〜カウザイ(Cau Giay)間の高架区間が先行開業した路線である。沿線には大学、住宅地、カウザイ周辺の市街地が広がり、現在はハノイ西側の日常移動を支える路線として使われている。
一方、キンマー、カットリン、文廟エリア、ハノイ駅方面へ向かう地下区間はまだ建設中で、全線開業はこれからである。
この記事では、3号線の開業区間、駅一覧、各駅の特徴、乗り方、地下区間の工事状況を2026年時点で整理する。
3号線の駅一覧|ニョン〜カウザイ開業区間と地下区間の予定駅

ハノイメトロ3号線の路線図と駅の位置関係を把握するには、沿線全体を俯瞰して見るのが分かりやすい。本ページでは、開業済み区間(Nhon〜Cau Giay)と、現在建設が進む地下区間(Kim Ma〜Hanoi 駅)を含めた路線図・全駅の位置を、下のマップにまとめている。
ハノイメトロ3号線の路線図・全駅位置(クリックで各駅ガイドへ)
ハノイメトロ3号線の全駅位置(クリックで各駅ガイドへ)
黒色のラインが3号線全体のルートであり、各駅にはピンを配置している。駅名をクリックすることで、対応する各駅ガイド記事へ直接移動できる。
なお、駅概要はページ下部の各駅ガイド一覧の項目でもまとめている。
2A号線を含めたハノイメトロ全体の路線図は、ハノイメトロ完全ガイドで紹介している。
ハノイメトロ3号線とは?|路線の概要と位置づけ

ハノイメトロ3号線は、西郊のニョン(Nhon)地区から国鉄ハノイ駅(Ga Ha Noi)方面へ至る、全長約12.5kmの都市鉄道である。2A号線に続くハノイ市内2つ目の都市鉄道路線であり、今後の都市鉄道網の中核を担う中長期プロジェクトとして位置づけられている。
西側の高架区間(Nhon〜Cau Giay)は2024年に先行開業し、現在は中心市街地へ向かう地下区間(Kim Ma〜Hanoi駅)の工事が継続している。高架8.5kmと地下4kmが連続する構造で、全線高架の2A号線とは路線構造が異なる。
3号線の整備目的は、慢性的な交通渋滞が続くハノイ西部〜中心部の交通負荷を軽減し、沿線の都市再開発を促進すること。高架区間だけでも、バスネットワークとの接続性向上によって朝夕の移動を改善している。
基本データ(2026年時点)
- 運営主体: ハノイ市都市鉄道管理委員会(MRB)
- 総延長: 約12.5km(高架8.5km、地下4km)
- 運行本数: おおむね10分間隔(現地確認)
- 所要時間: Nhon〜Cau Giay間で約16〜20分
- 開業状況: 高架区間が先行開業、地下区間は建設中
各駅ガイド一覧
ハノイメトロ3号線の各駅は、開業済みの高架区間(Nhon〜Cau Giay)と、現在建設中の地下区間(Kim Ma〜Hanoi Station)の2つに分かれる。本一覧では、各駅の位置づけ・特徴・周辺環境を簡潔にまとめたうえで、詳細ガイドへのリンクを掲載している。
高架区間はすでに日常利用が進んでおり、駅ごとに街の個性がはっきり現れている。一方で、地下区間は中心市街地に直結する重要区間であり、開業後の交通ネットワークを大きく変えるポテンシャルを持つ。
路線全体の雰囲気や沿線の違いを知るには、駅ごとのガイドを読み比べるのがわかりやすい。それぞれの駅リンクから、現地取材に基づいた写真とレポートを確認できる。
🟩 高架区間(Nhon〜Cau Giay)|開業済み
| 駅名 | 概要 | 記事リンク |
|---|---|---|
| ニョン駅(Nhon) | ハノイ西端の新興タウンに立つ始発駅。高架から始まるメトロの旅はここから。 | → ニョン駅ガイド |
| ミンカイ駅(Minh Khai) | 緑の多い住宅エリアに位置し、落ち着いた生活圏の中にメトロが初めて通る地元の駅。 | → ミンカイ駅ガイド |
| フーディエン駅(Phu Dien) | 小規模な工場や研究施設が点在し、生活と産業が混ざり合う駅。 | → フーディエン駅ガイド |
| カウディエン駅(Cau Dien) | 地元市場のざわめきが届く生活の駅。メトロが加わり街が少しずつ変わりつつある。 | → カウディエン駅ガイド |
| レドゥックトー駅(Le Duc Tho) | 大通り沿いに整備された新興エリアの玄関。住宅とオフィスが増え、沿線の中でも発展が早い。 | → レドゥックトー駅ガイド |
| 国家大学駅(National University) | 学生街と大型商業施設が隣り合う活気の拠点。若者が集い、生活利便も高い駅。 | → 国家大学駅ガイド |
| チュアハー駅(Chua Ha) | 高層ビルが並ぶ都市型エリアの駅。生活密度は高いが、路線構造上利用は控えめ。 | → チュアハー駅ガイド |
| カウザイ駅(Cau Giay) | 都市中心部への主要アクセス拠点。周辺は商業エリア。 | → カウザイ駅ガイド |
⬜ 地下区間(Kim Ma〜Hanoi Station)|建設中レポート
| 駅名 | 概要 | 記事リンク |
|---|---|---|
| キンマー駅(Kim Ma) | 高架→地下の切替点。Ba Đình区中心の商業エリア。 | → キンマー駅ガイド(開業前) |
| カットリン駅(Cat Linh) | Hao Nam通りに位置し、将来的に2A号線との接続予定。 | → カットリン駅ガイド(開業前) |
| バンミュウ駅(Van Mieu) | 文廟の最寄り駅。旧市街南側の歴史エリアと中心街を結ぶ地下駅。 | → バンミュウ駅ガイド(開業前) |
| ハノイ駅(Hanoi Station) | 国鉄駅との乗換え拠点。中心街の玄関口。 | → ハノイ駅ガイド(開業前) |
3号線の乗り方|ニョン〜カウザイ間の運賃・改札・QR乗車券

2026年4月に現地で確認したところ、ハノイメトロ3号線の乗車システムはQRコード中心の運用に変わっていた。改札機も青色デザインの新しい仕様に更新されており、VISAタッチ決済にも対応している。
運行時間と本数
駅構内の公式掲示によれば、運行スケジュールは以下のとおり。
- 運行時間:5時30分〜22時00分
- 平日ピーク時(6:30〜9:00 / 16:30〜19:30):6分間隔
- 平日通常:10分間隔
- 土日・祝日:終日10分間隔
ピーク外は10分以上待つ場合もあるため、時間は少し余裕を見ておきたい。
切符の種類
QRコードを使って乗車する。使い方は2通りで、スマホに表示したQRコードをそのまま使う方法と、紙のQRチケットを使う方法がある。
紙で購入した場合も、受け取るのは小さなQRコード付きの紙である。開業当初のコイン型の乗車券から変更されている。

料金は区間距離によって9,000〜15,000ドン。出場時に改札へ返却する方式。
また、改札機ではVISAタッチ決済にも対応していた。
● 1日券(デイパス)
- 40,000ドン/日
- アプリ専用で、駅では購入できない。
● 週券・月券
- 週券:140,000〜160,000ドン
- 月券:280,000ドン
いずれもアプリで電子チケットとして購入し、スマートフォンで利用する。
券売機の使い方

2026年4月に確認した自動券売機の案内では、購入手順は以下の流れだった。
・行き先駅を選ぶ
・枚数を選ぶ
・QRコードを読み込んで支払う
・QRチケットを表示し、スクリーンショットを撮る
券売機の案内には、QRチケット表示後に30秒以内にスクリーンショットを撮るよう記載がある。
支払い手段として確認できたのは、MoMo、ShopeePay、VietinBank系の決済である。
一方で、自動券売機では現金は使えなかった。現金で買う場合は、駅窓口で購入する形になる。

改札の通り方

改札は、スマホ画面のQRコードまたは紙のQRチケットを読み取り部にかざして通る方式。
改札ではVISAタッチでも通過できる。改札機の画面に「Please tap card or ticket」と表示されており、QRコードとカードの両方に対応していた。

在住者でない限り、チケット購入が不要なVISAタッチか、窓口で現金購入となるだろう。
従来は開業当初は以下の無機質な改札であったので、デザインは大きく刷新された。

以上が、ハノイメトロ3号線における乗り方の概要だ。2026年の運用変更では、QRを中心とした検察はホーチミンメトロの運用に近くなった。
3号線の特徴と現地の様子
ハノイメトロ3号線には、日本の都市鉄道やホーチミンメトロとは異なる特色が随所に見られ、現地で実際に利用すると小さな発見が多い路線である。取材時に感じた3号線の特徴を紹介する。

① 駅入口は文化シャッターの名入りゲート
なぜハノイに文化シャッターが?

高架駅の出入口をよく見ると、どの駅にも 文化シャッターベトナム のロゴが堂々と掲げられている。まさか日本企業のシャッターブランドが、ハノイの都市鉄道の顔になるとは予想外。
(写真はCau Giay(カウザイ)駅の入口。詳細はCau Giay駅ガイドにて)
日本人だけがニヤッとするポイントだが、全駅で使われているため、3号線の隠れた名物と言ってよい。
② すべての駅にエレベーター完備
だが「若者は使うな」という強い張り紙付き


3号線はアクセシビリティが高く、全駅にエレベーターが設置されている。
しかし驚くのはその横にある張り紙だ。
「高齢者・子ども優先。若者よ、階段を使え」
という趣旨のメッセージが書かれている。
若者は使うなと真正面から書くストレートさは、ベトナムらしい優先文化の表れだ。日本のように「譲り合いましょう」という柔らかい表現ではなく、この直球表現は、異文化の一端としても面白い発見である。
③ トイレはまさかの改札外
日本・ホーチミン・2A号線とは真逆の設計

3号線では、すべての駅で トイレが改札の外側にある。
- 日本(JRなど) → 改札内
- ホーチミンメトロ1号線 → 改札内
- 2A号線(カットリン〜ハドン) → 改札内
- 3号線 → 改札外(なぜ?)
なぜこの設計なのかは公式説明がないが、利用者の動線を考えるとちょっと珍しい仕様。
乗車しなくても使えるという公共トイレとしての利点もある。
④ ホームドアは未設置
── 代わりにポールパーテーション+駅員常駐の昭和スタイル


ホーチミンメトロ1号線が全駅ホームドアを完備しているのに対し、3号線の高架駅には現時点でホームドアが設置されていない。駅によっては、乗客を線路側へ近づけすぎないようポールパーテーション(簡易バリケード)が置かれている。
そのため、3号線では全駅のプラットホームに複数の駅員が常駐し、安全を人的管理で補っている。
⑤ 駅構内の柱の色がすべて異なる
カラフルで駅の個性が強い


駅ごとに柱の色がまったく違う。
青、薄緑、黄土色…と カラーパレットを駅ごとに変えている ため、構内の印象が駅ごとにガラリと違う。
場所の感覚がつかみやすいという実利もあるが、単純に歩いていて楽しい要素である。
⑥ 折り畳み自転車をそのまま車内に持ち込み可能
ハノイの生活のリアルが見えるところ。

取材中、複数回にわたり折り畳み自転車をそのまま車内に持ち込む乗客を見かけた(袋に入れず、折りたたんだだけ)。
3号線が日常の足として使わている背景がうかがえるポイントであり、生活のリアルさが出て面白い。
⑦ 駅ごとに分別ゴミ箱が設置
ハノイの鉄道でついに分別文化?

どの駅にも、燃えるごみ・ペットボトルなどを分けられる分別型ゴミ箱が置かれている。
ベトナムでは分別が徹底されているとは言えないが、3号線だけは「分別がんばってます感」が漂う。
利用者の民度を育てようという意図が感じられ、ちょっと微笑ましい。ちなみにハノイメトロ2A号線では普通のゴミ箱が置いてあるのみ。
欧州支援で整備された3号線

ハノイメトロ3号線は、欧州支援を軸に整備された都市鉄道プロジェクトである。フランス政府開発庁(AFD)、欧州投資銀行(EIB)、アジア開発銀行(ADB)などが資金面で関わり、設計・監理にはフランスのシストラ(Systra)、車両にはアルストム(Alstom)製車両が採用されている。
このため、駅構内や車内の雰囲気は、先に開業した2A号線とはかなり異なる。車内は明るく、通路も広めで、3号線がより新しい都市鉄道として整えられている。
2A号線との建設背景の違いや、ハノイメトロ全体の路線図は、ハノイメトロ完全ガイドでまとめている。
出典:
AFD – Hanoi Metro Line 3 Project
EIB Project 20100358
カットリン方面への延伸と2A号線との接続予定
3号線は、現在の終点であるカウザイ駅から先で地下区間へ入り、将来的にはキンマー、カットリン、文廟エリア、ハノイ駅方面へ延伸する計画である。
このうちカットリン周辺では、既存の2A号線との接続も予定されている。2026年時点では3号線の地下区間が未開業のため、2A号線と直接乗り換えることはできない。
2A号線を含めたハノイメトロ全体の路線図や、2号線・5号線を含む今後の整備構想は、ハノイメトロ完全ガイドで整理している。
3号線の開業状況と地下区間の工事進捗
ニョン〜カウザイ間は2024年に開業済み
ハノイメトロ3号線は、西側の高架区間であるニョン〜カウザイ間が2024年に開業している。現在はこの区間で日常的に運行されており、カウザイ、国家大学周辺、ニョン方面を結ぶ路線として使われている。
地下区間はキンマー〜ハノイ駅方面で工事中
一方、中心部へ向かうキンマー〜ハノイ駅方面の地下区間は、2026年時点でも工事中である。ハノイ市都市鉄道管理委員会(MRB)の発表では、全線開業は2027年12月頃が見込まれている。
区間別に見ると、現在の状況は以下の通りである。
・ニョン〜カウザイ:2024年開業済み
・キンマー〜ハノイ駅:地下区間として工事中、2027年12月頃の開業見込み
地下区間が遅れている主な理由
地下区間の工事が長引いている背景には、中心部特有の施工条件がある。キンマー、カットリン、文廟、ハノイ駅周辺は建物や道路が密集しており、地上の工事スペースも限られる。
また、用地取得、補償手続き、資金供給、COVID-19期の施工・調達遅れなども、工期に影響したとみられる。
地下鉄工事の遅れは、ハノイだけの問題ではない。地盤条件、用地取得、資金計画、施工スペースの制約が重なると、都市部の大型鉄道プロジェクトは予定通りに進みにくい。北海道新幹線・リニアとベトナム都市鉄道を比べると、地質条件や沿線調整が工期に与える影響も見えてくる。
駅別の工事状況は個別記事で紹介
2026年4月に現地で確認した範囲では、地下駅周辺では仮囲いや出入口構造物、資材搬入などの作業が続いていた。駅間トンネルや内部工程は外から確認できないが、地上部分では工事が段階的に進んでいる様子が見られる。
地下区間の各駅周辺では進捗に差がある。各駅の様子は、それぞれの駅ガイドで個別に紹介している。
- S09:キンマー(Kim Ma駅)
- S10:カットリン(Cat Linh駅)(2A号線との接続予定エリア)
- S11:バンミュウ(Van Mieu駅)(文廟エリア)
- S12:ハノイ(Hanoi駅)(国鉄駅との接続計画エリア)
よくある質問|3号線の開業区間・運賃・地下区間
Q1. ハノイメトロ3号線はどこまで開業していますか?
2026年時点では、ニョン〜カウザイ間の高架区間が開業済み。キンマー、カットリン、文廟エリア、ハノイ駅方面へ向かう地下区間はまだ工事中で、全線開業は2027年12月頃が見込まれている。
Q2. ハノイメトロ3号線で中心部まで行けますか?
現時点では中心部までは行けない。現在利用できるのはニョン〜カウザイ間であり、ハノイ駅方面へ向かう地下区間は未開業。中心部へ向かう場合は、バス、Grab、タクシーなどとの併用が必要になる。
Q3. 3号線の料金や運行時間はどのくらいですか?
片道料金は9,000〜15,000ドンで、区間距離によって変わる。運行時間はおおむね5:30〜22:00で、ピーク時間帯は約6分間隔、通常時は約10分間隔で運行されている。
詳しくは上部乗り方ガイドにまとめている。
Q4. 空港から3号線に乗り換えできますか?
ノイバイ空港と3号線は鉄道で直接つながっていない。空港から3号線方面へ向かう場合は、市バスやGrabでカウザイ方面へ移動する形になる。
Q5. 2A号線との乗り換えは可能ですか?
2026年時点では、3号線と2A号線を直接乗り換えることはできない。将来的には、3号線のカットリン駅周辺で2A号線との接続が計画されている。
Q6. 大きな荷物(キャリーケース)は持ち込めますか?
一般的なスーツケースであれば持ち込みは可能である。ただし、大型荷物、可燃物、生鮮品などは駅掲示で制限対象とされているため、規格外の荷物は避けた方がよい。
Q7. 旅行者でも利用しやすいですか?
駅構内や車内は落ち着いており、初めてでも利用しやすい。朝夕は学生や通勤者で混みやすいが、ホームには駅員がいる。夜間は利用者が少なくなるため、駅から先の移動手段もあわせて確認しておきたい。
関連リンク
まとめ|ハノイメトロ3号線は高架区間が先行開業中
ハノイメトロ3号線は、ニョン〜カウザイ間の高架区間が先行開業している路線である。沿線には大学、住宅地、カウザイ周辺の市街地があり、現時点ではハノイ西側を走る都市鉄道として使われている。
一方、キンマー、カットリン、文廟エリア、ハノイ駅方面へ向かう地下区間はまだ建設中である。3号線を使う場合は、現在乗れる区間と、今後開業する区間を分けて見ておきたい。



